波紋のレビュー・感想・評価
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たった一雫でも波紋ができる水のように人の心は弱い。
たった一雫でも波紋ができる水のように人の心は弱い。
差別や偏見も包み隠さず「人ってそうだよね」とありのままの愚かさと、誰かの為に手を差し伸べる優しさを描く。
赦すのは、受け流すのは、誰のためか?
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笑いも恐怖も、共感もできる人間ドラマで物凄く面白かったです…!
荻上ワールドでありつつしっかりブラックエンタメ🦇
予告やあらすじでは失踪した夫が突然帰ってきたことに大きく触れていますが、
とても興味深かったのは息子が彼女を連れて帰ってきた時の主人公の態度について…
自分ならどうか?本当に主人公のことを非難できるか?そこに一点の迷いはないか…?
非常に考えさせられます。問題提起の意味合いもありますが、人間を描く上で欠かせない一面のように感じました。
何回も観たいし、観た人と話したくなる一作。
そして、言うまでもないですが…筒井真理子さん圧巻の演技。。
おすすめ!
「ない」ものを「ある」様に見せるものとは…
試写会で鑑賞。
ドロドロの宗教もので破綻していく家族の物語…を想像していたら、ブラックユーモアな楽しい映画でした。
前半は主人公の台詞のないイライラが手に取るようにわかり(筒井さんの表情が最高)、後半からはユーモアを交えながら小さな反撃へ。客席で笑いが起きるシーンも複数あり。
これまでの荻上監督作品のような空気感や美味しそうな料理達はなく、ティーチインで「自分の良い人そうで料理好きそうなイメージを壊したかった。自分の嫌な部分を表現したら作りながら楽しかった」的なことを仰っていた。
モブキャラな豪華出演者は言わずもがな皆上手くて映画を盛り上げてくれていた。
序盤から効果的に使われていた「音」がラストにこう繋がるとは!
2011年の東京郊外。 一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫...
2011年の東京郊外。
一軒家に暮らす須藤依子(筒井真理子)は、夫の修(光石研)と息子、それに寝たきりの義父との暮らし。
義父の介護は依子がただ一人で行っている。
東日本大震災での原発事故が連日ニュースで報じられるある雨の日、庭に出た修が突如、出奔してしまう。
それから十年あまり。
近くのスーパーで働く依子は、緑命会という水を信仰する新興宗教にのめり込んでいた。
義父は他界し、息子も成人して九州で職を得、依子はひとり暮らしだったた。
そんな中、長らく失踪したままだった修が帰ってくる。
末期近い癌だという。
依子の気持ちはさざ波どころか大波が立ってくる・・・
といったところからはじまる内容で、心の中に沸き立つ波が波紋となって周囲の人間関係も変化させていく。
なんだけれど、どうも腑に落ちないというか合点がいかないというか、依子が新興宗教にのめりこんだ理由がよくわからない。
ま、夫の出奔、ひとりでの義父の介護、まだ成人前の息子の世話などなど、諸々のものが彼女ひとりに降りかかり、心の隙間を突かれたのだろうけど、成人した息子(磯村勇斗)の口からは、「前からヘンだった。父さんは放射能から逃れたかったんじゃなく、あのひと(依子)から逃れたかった」と言うので、わからなくなってしまった。
こうなると、観ている方としてはダメで、映画に乗れなくなってしまった。
新興宗教の地域主任役のキムラ緑子、仲間の江口のりこ、平岩紙の好演、筒井真理子の熱演(ラストのワンカット長回し演技はすごい)はあるものの、なんだかちょっと作りすぎな感じがしないでもないですね。
テイストは、荻上直子監督の前作『川っぺりムコリッタ』に似ているかも。
自分の人生を取り戻す
主役級の名優たちの共演!
それぞれ強烈なキャラクターだけど、みんなどこかしらユーモラスで憎めない。
人間味あふれる愛すべき人々に感じました。
表向きにはわからないけれど、みんなそれぞれ、いろんなものを抱えている。
ラストは圧巻です!
クラップ音と水滴の音が印象的。
音は空気の振動だから、一度言葉に出すと波紋が生まれ、もう元には戻れない。
息子の恋人の設定も、まさに音と波紋。
穏やかな水面に波風が立たないよう、グッと言葉を呑み込む… 筒井真理子さんの絶妙な演技が笑えます。
怒りや呆れ、様々な感情が複雑にミックスされているのに、それが手に取るようにわかる。
自分が置かれた状況をグッと呑み込む精神的負担を軽減してくれたのが、宗教だと感じました。
見返りや対価を求めてくるような神様は厄介ですが、
当の本人も、自分の心の平安を保つ為に宗教を利用しているのだから仕方ない。
でも、ちょっとした言葉がきっかけで、勇気づけられたり、人との繋がりが生まれることもある。
幾重にも重なってぶつかりあった波紋は新たな紋様になって、いつしか一つに混ざり合う。
『愛しのアイリーン』もすごかったけど、本作でも木野花さんが素晴らしかった〜!
