ミステリと言う勿れのレビュー・感想・評価
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観察眼
田村由美さんのファンだ。
勿論、本作の原作も読んでる。
楽しかったー
テレビシリーズは見てないので、コレが初見。何より楽しかったのは、整の長台詞だ。
ちゃんとあった。いや、寧ろ売りくらいの扱いになってるのが嬉しい。
事件に関する事もそうでない事も、彼が話す持論はとてま思慮深く、本質を捉えて離さないように思う。
文字で読む時は、何度か読み返す。それが音声になって聞こえてきた今回は、脳の深くに沈殿していくようで心地がいい。
あんな考え方や捉え方をする主人公だから、彼が話す一言一句に「真」があるように思えてくる。
彼は喋る人ではなく、喋れる人で、その裏側には膨大な知識と、そこから連なる答えを持ってる。
それはそのまま、原作者・田村由美の脳内なのかも知れず…アウトプット先の一例なのかもしれない。
作中に「とある映画の台詞で…」なんて喋り出しがあり「犯罪とは努力の裏側」みたいな台詞がある。
エンドロールを観てたら、どうやら実際にある映画から引用したらしい。
驚いた!
別に創作でも構わないと思うのだ。
フィクションだし、そんな映画なくとも「映画で」と枕詞を付けちゃえばいい。
でも、存在する。
作者はその映画を観たか、聞いたかして、心に留めて原稿に落としたのだ。
小説家と漫画家の頭の中を覗いてみたいとホントに思う。特に田村由美さんの頭の中は。
「人の弱さ」とか「女性の幸せ」だとか、古くから慣習に準えて出来上がった価値観さえも覆す。
ここが変だよ日本人!的な事で大好物だ。
なんなら広辞苑とかに掲載されてる単語の成り立ちにまで言及する。長きに渡る男性上位社会の負の遺産なのかもしれない。
原作読んでて激しく頷く事も多ければ、目から鱗な事も多いのだ。
さて、そんな宇宙の如き広がりを見せる記憶領域を持つ主人公は、高性能な観察眼をも持ってる。
普段はどこか抜けてるのだけれど、彼の芯は強い。
それは歴代の名探偵の符号のようでもあり、金田一耕助しかりコロンボしかり、古畑任三郎しかり。
相手の油断を誘う為の擬態みたいなものなのだけど、彼の場合はちと違う。スキルではなく素体なのだ。
相手が勝手に見間違う。
…映像にされるとそんな事まで考えられて楽しい。
素体だからこそ、はぐらかさない。
彼の眼差しは、常に対象に向けられてるように思う。あまり瞬きをしてる印象もない。
強く静かに問いかけ、投げかける。そんなイメージがある。それは今までには無かったタイプなんじゃないかと思う。
菅田氏の真っ直ぐな目が印象的だった。
綺麗ではなく澱みのない眼差しだった。
原作は漫画なので、瞬きなんて設定が描写されるはずもなく…もし、それが役作りの一環なのであったなら、映像制作者としての功績なのかもしれない。
ラストに自供を促す台詞がまるで違和感ないのが痛快だった。快感と言ってもいい。
相手を観察し知り、想定した後の一手。あの台詞がハマったって事は、この作品は成立してるって事の証明でもあると思う。
物語は、田村由美さんが書いているのだから面白くない訳がなく…人間の心理と生理に則ったプロットで味わい深い。
ただ、映像になった分つまづきを感じた部分も無くはなかった。
田村原作のアニメなり舞台はありはするのだけど、なんとなく焦点が合ってる印象は薄く…ドラマを押し出すのは間違いではないのだけれど、実のところそこではなく。
ドラマを構築する人々への繊細な心理とか機微とか、人物に向けての造詣こそが真骨頂だと思ってて、そういう意味では大満足の一作だった。
コレはもう菅田氏を絶賛するしかなく…プッと吹き出すようなカットも多々あって、関係各位にお礼を述べたい。
楽しかったー
▪️追記▪️
『ミステリと言う勿れ』この題名について考えてみた。
ミステリを辞書で引くと
神秘的な事、謎、不可解なんて言葉が出てくる。
表題は「言う勿れ」一括りに断定するなよって言われているようにも思う。
知らないから"謎"であり、分からないから"不可解"なのだ。ならば、それについて知り、理解を深めていけば謎も不可解も消滅する。
その糸口は、何より“対話"なのだと思う。
人に向かい、先人達の文献に向き合い対話し、自らに落とし込む。
主人公・久能整がやってる事そのものだ。
レッテルを貼る前にもっとやれる事があるだろと言われてるようで、とてもイカしたタイトルに思う。
▪️余談
常々思う事がある…。
たまに、随分前に書いたレビューに「共感」される事がある。どうやって僕のレビューを見つけるのだろうか?
