「久能整君の言葉」ミステリと言う勿れ まこやんさんの映画レビュー(感想・評価)
久能整君の言葉
舞台は広島。
毎回必ず死者が出るという遺産相続争いに
巻き込まれた、久能整君。
4人の当主の孫達が相続候補者。蔵の鍵を渡され
『それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき
所へ過不足せよ』と遺言書に記載。
世代を超えてミステリーと奥深い闇を4人と
共に解いていく。
そうか、もしかしたら久能整君は広島出身なのか
……。駅に降り、路面電車に乗り継ぎ美術館、原爆ドームへとスムーズに移動。可能性あり。
所々に彼が淡々と話す言葉が身体中に響く。
『女の幸せと言う言葉を作ったのは、おそらく男であり、このような呪文は世の中にありふれている。自分の中から出た言葉を使っていくのが良いと。あと、家事と育児が楽ならもっと男性がやりたがる』と。
なるほど、確かに幼い時から誰かが言っていたし
テレビや映画でも使われるからずっと受け継がれた呪文。そして、昨今の問題定義をミステリー漫画で味合わせるのは凄いし考えさせられる。
『子供って乾く前のセメントである』
『セメントに落とされた物は沢山あって、その穴は埋める事が出来る。弱みを見せて、出しカウンセリングをして貰う。アメリカでは普通で、日本は相変わらずの根性論。弱い者は負けで、壊れないのが正しい。壊れたら退場で悩み事すら恥ずかしい。弱くて当たり前だと誰もが思えたらいい』と。
久能君の言葉や考え方は好きだ。本当にそうなった世の中になって欲しいし、そんな言葉を使わなくても良い世界になればと願う。
もしかしたら整君の幼少時代の記憶が残り
傷痕となり、そのまま乾いてしまい彼の体内に
潜んでいる穴と重ねているのかもしれない。
菅田将暉さんの三白眼に反射する画像が綺麗で素敵だし、あと改めて松嶋菜々子さんの声のトーンは落ち着く感じがした。
良い映画をありがとう。
我路君との絡みも楽しみして待ちます。