劇場公開日 2023年2月10日

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「二転三転、息詰まるサスペンス」崖上のスパイ バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 二転三転、息詰まるサスペンス

2025年7月4日
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鑑賞方法:映画館

難しい

驚く

ドキドキ

まさにスパイ映画の見本のような秀作だ。実録もののようなリアルタイプと、『ミッション・インポッシブル』『007』のような娯楽タイプのちょうど中間くらいで、リアルな娯楽映画といったところか。

役者陣、特に男優陣はいわゆるイケメンを排除した地味な演技派ベテラン俳優とおぼしき面々で固められていて、そういう目立たない外見がスパイや特務機関という目立っちゃいけない職業に見事にマッチしていた。おそらくチャン・イーモウは間違いなくそれを狙ったんだろう。各配役は年嵩の男性スパイ役のチャン・イーがイーモウの前作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』に続く主演。その妻である女性スパイ役のチン・ハイルーは2000年にフルーツ・チャン監督の香港映画『ドリアンドリアン』でいきなり主演デビューした女優だが、当然ながらもうすっかり大人というか素敵な中年女性だ。若いほうの男性スパイ役のチュー・ヤーウェンはドラマ『大明皇妃』で主演女優タン・ウェイの相手役だった。その恋人の女性スパイ役は『ワン・セカンド』で主演デビューしたリウ・ハオツン。相変わらず可憐である。特務機関の出世頭役のユー・ホーウェイはチャン・ツィイー主演ドラマ『上陽賦』でツィイーの父親役だった。

チャン・イーモウ監督だけあって、とにかく画作りが素晴らしい。雪の吹きすさぶ雪原での野外撮影もものすごいし、ハルビンの街のセットもすげえ大掛かり。そして脚本ももちろん良いが、演出も素晴らしく、暗号・毒薬・睡眠薬・逃走・裏切者・二重スパイ・読み合いに騙し合い・格闘に銃撃戦にカーチェイスと全てがてんこ盛りでありながら、やり過ぎ感が全くない。絶妙なバランスで完成されていて、先がわからなくて最後までハラハラしたし、人物描写も緻密でドラマ性にも溢れてた。面白かったです。

バラージ
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