その作品に投稿される数百のレビューの内から掘り起こす?僕のレビューから該当の作品を探す?自分が投稿したレビューは1000を超えている。
…方法が分からない。
共感してくれた人のレビューを読もうとページに飛ぶも、スクロールしても該当の作品には辿りつかなかったりする事もある。
簡単なやり方があるなら教えてほしい。
僕にとっては、まさにミステリーだ。
再現度高い映画
何が素晴らしいって、
整くんは現代に生きる金田一耕助だ。綺麗な着地に拍手したい
九能整くんは探偵ではない。
しかし、探偵並みの観察眼と卓越した洞察力と推理力を持つただの学生である。しかもコミ障(笑)
今回の広島編は、ドラマにするには少々複雑な上に連ドラワンクール使いそうな話。
映画化に取っておくのにふさわしく、大成功だ。
映画化する意味に「?」がつく邦画が多いなかでも、とびきり上手くいったと思う。
隣の若い女性が見終わって小さく拍手していたよ。
気持ちは同じですだ。口に出すとコンプラ的に問題ですが・・・。
さて、原作は既読でしたから、話の内容はまあ踏まえており、余程の改変がなければ犯人も知ってる中で、どう見せてくれるのかと思ったよ。
整くんが劇中で言っていたように、これは横溝正史だし犬神家の一族だよねー。
でも、今作の中では誰も死ななかった。でも、過去の殺人は明らかになった。
その経緯がまさに横溝正史。
トリック的な部分は、最初のおどろおどろしい蔵を後継候補に渡すこと位で、整くんによって事実は次第に明らかになる。
最後に犯人を罠にかけ自供に導く所も、本格のルールに則っており痛快だ。
例によって整くんの変な人間性(あくまで見方によるけど)によって、コミカル部分もあり、全く飽きずに最後の着地にたどり着いた。大満足。
珍しく松下洸平がサイコパスなところや、柴崎コウ、町田啓太、松嶋菜々子など美しい人が出ている中、原菜乃華の好演が光るね。声もいい。
尾上松也さんの変顔に癒されました(笑)
いい食事をしたあとのような見て損のない邦画でした。
顔のアップが多い、美術がちゃっちい…
ドラマの時から思っていたけど、犯人の描き方が上手いよなー!
でも、ミステリーじゃないな…
真犯人の言動には小さな伏線はあったけど、事故死の真相を解くのに手帳だけではヒントが弱すぎる。
犯人達の爪の甘さが致命的過ぎる。
舞台の痕跡を消しきれていないのもそうだし、8年の間に4つの蔵の下の人骨をなぜ処分しなかったのかが謎。
人骨以外にも一族の悪習に関わる品々が大量に蔵に残されてたままになっていたことがガバガバだなと思った。
一番の違和感は、役者の顔のアップが多する…
特に原菜乃花の顔だけのカットが異常に多い。
最近、硬派な映画を見ることが増えたからか、この違和感に気付けたのかもしれない。
最近は、脇役にもある程度セリフや見せ場を与えて、キャラを立たせる作品が増えている印象があるし、そういう作品に自分自身も慣れてしまったせいもあるのか分からないけど、菅田将暉と原菜乃花だけやたらカメラが寄ってる。
かと思えば、柴咲コウや町田啓太には寄らないというあからさまな演出がされている。
原菜乃花を売り出したいのは分かるけど、こうもあからさまだと作品の質を落とすことにも繋がる。
先月「春が散る」というボクシング映画を見にいった。
橋本環奈が出演していたが、ほぼすっぴんに近い暗いメイクで、ヒロイン的立ち位置だけど、作品の邪魔はしていなかった。(あくまで個人的意見だけど)
フジテレビが絡むと、演出のあざとさや露骨なゴリ押し感が見えてしまうから、俺はやっぱり苦手だなと思った。
本日もとっ散らかってレビューでした!
