水いらずの星のレビュー・感想・評価
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救いのない陰鬱な2時間44分
劇作家・演出家の松田正隆さんが2000年に手がけた戯曲を越川道夫さんのメガホンで映画化。
長崎は佐世保で暮らしていた夫婦。
6年前に他の男と駆け落ちしたがいいことはなく、男と別れて流れ着いた香川県の坂出でシャブに堕ち体を売る女。
末期癌と診断された夫が坂出の妻を訪ねた。
まさに傷だらけの男女の再会。
心と体の対話。
陰鬱な2時間44分だった。
救いのない苦しい時間だった。
ツッコミ役がいないボケだけのコントのよう
濃厚で濃密な関係
濃厚で濃密な時間が流れます。
じっくりと2人の心理の変化に寄り添う演出に「これは舞台だ」と感じました。
それもそのはず。もともとが戯曲なのですが、舞台上で流れる生の時間をそのまま映像にしたような。
次のセリフが出る心理になるのをきちんと待つ時間は、観ている側の想像力を掻き立ててきます。
私の映画仲間が「映画はサマリーだ」と言ってましたが、カットで時間と空間を割愛できるのが映画らしさだとしたら、本作は非常に映画らしくない。笑
“舞台を映画にした映画”だと感じました。
ところが!後半の展開に「いや、これは紛れもない映画だ!」「映画の為に作られた映画だ!」と興奮しました。
時間と空間を超える圧倒的な愛!この感覚は映画ならでは。
嫌い嫌いも好きのうち…いや、違うな。
可愛さ余って憎さ百倍?これもちょっと違うけど。
“愛”の対義語が“無関心”だとすると、男と女はきっと、お互いのことを忘れたことは無かった。
一番辛い時に辛いと言える相手。心配をかけても良い相手だったのだ。
まさに水いらず。他人が入ることの出来ない間柄。
河野知美さんのギリギリな演技と、梅田誠弘さんの柔らかな声が沁みました。
たまたま映画館でプロデューサーでもある河野知美さんからチラシを貰って上映を知りました。
当初、帰省する予定だったところが、思いもかけない展開でキャンセルになり、
諦めていた初日に観に行くことができました!
観るべき映画には呼ばれるものですね。
偶然が重なって出会えた奇跡に感謝して。
いちまんえん
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