波紋のレビュー・感想・評価
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筒井真理子さんの圧巻の演技がお見事
荻上直子監督作品ですが、過去作とは全く違うテイストのシニカルなブラックコメディ、これはこれで面白かった
失踪の末にガンを患って戻って来たダンナ、義父の介護と死、更年期障害、馬鹿な客相手のスーパーの店員、空気読めず無礼な息子の恋人、等々
と、ストレスMAXな中でも食いしばり、宗教を拠り所として生きる主人公の依子を演じる筒井真理子さんの演技に圧倒されます
特にバカ旦那の振る舞いに絶望と軽蔑の目つきを向ける表情は圧巻
そして、後半 大切にしている枯山水にひっくり返された棺桶から除く腕を見つめ、封印していた笑顔で最恐の高笑いと笑い転げるくだり、そしてラストの雨の中で長きに渡り全身を拘束してきたテンションの呪縛から解き放たれ、取り憑かれた様に踊り狂うフラメンコに圧倒されます
と、とにかく本作は筒井さんの圧巻の演技、その一言につきます
さらに
光石研さん、木野花さん、柄本明さん、キムラ緑子さん、江口のりこさん、平岩紙さん、磯村勇斗さん、安藤玉恵さんといった芸達者な役者さんが多数出てきて贅沢、荻上監督作品らしい不思議な空気感も醸し出していて、とても楽しい作品でした
この映画のキャッチコピーは「絶望エンターテイメント!!」
筒井真理子の演技力と真価を更に上げた映画
「波紋」でした。
「よこがお」では善良な訪問介護の看護師の役だったけれど、
悪意ではない、ちょっとした隠し事が
誤解から世間の大変なバッシングを受ける役だった。
筒井真理子はこの役で本格的に主役を張れる女優になった
気がします。
それまではほんわかした雰囲気の上品なお母さんや奥さん役が
多かった気がします。
「よこがお」の妻でもない母でもない《危うい女》
男が安心させない、
妻を「お母さん」と呼んで甘える種類でない女、
(本作では何度も、舅と修の胸に触ろうとする手を、
(修の肩を抱き寄せる手を、バシッと拒絶します)
その緊張感がこの映画でも発揮されてると思います。
水面に水滴がポトリと落ちる。
波紋が広がり大きな弧を描いて広がる。
この映画の「波紋」の1つは、
蒸発した夫が10数年ぶりに帰宅したこと。
2つ目は、一人息子が難聴(聴覚障害者)の女性を結婚相手として、
連れてきたこと。
依子(筒井真理子)は10年以上介護した義父を半年前に
葬ったばかりなのに、自分を捨てた夫・修(光石研)が、
癌を患い、
「最後は君に看取ってほしい」などと虫の良い事を言って、
「枯山水」の美しく整った庭から、
ずかずかと上がり込んでくる。
(因みに須藤家は「枯山水」を突っ切らないと入れない造り)
整理整頓された美しい居間に、以前のエリートサラリーマンの
片鱗もない加齢臭の男。
依子の嫌悪と冷たすぎる氷の視線が痛い。
(バイプレイヤー・光石研がうまいです)
また、息子の恋人は活発な障がい者の女性で、
依子が、
「別れてくれと切り出した時は、
「家も親の縁も切る」
だいたいあの人は「頭がおかしいんだから」と、
息子の拓哉(磯村優斗)に、
告げられている恋人のタマエ。
タマエへの差別感情をを露わにして、一言の労いも、
思い遣りもない依子。
息子が「頭がおかしいんだから」と母を突き放す理由は、
「緑命会」という新興宗教にのめり込み、緑命水という
「神水」を買いだめし、祭壇に怪しい水晶玉を飾り、
支部長(キムラ緑子)の元で緑命会に相当に多額なお金を
注ぎ込んでいるようだ。
150万×3=450万円の修の癌の高額治療費。
出し渋る依子は交換条件のように緑命会の集会所に
修を連れて行く。
(新会員を連れて行くと、普通、喜ばれるし地位が上がる筈)
(それに宗教を信じる人は布教を迷惑がられるとの
(視点が欠けている・・・喜ばれる・・との勘違いがある)
「川っぺりムコリッタ」に漂っていた牧歌的“ほんわか“な
一面から、「波紋」のブラック・コメディかと思うほどの
切れ味の鋭さ。
荻上直子監督・脚本の違う顔を見せて頂きました。
それにしても演劇出身の良い役者を揃えたものです。
安藤玉恵、江本のりこ、平岩紙、木野花や別格の柄本明。
実際に難聴の女優・津田絵理奈のリアリティ。
本作の柄本明はちょっと怒鳴るだけで、勿体なかった。
(半額に値切る客にしては立派過ぎる・・・)
その点でムロツヨシはメガネにヒゲで、正体がバレない。
タンタカタカタ、タカタカタンタタ・・・
手拍子かな?カスタネットかも?といぶかしんだが、
フラメンコの拍子を刻む靴音・・・
ラストで棺から手首が見えたところで、
けたたましく依子が馬鹿笑い‼️
不謹慎極まりないけれど、
狂ったように雨に濡れた喪服で踊り狂うフラメンコ💃
ヤケッパチにも、女の独立宣言そして
宗教を卒業とも見えた。
喪服に赤い長襦袢が下品に見えないのは、
そしてフラメンコが本格的!!