結構面白かった
テレビドラマの続編映画?みたいですがドラマは見ていません。なので登場人物とか背景とか一切知りませんでしたが、楽しめました。
広島で行われていた美術展に東京からわざわざ来た大学生の久能整は謎の少女に半ば無理矢理連れていかれ遺言書の立ち会いに連れ出される。
謎の遺言書と遺言書の謎を解いた物に全財産相続とかかなり変わった内容だったが、それによって4人の孫が争う事に。
最初の事件は軽いジャブみたいな物で直ぐに犯人は特定できたが遺言書の謎は不可解。
なにより本来なら孫では無くその親世代が相続するはずが事故で4人とも他界。それ故に呪いだの相続争いの結果だの色々あって孫世代に相続になる訳だが、何故法定相続分ではなく総取りなのか?この遺言書の謎解きが厄介。
そらにしても巻き込まれた探偵役の久能整君は現代風金田一耕助の様な風貌で頭がやたらとキレる。仕方なく手伝っている割に観察力も良いし相手をトリックに掛けて陥れる事もするなど見た目と異なりなかなかの切れ者。
難解な事件を鮮やかに解いてしまった。
確かに画面をよく見ていれば分かる。
なかなか良くできたシナリオだと思う。
人気が高い理由も分かる気がします。
一つ残念なのは広島が舞台なのに美術館と路面電車の駅と宮島と東広島駅位しか広島県が出ていない事位でしょうか。広島が舞台の映画ってかなりの確率で岡山ロケが多いんですよね。確かにロケに相応しい建物が多いのは認めますが。
菅田将暉さんじゃないと整くんは成り立たない! セリフの量も演技も…...
ストリーの流れが映画だからなのか、ゆっくりな感じはしましたが。 人...
ちゃんとミステリしてた!
こんなタイトルですがちゃんとミステリしてました!(半分は作者の謙遜の意味らしいですが)
広島を訪れた大学生 久能整(菅田将暉)が女子高生の狩集汐路に声を掛けられ、遺産相続をめぐる殺人事件が起きそうなので、自らを守って欲しいと依頼されるところから物語が始まります。
主人公の久能整は天然パーマがトレードマークのごく普通の大学生ですが、すぐれた記憶力と観察眼で登場人物のささいな言動から思いもよらない推理を展開していきます。
彼の言い過ぎとも思える無遠慮な発言にも実は意味があるのかも?
遺産相続をめぐる殺人事件という事で久能くんも「犬神家の一族」などと発言していますが、
整くん独自の推理スタイルの魅力と共にそうした過去のミステリに対するリスペクトも感じられる部分もありました。
コミカルな部分もありつつ、伏線や謎解きもきちんと解答が示されて見ていてスッキリできるなかなか楽しい「ミステリー」でした♪
整くんが愛おしい
ドラマで結構好きで見にいきました。
整くんが広島に来て、そこで事件に巻き込まれていくのですが、そもそも広島に来るように仕向けられていたというのが、らしくてウケますね。
狩集家の遺産相続争いに巻き込まれて、与えられた蔵の鍵とともに遺書の謎を解こうとする4人の従兄弟たちと整くんと弁護士。
犯人は、、最初から違和感しかなかったので想定通りでした^^;
蔵は怖かったけど、DVDの話がめちゃ面白くて、絵とナレーションとともに引き込まれました。声が良すぎました。
整くんが、女性の幸せについて語るところがよかった!
女は愛嬌、女の武器は涙、女の友情は脆い、男勝り、女の敵は女、、など女の言葉はたくさんあるけど、それは男性が作った言葉で、女性はこうあるべきという、女性をある型にはめるために作られたのだと。なるほどなーと納得しかなかったです。
で、なんで天パで色白の人が殺されないといけなかったのか?本当の狩集家の人たちを殺した鬼(と呼ばれる)と似ているからというのはわかるけど、、鬼が自分たちの血筋を引く子孫を殺すってなんで?とそこだけ理解できなかったかな。天パじゃない人を殺すならわかるのにな、、。
正当な子孫の報復を恐れてバレないようにひっそりと暮らすため?でも資産家で引っ越したわけでもないんだから、、隠れ住むのは難しいよね^^;
あとなんでいとこの1人だけが広島弁バリバリなんだろうとか気になりましたが。
そして松嶋菜々子さんは相変わらず美しかった!石のブレスレットをプレゼントするシーンもよかったですね。
エンドロールで佐々木望の名前があったからどこで出てたのかと思ったけど、ニュースのナレーションかー、そこまで気づかなかった、、昔好きだったのに、声だいぶ変わってわからなくなりましたね。
整君の推理力が光る!