なんだかんだで女の人生は忙しい。
わかりやすいところだと、結婚して子育てが一段落した途端に介護が始まる。
人生の節目節目で自分のなかの優先順位を変える必要にせまられがち。
それに、たとえ結婚/出産を選択しなかったとしても、自分自身の体の問題には直面するだろう。
そもそも女性は、自分ではハンドリングできない女性ホルモンと共に生きていて、望む望まないに関わらず、毎月生理がやってくる。
個人差はあれど、周期を把握して傾向を分析し対策を備える。生理から解放されたと思ったら更年期症状が始まり…
突発的な出来事に対応するスキル=危機管理のPDCAサイクルを少女の頃から養っているのだ。
そりゃ〜、自然と適応能力も高くなりますよ。
そりゃ〜、子育てだって介護だって無難に出来ちゃいますよ。
でも。だけど。それだからって。ワンオペで良い理由にはならないし、同じことをしていても「やってあげたい」と思うか「やらされている」と思うかでは大違いなのです。
とにかくラストが圧巻!
トークショーで、なぜこれを選んだのか?の質問に監督は「天から降ってきた。」と回答されてました。
『川っぺりムコリッタ』の“塩辛”も本当に絶妙なチョイスでしたが、確かそれも同じようにおっしゃってました。
天才かよ!
今回も、枯山水、金魚、亀、プール、サウナ、などの象徴的なアイコンが実に良い!
筒井真理子さんの「監督は撮影中カメラを通さず直接肉眼で芝居を見て判断をしてくれて、自分の感覚と合っていた。」とのコメントに監督は「演出に自信がないので、撮影監督にお任せしている。」と答えてました。
映るものに関しては撮影監督に全面の信頼を寄せていて、ご本人はカメラの横で肉眼で観て、何か足りないと感じた時にもう一回お願いする。
「自分の感覚に正直に」を大事にしているとのことでした。
研ぎ澄まされた感覚で直感を疑わずに映画を撮ってらっしゃるのだなぁ。だからあのパッションに繋がるのか。と、なんだか腑に落ちました。
自宅の庭に枯山水があるお宅ってどんだけ?
軽快なパルマが場面転換に打ち鳴らされるたび、徐々に何かに向かって熱量が上がっていく。
映画はヒビ割れていそうな足裏のアップから始まる。なぜか?と不思議に思って見ていると引きの画面でその足は夫のもので、それを見つめているのが夫に嫌気がさしている妻であることがわかる。
更年期と言われる年齢を迎えてもこの夫婦は(きっと結婚当初から)ダブルベッドで寝ているのだ。
それだけでもこの妻に敬服だ。私ならムリ××
けど、この女主人公--依子も枕を並べて眠るのは夫のイビキの煩さ、加齢臭などからムリだったんだね。
なんと足と頭を夫婦で交互にして寝ている。
あー、だよねー。やだよねー。
この夫婦の関係が一目瞭然の冒頭シーン。お見事!
そして、朝起きてリビングのカーテンを開ける妻が目にするのは色とりどりの花が咲く庭。このガーデニングは実は夫の趣味であることがのちにわかる。
毎食の付け合わせに登場するらっきょう。これをぽりぽりと咀嚼する音が会話のない食卓に響きわたる不穏さ。
これからこの家に起こる災厄を予告するかのようだ。
案の定、突如家出する夫。
数年後、リビングの様相は一転し一人息子の影もない。驚くのは庭。花は一切なく、その代わりに見事な枯山水が整えられている。
夫の家出後、舅の介護を押し付けられ最期は葬儀も出してやった。パートで働くスーパーのレジでは故意に商品に傷をつけ「傷があるから半額にしてくれ」と毎度やってくる爺さんの相手をし、整えた枯山水の庭に鎮座する隣家の猫を飼い主に注意すれば謝罪もなく「本当にウチのなの?」と睨まれ、依子ストレス度MAX!