筒井真理子さん、さすが!!
逆風にも荒波にも立ち向かえ!!
オーレ!
釘を打たない…
コテコテのキナ臭い序盤
伊丹十三の作品みたいだ… (もう20年以上観てないが)
これは気持ち悪いコメディだ…と勝手な印象
説明が無いが、シンプルでくどくなく、かなり解りやすい演出
是枝監督にも参考にしてほしい…
個人的に、是枝作品は1度観ただけでは、細かな演出に気付かず、重要な部分で理解に欠ける時がある…
画面が暗いので尚更気付きにくい
他人のレビューを見て、自分の馬鹿さに驚愕する事がある…
それが強烈な是枝カラーだけど
そして能書き終了☆
筒井真理子、光石研、磯村勇斗…意図的な床上手ファミリー
チョイ役だが、脇役もコテコテに濃すぎる面々
チョイ役じゃなかったら、ギャラでアイドル企画映画が1本撮れそう…
削除しないで
女性信者が皆タレ目…
セロテープ貼ったのかな?
のりこの使用済みテープ希望
キモイ
水とは古風な霊感商法
御詠歌の様な宗教歌だったが、徐々に踊りがエスカレート…
ラッキィ池田が振り付けしたのかな? 笑
そして僕の近所にも宗教にハマった人々が多々…
癌も祈れば治ると言われて、まともに治療せずに、皆お亡くなりに…
幼なじみの親戚は、20代で勘当、蒸発…
安否も判らず15年以上経っている
実父の葬式にも来なかった…
僕の周りで、宗教絡みの家庭崩壊、自さつ、空き家放置…多いです
他人事には全然思えない…
そして震災ネタをぶっ込み
今更感あり
綺麗に手入れされた蘭が意図的で象徴的
メダカだけを飼い続けたのは解るが、むごい…
そんなすぐに悪影響は出ないョ
介護ベッドはレンタルじゃないのね…
介護認定高そうなお爺さんでしたが
市民プール?の公共サウナ
男女兼用なのね
グチを聞いて逃げて行く男たち
クスッと…でも頂けない…
後ろ姿だけのムロツヨシ
EDテロップで気づく
もろ無駄遣い…
キムラ緑子のタレ目が怖い
こんなにタレ目だったっけ…?
テープ貼り過ぎ疑惑あり
削除しないで
江口のりこちゃん
リアルにいそうな信者役
勧誘されたら負けてまう…
ファブリーズ女優の平岩紙
除菌よりも除霊にハマる…?