柔らかさと重厚さのバランスのとれたミステリー
地方の財産家の相続ミステリってかなり好きなジャンル。過去作では犬神家の一族1976年版は日本映画ミステリの最高傑作のひとつだと思ってる。
その飄々とした個人探偵のような役柄を現代版にすれば、こんな感じなのかなってのを菅田将暉が演じていて、さすがは安定の演技。
一番年少の少女を演じる原菜乃華も勝気そうでも感受性豊かな女の子が当たり役で素晴らしかった。
脚本の展開も最後のシーンまで誰が犯人なのかミステリ感が出ているし、途中で犯人だと思ったら、もっと別のところに犯人がいたりと。原作未読だからこそなのか、最後までたのしめた。それにしても、菅田将暉の演じた久能君のセリフの読み具合って、抑制聞きながらも深みもあって、聞き取りやすい。
セメントが乾く前に
漫画単行本出てるところまで既読済
今回のテーマ
セメントに落とされた物
鬼の集まり
人が弱いことを知る
町田啓太イケメンだな〜ほんとイケメン
柴咲コウがゆらすぎて!美しくて眼福
原作で好きなネオは広島弁がこわかったw
しおじは可愛い
実写化にありがちなキャラクターに対する違和感が少ないよね
細かいセリフや設計は映画に全て入れられないだろうから、そこは物足りなく感じた
行きの新幹線、人生の伴侶〜、あたりがないのはストーリー的に唐突だし、
家を調べていてネグレクト、っていうのもなくて、しおじへの救いが少し足りないのかな?とか。
朝ちゃんが淡々としおじのおかげと語り、
しおじが、わたしがパパを殺した…?というところは実写だとさらに悲しくなった。
親の足を引っ張るどころか…
さちちゃんをスパイにしようとしたネオに言った言葉がね…
エンドロールの最後、大隣署の一幕わろた。
広島でも事件に巻き込まれてるのか!?わろ
原作者の作品おもしろいものばかりだから、もっとたくさんの人に見てほしい。
ミステリも、ほかのエピソードも面白い、奥深いのばかりだから原作読む人がもっと増えてほしいな〜。
連載中の風呂光のエピソードも気になる。
青砥さんエピソードも今この事件が出てくるか、ってい複線回収がある。
おもしろかった!
映画付き合ってくれてありがとう!
2023.9.29 映画館
久能整くんの喋りを映画館で聴く
分かり易いミスリードと犯人+2つの違和感
原作未読ですが、ドラマは観ていたので、久能整の相変わらずさは、愉しかったです。ただ、ミスリードも犯人も、若干分かりやす過ぎるかも。加えて、犯行にも「鬼の集い」にも、違和感がありました。
①汐路の狂言
汐路(原菜乃華)が1・2歩通り過ぎた処に植木鉢が落ちた時点で、狂言に感じた。階段の油も、最初に怪しく感じたのは汐路だった。ただ、久能は汐路を「芝居がかっていた」と描写するので、狂言と分からせる演出だったのかもしれない。
②朝晴の失言
「蔵に何かあった?」と訊いた朝晴に、久能がホラー映画に例えながら人形の存在を語ると、朝晴は「そんなに大きくないでしょう」と突っ込む。この失言で、朝晴は蔵の人形を見た事があると気付かない人はいない筈。後で久能が説明する通り、弁護士の父を手伝う過程で見た可能性もあるが、それなら「何かあった?」という問そのものがおかしくなる。 この件だけで犯人と断定はできないが、以降この失言以上の怪しさを誰にも感じなかったので、朝晴が犯人と明かされても、やっぱりねとしか思わなかった。
③天パ殺しのタイミング
真壁家と車坂家が、狩集家の天パを殺すタイミング、遅すぎない? 天パ殺しに気付いたキッカケは故人の写真だが、皆かなり成長していた。バレたくないなら、もっと早く始末すべきでは? 久能整は天才だから仕方ないとしても、狩集弥(滝藤賢一)にも気付かれてしまっている。全く隠蔽できていない。仮に、狩集家に気付かれない為に、一定の年齢まで生かしていたとしても、あんなに写真残しといちゃ駄目だよね。真壁家と車坂家の隠蔽能力が、低すぎる。
④ヒントの為だけの「鬼の集い」
宝田完次(ダンディ坂野)が書いた「鬼の集い」。事件の背景が解明される為に必須な戯曲。完次は、親族の呪われた歴史を告発したかったのかもしれない。ただ、出資者向けの朗読DVD観て、金出したいと思った人いた? 舞台劇をそれなりに観てきたので、救いの無い演劇にも遭遇したことも無くはないが、「鬼の集い」はエンタメ性がないばかりか、社会批判も教訓もなかった。出資を募って上演される芝居としては成立し得ない。事件を解くヒントしてしか書かれていないのは、あまりに不自然極まりない。
P.S. 久能整が、ゆら(柴咲コウ)の父の「女の幸せ」という言葉にキレるが、彼の理論はあまり正しくない。久能は「女の幸せ」は、オジサンが決めたオジサンにとって都合がいい概念で、十人十色な女性を一括りにして幸せの形を決めつけるな、と説く。ただ、久能もしくは、原作者も脚本家も、十人十色な筈のオジサンを一括りにしていないか? 女性の一括りを批判するなら、オジサンを一括りにした時点で論理は破綻する。「男性優位社会」が「女の幸せ」を規定したという方が、まだ納得しやすい。
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