劇場公開日 2023年9月15日

「ドラマファンはもちろん、そうでなくても楽しめる!」ミステリと言う勿れ おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドラマファンはもちろん、そうでなくても楽しめる!

2023年9月17日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

テレビドラマ「ミステリと言う勿れ」の劇場版。ドラマがおもしろかったので期待していた本作ですが、その期待を裏切らないおもしろい作品でした。

ストーリーは、広島の美術展を訪れた天然パーマの大学生・久能整が、女子高生・狩集汐路の強引な依頼により、狩集家の莫大な遺産相続にまつわる事件に巻き込まれ、この家にまつわる不可思議な謎の真相を明らかにしていくというもの。

本作は、舞台を広島に移し、広大な土地を持つ大金持ちの一族の遺産相続問題を扱っており、劇場版ならではのスケールの大きさが感じられます。しかも、遺産相続をめぐる連続殺人事件に発展すると思わせておいて、一族の因縁にまつわる謎が明らかになっていくという構図が、なかなかおもしろいです。予告でさんざん見せていた映像が、うまいミスリードになっていたと思います。

この手の作品は多くを語るとネタバレになるので、うまくレビューできませんが、テレビドラマのテイストはそのままなので、ドラマからのファンなら間違いなく、そうでなくても十分に楽しめると思います。ミステリーとしての謎解きのおもしろさはもちろん、主人公・久能整のキャラクターと彼の発する言葉のおもしろさも、作品の大きな魅力となっています。

彼の言葉は、世の中の常識と言われる固定した考えに一石を投じる重みがあり、素直に心に染みてきます。それは、彼の言葉が、決して高みからの物言いではなく、偏りのない見方や考え方から発せられた純粋で素朴なものだからです。しかも、それを端的に論理的に伝えてくれます。場合によっては空気の読めない、無神経な言葉と受け取られるかもしれませんが、忖度だらけの今の世の中では、彼の言葉は清々しく眩しく映ります。

そんな感じで、ドラマ同様のおもしろい作品なのですが、舞台を広島としたことで、東京の刑事たち、とりわけ風呂光の出番がほぼほぼなかったのは残念でした。また、せっかく広島を舞台にしているのに、それを感じさせるシーンが少ないのもちょっと残念でした。とはいえ、犬堂我路との関係もまだ続きそうなので、これからの展開も楽しみです。劇場版第2弾でもテレビドラマ第2期でもいいので、ぜひとも続編を作ってもらいたいです。

キャストは、菅田将暉くん、原菜乃華さん、町田啓太さん、柴咲コウさん、萩原利久くん、松下洸平さん、滝藤賢一さん、段田安則さん、角野卓造さん、鈴木保奈美さんらで、豪華な顔ぶれです。

おじゃる
Uさんさんのコメント
2023年11月14日

ですよね。久能整君の発する言葉が、この映画の魅力のほぼ全てと言っても、決して言い過ぎにならない気がします。
「偏りのない見方や考え方から発せられた純粋で素朴なものだからです」
同感です。

Uさん
humさんのコメント
2023年9月19日

偏りのない見方や考え方を保つのは流されやすく情報過多な世で、なかなか難しくもありますがそうありたい。
だから整くんに憧れるのかも知れないなと思いました。
そして清々しく眩しく…この印象にとても共感します。

hum