ナンマンダ〜災難ダ
スーパーの掃除のおばさんが、僕の母に似ている
この人が出ると、思わず感情移入してまう
半額希望のカスハラじじい
柄本明の真骨頂
近所のイオンでも似たようなジジイがいて、出禁になってた
イオンで出禁は、老害の真骨頂…
そして聾唖者を侮辱
やり過ぎです
昔、近所に聾唖のおばあちゃんがいました
幼少期に世話になって、良い思い出しかない…
手話は覚えられなかったが、お互い一生懸命コミュニケーション取ってました
聾唖の婚約者?を露骨に差別する母親を見て、凄く悲しくなって涙が出た…
差別発言では無いが、聾唖の女性は割と気が強くて、積極的な人が多い気がするので、劇中の女優さんもリアルに見えた…
喋り方を観て、本当に聾唖の人だとすぐに解った
ここで思考回路がストップ
回復するのに苦労しました…
非常に嫌な波紋だった
G指定にしては強烈な嫌悪感
クレーム来そうだが…
知らんけど
波紋攻撃?のグレー画面が、スーファミ系ロープレ画面に見えた
「ポチャン…」の水音…
ややふざけすぎ
歯ブラシネタはベタですな…
笑えない
他人の庭でくつろぐ猫
絶対ウン子してるョ
爪が伸びて凶暴そうな赤ミミガメ2匹
あの位デカくなると、凶暴極まりない
カマキリに水をかけすぎ
ハリガネムシが出てきそう
痩せたカマキリだったが…
カマキリは関根勤の商品登録☆
失踪から十数年ぶりにしれっと帰って来たのに、安堵感ですぐにあぐらをかき始める図々しい夫
ザ・光石劇場
光り輝く憎々しさ
共喰いを思い出す
「人を呪わば穴二つ」…光石アナフィラキシー発症です
こういう役が超ピッタリ…爆
点滴で費用金額をカウント
死人にムチ打つ…少し違う
中々思いつかないナイスな虐待
大爆笑だった
親子代々に渡り利用する介護ベッド
レンタルじゃなくて良かったね…
死期の近い男は皆、弱気になる
「貴方のした事を、無かった事には出来ない」
過去は緑命水では流せなかった…
僕も父に対して同じ感情があったが、今となっては…
出棺時に釘は打たないの?
宗教の違いか?
この時には脱会してたハズ…
やけに小さい棺桶から、転げ落ちる光石研
枯山水に無様に転がる、ヒモだった元ダンナ様
最後の最後にバチが当たる…
僕も大爆笑してしまった
久々なのにキレッキレのフラメンコ
なんじゃこりゃ? 爆
喪服で踊る…バチ当たりが!
神に向かってメンゴしなさい
色んな事が自分と被って、ややカオスだった
孫と一緒に笑顔で終わるラストを勝手に想像してたけど…
コテコテだが面白かった
居場所から逃げられない女性の心情リアル
(完全ネタバレですので鑑賞後にお読み下さい)
※本来の長いレビューを書く時間が最近ないので、短く
この映画『波紋』は、居場所から逃れられる男性と、居場所から逃れられない女性の話だと思われました。
主人公・須藤依子(筒井真理子さん)の夫の須藤修(光石研さん)は、2011年の福島第一原発事故の放射能汚染のニュースを見た後で家から失踪します。
夫の修は10数年後に癌に侵されたのを理由に家に帰って来ますが、主人公・須藤依子はずっとその家に居続けていました。
須藤依子はただし新興宗教の信者になっていました。
この映画を観て、なぜ男性の夫の修は家庭から逃げることが出来て、女性である妻の主人公・須藤依子はその場から逃げることが出来ないのか?
私的には、女性はその居場所で子供を産むからではないかと思われました。
子供を産むことなく育てることにも潜在的に無責任である少なくない男性は、その場から精神的含めて逃げることが出来るのだと思われました。
しかし女性の方はそうは行きません。
この女性男性の精神的な差異が、男性への怨念にも満ちたこの映画の根本であり、それによってリアリティある(男性にとって)恐怖を表現していると思われました。
主人公・須藤依子が、おそらく自身にとって救いの未来であった歳上の水木(木野花さん)の部屋がゴミ屋敷になっているのを見て涙する場面がありましたが、私的もここで深い感銘を受けました。
(その後、その水木の部屋は精神的に立ち直った須藤依子によって綺麗に掃除される訳ですが‥)
居場所から逃げられない女性の怨念の刃を正確に突き刺した本作は、個人的にも深い映画になっていると思われました。
惜しむらくは、波紋の会話イメージ場面のCGがもう少し質が高ければとは思われはしました。
しかし深さある映画だったと面白く鑑賞しました。
痛快爽快の絶望エンタメ
社会問題になっている題材を中心にコメディも交えながら描いた痛快爽快の絶望エンタメ。主演の筒井真理子を中心に実力派揃いのキャスト陣の素晴らしい演技に引き込まれる。テンポが良くて誰もが共感できるような見応えある作品。
2023-105
なんとも気持ち悪い感じでした
なんとも気持ち悪い映画だった。面白くないというわけじゃないけど、後味が悪い。
人間的な気持ちと、宗教的な気持ちが、大きくズレている事が、人間らしいのかもしれませんが、あまりに乖離しているのではないかという気がしています。
ブラックユーモア
荻上さんの作品は良い所にも手が届くし、嫌な所も掘る感じ。そこを面白く皮肉たっぷりに仕上げる。