見ていてストレスメーターがグングン上がっていく感じ(共感)。
これらの程よいエピソードの盛り込み具合もうまくて所々で笑えるのだ。
現実とイメージが交錯する心象風景では、枯山水ではなく彼らは実際の水面に立ち発言を繰り返す。都度、次々と発言者の周囲に水紋が拡がっていく。この演出がとても舞台っぽい。役者が巧くないと成り立たない。小道具なしの表情と台詞勝負の芝居だ。
そもそも枯山水は砂や石で水のないところに水の流れを描く古くからの庭園様式で心を無にしてじっと見つめるとそこに実際の水の流れを感じることができるとか。
いずれにしても主人公は雑念を取り払い、心を無に帰する必要が常にあったのだ。だから宗教にも頼った。同僚に勧められたら市民プールにも通った。
けれども、その果てに訪れた未来は、彼女の予想をはるかに超える新たな苦難だった。
役者が皆うまい。特に須藤依子を演じた主演の筒井真理子が最高。私の中では優秀主演女優賞確定。
ラスト、喪服で情熱的なフラメンコを踊るシーンは語りたくなる名場面に仕上がっている。
喪服着物の襦袢を真紅にするって(発見と驚き!)この赤と黒のコントラストからフラメンコを踊らせるって(めっちゃ合ってる!)このラストシーンを思いついたところからこのストーリーを描いたのでは?荻上直子監督は。
…と思ってしまった。
なぜか笑える絶望エンターテイメント
試写会にて。
ベテラン演技陣による二時間。
最悪な環境、壊れた家族。
登場人物はなるほど確かに「ヤバイ」ところがある。
なのになぜか笑えてしまい、何度も笑いが起きていた。
ハマる人はハマるし、乗れない人はもしかしたら寝てしまうかもしれない。
自分は好きだった。
人間関係も、噂も、波紋のように影響しあい、広がっていく。
爽快なラストで良かった。
光石研さんの憎めなさが好き(笑)
らっきょうの味
ユルい雰囲気・飄々とした登場人物・賑やかで和やかな食卓は存在せず、じっとりとした生々しい生活感が漂っており、従来の荻上監督のイメージを覆す映像だった。
主人公・依子は中盤までずっと切羽詰まった表情をしており、もしかしたらサスペンス展開になるのでは、とハラハラさせられるほどだった。家族が離散しているところからスタートする物語で、ストーリーが進み依子以外の視点が増えると、離散する前の依子の家族もそのハラハラ感を味わっていたのかも知れないと思わされる。
依子の苦難から始まる物語だが、ストーリーが進むにつれ他の登場人物の苦難も示唆され、群像劇のテイストも感じられる構成だった。
タイトル通り、「波紋」の描写が多く登場する。実際の水による波紋、疑似的な水である枯山水が表現する波紋、それらを使って登場人物の心中を表すのは定番の表現手法かも知れないが、映像でこそできる表現で、そこに贅沢なくらい大胆に時間を使う点に、こだわりが窺える。
食卓の一品を通して彼らが元は一つの家族であったということを示すシーンや、人と人との繋がりにより生きづらさから脱出するストーリーには、荻上監督らしいものを感じた。
先に書いたハラハラ感と言い、ブラックユーモアをゾクリとするスリルにまで昇華させてしまう、依子役・筒井真理子さんの発する緊張感に翻弄された。
予告編から受ける印象とだいぶ違う。 家族が連れてくるイライラや不協...
予告編から受ける印象とだいぶ違う。
家族が連れてくるイライラや不協和音、思い通りにならない日常を、どう消化していくか。それを乗り切る手段として宗教が象徴的に描かれる。
主人公が何かドデカい仕返しをするわけではない。日常における些細なことや言動で、小さい小さい復讐を重ねていく様がおかしみを持って描かれる。
人は日々色んなものや社会、人に理不尽さを感じても、具体的にやり返すではなく、心の中で恨んだり、うまくいかないように願ったり、そういうところでの発散が限界なので、描写は結構リアルかもしれない。
3.11も絡んでくるが、いろんな要素盛り込んでいるので視点が散漫に感じる。
宗教と水の関わりを描いたのは他に吉田大八の「美しい星」、大森立嗣の「星の子」などがあるので、目新しさはない。
豪華俳優陣のカメオ出演。名優の贅沢すぎる無駄遣い。
筒井真理子の底力
2023年5月14日
映画 #波紋 (2022年)鑑賞
主演の #筒井真理子 さんが凄い
この一言に尽きる映画です
ホンワカした脇役のイメージが強い女優さんですが、エルピスでの眞栄田郷敦のお母さん役で注目度が上がってました
脇を固める俳優陣もシブかっこいい
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
どこまでもつけ上がり甘え倒す男ども、許さん。
母の日に母がしんどい映画を観てしまったかと思ったら、最後スカッ!
