劇場公開日 2023年5月19日

「似た者同士の「追っかけっこ」。」最後まで行く ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5似た者同士の「追っかけっこ」。

2023年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

現場叩き上げの苦労人工藤刑事と、出世街道まっしぐらのエリート矢崎監察官の対照的な二人の対決が面白い。最初の方は、工藤の警察官にあるまじき無茶苦茶な行動がスリル満点に、見る者を画面に引き付ける。人をはねて殺しておいて、トランクに入れて逃げ去るなんて面白過ぎる。一度間違えると、どんどん悪いことが連鎖していくのはよくあるパターンだ。ドタバタぶりを笑いながら見ていると、途中から脅迫者の出現で一転して怖い展開になる。そのあたりから、工藤も矢崎も警察官なのに何をやっているんだろうと頭が混乱する。警察官というのは、表向き正義の仮面をつけているが、本心は欲にまみれた人間に過ぎないということか。
二人とも何かに追い詰められて「異常」になっている。本心ではなく、やむを得ず大きな力に圧力を受けてそうなっているように見える。二人ともタイプは違うが、似たような状況になって同じようなハチャメチャな行動をとっている。似た者同士が追っかけっこをして、最後には同士の様に見えてくる。話は複雑に入り組んだりするが、この似た者同士の追っかけっこがこの作品の面白さの様に思う。岡田准一と綾野剛が「異常」な警察官を好演した。

ガバチョ