とある家族。震災があり、夫が失踪。息子は九州に就職。離散して行く家族とは裏腹に家を守り抜く妻。
そりゃ何かすがり付きたくなるし、新興宗教にも
入信するし不思議な水も買うよね。何故か枯山水を庭に。精神的支柱なのかも。
何年か振りに夫が帰宅すると癌と伝えられる。
義父のお世話までし、お葬式も独りでしたのに。
それでもお金を貪る夫。
久々の食卓は食べ方が、矢張気になる。意外と勝手に出て行った方が無神経だからね。
息子は聴覚障がいの彼女を連れてくると結婚すると伝えられるが、自分の嫌な気持ちを彼女と息子から見透かされる。
全体的に誰しもが持つ、人の嫌な本質と行動の心理を捉えてるよね。根本的に自分本位で身勝手だから。
夫も亡くなりお供えと清める水も消え、最後は
雨の中でフラメンコ。シュール過ぎる…。かなり。
この奥さんに降りかかった社会の縮図の波紋が
スッキリしてくれればと願う舞いでした。
劇中の新興宗教のお祈りの振り付けは笑います。
波紋は人の数と同数で発生する
荻上直子監督作品。公開時見逃したが、予想通り直ぐにサンサン劇場で再映されたので鑑賞。
去年見た『川っぺりムコリッタ』が思っていた以上に心に残り好きだったので、本作はどのように料理されているのか興味津々で鑑賞しました。
個人的には『川っぺり~』の方が好きなテーマでしたが、本作は映画単体として面白く興味深く見させて貰いました。
よくあるハートウォーミング作品の紹介というか感想で「悪人が登場しない映画」とか「登場人物全て善人」とかの定型文がありますが、それを裏側から見たような皮肉を込めたブラックコメディという印象の作品でした。
人間なんて、全てが極悪非道の人間なんていないし、その逆の品行方正・清廉潔白な人間も現実では見たことないのに、映画の中ではどちらも存在します。
少し前に見た『パリタクシー』もそんな映画ではありましたが、節度が保たれていましたので良かったのですが、極端だと逆に鑑賞者のストレスにもなってしまいます。
そういう意味で本作はそうしたストレス解消の為の、悪人とは呼べないまでも、鈍感で空気を読めず自分勝手で自分の欲得優先の偽悪的・偽善的な日常の振る舞いに対しての摘発映画の様な気がしました。
本作ではそれがあくまでも主婦(主人公)目線ではありましたが、そうした自分に対する攻撃(暴力)的波動のことを本作では“波紋”として具象化していて、それは、鑑賞者の誰しもが実生活で経験することなのである程度共感出来て面白かったです。
私も見ていて(主人公の周辺にいる)こういう人達は絶対に心から信じられないし、私の実際の人生の中にも登場人物のような人間は一杯いたなぁ~って、次々と思い出していましたよ。
但し本作では、主人公も含め波紋は全ての登場人物から発生し他者に影響しているという事を映像で見せていました。
なので、相手にとっては自分が波紋を起こしている円の中心であるのかも知れないのだという事も気づかせてもくれていました。
正直言って私も決して多くの人に好かれるタイプでもないし、自分でも気づかない部分で人を傷つけているのかも知れないという自信のなさも強くある人間なので、本作は波紋のシーンで共感と反省と半々の作品となりましたよ。
ということで、本作は“大好きな作品”とは言いませんが、大いに刺激的で勉強にもなり、今後ますます荻上直子監督作品から目が離せなくなりました。
いくつかの波紋が人生をいろどる。
やはり、みんなそれぞれ、自分の地獄を持っているんだな。
波紋がたくさんあった。
見える波紋と。見えないけど、心情の中の波紋が。
自分の中に差別や、自分が忌み嫌っていたものが、思わぬ事態で突然現れてくる。そしてそれを抑えられなくなる自分が一番怖いかも。
常識的な反応の仕方はわかっているのに、もう以前のようにはふるまえない自分。
何が変わってしまったのか、なぜこうなってしまったのか…
でも掃除のおばさんの本当の姿を知った時、彼女の中にある地獄を見た時、主人公は自分の素直な感情を出す事ができた。
それが救いだ。
主人公の中で何かが終わったのか。
波紋の輪の広がりが、静かにおさまっていくような…
ラストのフラメンコは圧巻。
彼女の中の全てをほとばしらせながら夢中で自分の感情のままに熱く踊るさまは美しかった。
過去に情熱的な踊りを習っていたような、感情が激しい内面を持ち合わせている女性だったのね。
何か人生、一回、二回、回って戻ったような。
本来の自分自身に戻ってきたような。
波紋が何回か起こり、そして静かな水面に戻るような…
人生ってなんだろう。
なかなかうまくいかないね。
何かにすがってしまったり、自分はそういう人ではない、と思っていたのに実はそういう人になっていたり。私もあるな。
メビウスの輪のような…波紋のような。
それでもなんとなく終わっていく人生。
その時は地獄だったのに、なんでもないように終わっていく人生。
だからこそ、「今」を生きていかなければ。
もう、「今」しかない。「今」のあなたしかないんだ。と言われてる気がした。
自分の周りでも静かに起こっていそうな出来事に、なんだか安堵したのはなぜ?