ちょっとサイコで笑えてしみじみとした悲しみもある。
とにかく腹立たしい前半から、いいぞいいぞやっちまえ!な後半に渡って、主人公と一緒に自分の気持ちもジェットコースターばりに浮き沈みして面白かった。
優しい人、正直な人が損をする世の中。
夫が身勝手すぎて腹が立つ。(映画観ながら思わずハァァ??って言った)
許せ、という宗教も腹が立つ。
我慢して耐え続ける主人公にも腹が立つ。
観ている私にもあの水が必要か?と思う頃に転機が来る。
宗教は信仰心を継続させるために、忍耐が美徳と信じ込ませるので、これを乗り切ってこそ!と思い込まされるのだけど、その人の心を正気で保たせるための一縷の望みなのに、宗教側からみたら、信者のしんどい時こそお金の引っ張りどきというのが本当にみていてしんどかった。ここも怒りを感じたわ。
諸悪の根源である夫は私の苦手を全て詰め込んだような人!
食べ方に品がない、寝ててもうるさい、妻を母親と勘違いしているかのような精神的な甘え方、何より許されることに微塵も不安がない所に私の彼への怒りが頂点に。
いくつなの?
赤子??
豆腐の角に頭打って、、ってこう言う時使うんだな!!!
このように旦那氏が出てくる場面はほぼ怒りながら観てた映画ですけども、気持ちをぶつける場面の演出がとても面白かった。
なるほど、人の気持ちって目に見えたらあんな風に伝わってるのかもしれんな、と思った。
アフタートークで監督が旦那さん役の方はとても良い方で、どうしようもない彼を愛嬌のある憎めない方に演じてくれた、のようなお話があった。確かにみるひとが見れば、可愛い人なのかもしれない。
。。
フー。。
(気持ちを抑えている)
全体的に監督のユーモアが垣間見られる、ブラックコメディな感じが面白かった。
もっと深刻な感じなのかと思っていたら、意外と笑えて楽しい。
そしてなんかちょっと漫画みたいな世界観もよかつたか。
面白い!
義実家に帰りたくない奥様におすすめしたいです。みんなか。
#波紋
試写会にて鑑賞 #波紋
『原発』『介護』『宗教』『貧困』『障害者差別』『病気』いろいろな要素が詰まっていて、決して楽しい話題ではないのに、所々で笑いを誘う。
顔を見るのも存在も鬱陶しかった旦那の突然失踪→病気になったらひょっこり帰ってきた旦那をきたなーいものを見る目で接している主人公の優しさと憎悪と心の葛藤、ささやかな復讐が見所です!(最後はお前の所でな!とか言ってたけど、遺産金での治療目的と介護要員じゃん💢まじ迷惑💢野垂れ○ね💢と思った女性は多かったはず🤣)
共感を持ちつつ、自分ならもっと徹底的やるだろうな…と観る人によって振り幅が広いけど、LASTはスッキリ!
#人を呪わば穴二つ#肉を切らせて骨を断つ
#自分ならどちら派?
依子さんに幸あれ
試写会で鑑賞させて頂きました。一見するととても重たい内容だけど、最後に見終わった後に心が清々しくスッキリしていました。ふらっと帰って来た夫に対して追い出さない依子さんの心の広さに感動しました。歯ブラシでの仕返しは、リアルすぎて笑ってしまいました。ラストのダンスシーンは必見です。
良い意味で爆笑できます
※5/12(金)試写会にて鑑賞したしました。
『彼らが本気で編むときは、』では「性」、『川っぺりムコリッタ』では「死」。普段どこかタブーとされているテーマを時折ギョッとする描写で語る荻上直子。
どこか楽観的な雰囲気も相まって「怖がることない。普通のことだよ」と言っているような印象があった。
ただ、今回の映画でのタブーは「女性」「原発」「新興宗教」「障害者差別」と幅広く手をつけており、結果的にそれらが投げっぱなしになっていると感じた。
前2作ではテーマを絞ったことで、そのテーマに対する登場人物それぞれの向き合い方の多様さを描いていたが、そういう意味では今作は奥行きの深さには欠けているかもしれない。
だが、あのサウナのシーンでは大笑いさせてもらった。声を出して笑ったのは『シャザム! 神々の怒り』の手紙のシーン以来。
総合的には満足感が勝った。
掴みどころがないんだけど、 いろんな要素が詰まっているのは確かなん...
掴みどころがないんだけど、
いろんな要素が詰まっているのは確かなんだけど、
よくわかんないと言えばよくわかんないんだけど、
でも、なんか良かった
素晴らしい表現力!人間関係を波紋に見立てた監督の演出も、俳優陣の演...
素晴らしい表現力!人間関係を波紋に見立てた監督の演出も、俳優陣の演技力も。。「全員実力派」とあるだけに、どのキャラも印象的でした。主役の筒井真理子さんはもちろん、木野花さんが素晴らしかった!
決して愉快な話ではありませんが、一捻りある作品好きな人には刺さるかもしれません!
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