みんな少なからず似たもの同士なのかも。
にしても、宗教の踊りのバージョンが何バージョンあるのか?何度も吹き出しそうになってしまって楽しかったです。
何に生きがいを見出すか
幸せとは何か、、。
新興宗教、蒸発した夫、その夫の残した義父の介護、一人息子が久々の帰省で突然連れて帰ってきた恋人、日常とどう向き合ってどう生きるか。
孤独な主人公が出会うパート先の清掃のおばちゃん。
どこからか澱んでいた水が少しづつ流れ始める。
いい映画でした。
水繋がり❔共鳴はしないのか…
女性的目線でつくられていて、勉強になりました
一つ一つの言葉や行動が波紋を発生させ、どう波及していくのかが、とても面白かった
カマキリにホースで水をかけるシーンは、旦那の心境を如実に表現してた
奥さんはあのあと自由をつかめたのか
作品の中でもいろんな所で波紋の起きる姿が描かれますが、観ている側の心情にも少なからず波紋を巻き起こしてくれる、そんな人間のエゴや弱さを見事に描いた作品です。
予告を観て気になったものの、自分には合わない
気がしたので当初鑑賞予定がありませんでした。・_・;
昨年鑑賞した「観て良かった」作品の監督作と知って
上映期間ギリギリに滑り込んで鑑賞してきました。
◇
舞台は、たぶん東京。
始まりは、東日本大震災が起きた年の春。
親子と祖父の4人で暮らしているごく普通の家。
「雨に放射能が混じっていて危ない」
TVを見てそう言っていた父(光石研)が失踪する。
特段、宣言して出て行ったワケではなく
食事時に呼びに行った息子が母に知らせる。
「父さん、居ないよ」 「…え?」
庭を探す依子(筒井真理子)。
水やりの途中。ホースから水を出したまま。
そのまま、父は戻ってこなかった。
そして10年と少しの時間が流れる。
再び家族の暮らしていた家。ゴミ出しをする依子。
かつて植物がびっしり植えられていた庭は
草木が全く無い、「枯山水」の庭となっていた。
リビングには立派な祭壇。
その前に座り、手を合わせ拝む依子。
次に引出しから遺影を取り出し卓上に。祖父だ。
申し訳程度に手を合わせ、また引き出しに放り込む。
立派な祭壇には「緑命会」の御神体。
緑命会は、依子が入信した新興宗教だ。
遺影は祖父。失踪中に亡くなったようだ。
立派な祭壇に比べ、扱いの程度が知れる。 うむ…
10年前は高校生だった息子(磯村勇斗)。
高校卒業と同時に家を出て、九州で進学・就職した。
依子ひとり、この家で暮らし続けている。
心の支えは「緑命会」そして「緑名水」。
そんなある日。 「父帰る」
恐る恐る、依子に声をかける父。
” 祖父の位牌に手を合わせたい”
” 家に上がってもいいか ”
依子の心中にドス黒い感情が湧き起こる。
感情を押し殺し、般若面のようなカオで家に入れる。
” 拝んだらすぐに出て行ってもらう ”
依子の気持ちを察しているのかいないのか
食事を要求し、泊まっていくと寝床までも求める父。
黒い感情を抑えるには「緑名水」だ。 飲んで一息。ふー。
御神体に手を合わせ、感情を押さえつける。
父が切り出す。
「俺、実はガンなんだ」
「この家で最期を迎えたい」
「ガンの治療にカネがかかる」
” 何を勝手なことを…!”
依子の中に「我慢ならない」感情がどんどん増えていく。
それは、夫との間の事だけにとどまらない。
・パート先スーパーの客の図々しいジジイ(柄本明♡)
・庭に侵入してくるネコの飼い主
・突然、交際中の女性を連れて帰省する息子
依子が縋るのは「緑命会」。
困ったときには「緑命水」。
この家族の行く末、果たしてどうなるのか…
◇
と、まあ
現代の世の中が抱えている問題を
これでもかと言わんばかりに詰め込んで
お話は進みます。
「 鑑賞後、愉快な気分とは言い難い 」 けれど
「 あるある、と強烈に共感してしまう 」
そんな不思議な味わいの作品でした。
見応えは充分なのですが
疲れている時 とか 気持が沈んでいる時 などには
観ない方が無難かも とも思います。 (…ホントです)
私は元気なときに観たので、観て良かった。 ・_・
満足です。
◇あれこれ
■親子ねぇ
介護されながら、依子の胸に手を伸ばす祖父。…(無言で排除)
介護されながら、依子の胸に手を伸ばす父…。…(フっ と笑い)
「…親子ねぇ」
「…えっ?」 と父
平穏ではいられなくなったような気が…。(⇒父)
■あの寺は?
息子から頼まれ、息子が連れてきた女性を連れて
観光案内に出かけた依子。
スカイツリーの次に「どこかの寺」を訪れているのですが
どこの寺だったのか。
※もしかして、「縁切寺」に連れて行ったのでは?
などと考えてしまいました…。・_・;
■あの手話は?
息子と共に家を訪ねてきた女性タマミ。
耳が不自由だが、声と手話で息子と会話している。
「水が欲しい」 と
依子が出した「緑名水」を飲んだ直後だけ
息子と「手話」だけで会話をしていました。
※手話で緩和した内容はなんだったのか…。気になってます。
(聞かれたくない内容なのでしょうけれど…)
■ムロツヨシ
観ている最中にはムロツヨシがどこにいるのか
見つけられませんでした。 …無念。
※緑命会の信者メンバーの誰かかな?
とか思ったのですが… 違う気がする…。
ムロツヨシはいったいどこに…。
■場面展開時のタップ音
カスタネットのような「タタタタッタタッ」 という音。
何か意味があるのか気になっていたのですが
最後になって ” フラメンコ ” のリズムかと思い当たりました。
ラストシーンへと繋がると綿密な仕込みなのかも。
そう考えたら、すごい構成だと感心。
■嫌なジジイ
商品に難クセをつけては「半額にしろ」と
値引きを要求する爺さん。
柄本明ならではの存在感と迫力に拍手。♡
※現実に目の前にこの爺さんがいたらイヤかも…
◇最後に
ストーリーの前半(というか序盤)
返ってきた父を、ゴミを見るように扱いながらも
何となく迎え入れてしまっている依子。
そこにずっと違和感を感じながら観ていました。
それが、
「貴方のした事が、無かったことにはできない」
の発言になり、
出棺の際、落とした柩の中から「手」が出てくる場面での
「大笑い」となり、
出棺後の庭先、雨の中での
「フラメンコ」へと
繋がって行った気がします。
依子はやっと開放されたのだろうか と
何故かほっとする気持ちにもなりました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
主人公が人生を生き直す、これからを感じさせるラスト
これまでと作風をガラリと変え、ブラックユーモア万歳に人間の醜い面を、ドミノ倒し的に描き出す
無害に見えて性根の腐ったクズ旦那の光石研、健気な息子と見せてただの甘ったれの磯村勇斗、逞しい老女かと思いきや孤独に潰されかけていた木野花ら、役者陣がみんな素晴らしい
そんな中で、主人公がどこまでも報われないパターンのストーリーながら、ラストシーンには不思議な爽快感を与える筒井真理子の女優魂は圧巻
ムロツヨシが、一見ムロツヨシとわからない姿で出演してるのは、前作の「川っぺりムコリッタ」に出演した際監督に、今までのムロツヨシを無くして演じろ、みたいなこと言われたからだと勝手に推測
女性俳優筒井真理子をとことん味わうための映画
2023年映画館鑑賞34作品目
6月21日(水)イオンシネマ新利府
ACチケット1000円
監督と脚本は『バーバー吉野』『恋は五・七・五!』『かもめ食堂 』『川っぺりムコリッタ』の荻上直子
夫の蒸発後に新興宗教にハマった主婦の話
そんなある日に夫が戻ってきた
癌で長くないという
東京を離れ九州で就職した長男が恋人を連れて帰省した
恋人は6歳年上で聾唖者だった
監督初のブラックコメディーという意欲作
なにかしら思うところがあったのだろう
インタビュー記事を読んでもよくわからないけど
とにかく主演の筒井真理子の芝居に尽きる
とことん味わってもらいたい
サウナで水木さんが依子に「男を甘やかしてダメ」などと説教していたら男性客がどんどん席を立つシーンが面白かった
時折何かしら叩く音がうざかった
必要性を全く感じなかった
ラストで何の音がわかった
フラメンコだ
荻上直子監督にとっては重要だったのだろう
都内の庭で枯山水とはなんと贅沢な
しかし棺桶を運ぶときは歩きにくいったらありゃしない
ほらいわんこっちゃない
落ちた棺桶から出てきた夫の遺体を見て大笑いする依子とそれを見てドン引きする息子は印象的なシーン
あのホームレスがムロツヨシだったとはあとでわかったことでエンドロールでは「あれ?ムロツヨシ出てたっけ」と思ったくらい
福島原発事故のエピソードはどうしても必要だったのかな
あと妻が6歳年上ってなにがいけないのか自分は理解できなかった
生まれつきの難聴に関してはわからないではないが遺伝するとは限らないだろう
配役
スーパーのレジ係としてパートをしている須藤依子に筒井真理子
蒸発後戻ってきて再び共同生活を始めた依子の夫の須藤修に光石研
依子と修の息子で宗教にハマる母に嫌気がさして九州の大学に進学しそのまま就職した須藤拓哉に磯村勇斗
須藤家の隣に住む主婦に安藤玉恵
依子がハマる宗教団体の信者の小笠原ひとみに江口のりこ
依子がハマる宗教団体の信者の伊藤節子に平岩紙
拓哉の子供を身篭り結婚する予定の珠美に津田絵理奈
寝たきりの修の父に花王おさむ
レジで半額を要求するカスハラ常習犯の門倉太郎に柄本明
依子が働くスーパーの清掃係の水木さんに木野花
依子がハマる宗教団体のリーダーで教祖と信者のパイプ役の橋本昌子にキムラ緑子
修に話しかけるホームレスにムロツヨシ
総じて滑稽
いやー、ジワジワとくるわー。
喪服で力強く踊る 筒井真理子が頭から離れん。
最高っす!
そして、この俳優たちを集められる監督が、スゴい!!!
平岩紙と江口のりこの宗教にハマっている人の目が上手すぎて震えた。
そして、笑えた。
木野花の近所のおぼちゃんにいそうな感じで
人生経験の深さを体現しているところに感服。
とにもかくにも、人の弱さと強さ、
総じて滑稽さがテンポ良く描かれていて、
とても面白かったです。
生きること
逃げてた夫が癌を宣告され家に戻ることで、波紋の如く広がる主人公の心情の起伏。
いろいろなものに縋りながら生きる女性たちの心情を描き、聖人君子ではない人間を描く。
そこに倫理観だけでは表せない生きることを清々しく描いている。
閉塞した女性の感情
疑問に思ったのは、介護を押し付けた夫が失踪した後、義父が亡くなりやっと介護の重圧が無くなった後に、なぜ新興宗教に傾倒したのか、という点。
夫の支えが無くなった後が一番辛かったはずなのに、その時では無く、少し解放されてから新興宗教にハマったのだよね。そこは納得できなかった。
まぁでもウチの妻も夫である私の行動にいちいちイライラしてるので、観ていて主人公がイライラするのはさせている立場からも判る判ると思えて、失笑を禁じ得なかった。
ラストシーンは、圧巻かつ印象的。レッド、アンド、ブラック。カッコイい、けど、ズルい。終わってない、よね。
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