「アメリカだからこそ成立する?相互理解の物語」対峙 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカだからこそ成立する?相互理解の物語
「謝罪」が文化として定着している日本で、もしも同じような場が設けられたならば、加害者の両親はひたすら謝り続け、被害者の両親は責め続けるのではないだろうか?
まるで他人事のように振る舞う加害者の父親のように、簡単に謝ろうとしないのは、いかにもアメリカ人らしいと思えるし、被害者側が、むやみに謝罪を要求しないのも、アメリカ的であると思った。良くも悪くも、「謝罪」に重きを置かないからこそ、「被害者側と加害者側の会合」という設定に、現実味が生まれるのだろう。
映画そのものは、密室における2組の夫婦の会話劇で、ヒリヒリとした緊張感が持続する一方で、観る側にも相当な集中力が必要となる。
事件の原因を究明したい被害者側に対して、加害者側は、息子に異常はなく、自分たちの育て方も間違っていなかったと信じており、両者の会話はなかなか噛み合わない。
それだけに、どちらも、愛する息子を失ったという境遇を共有していることに気付き、両者が、互いに理解を深めていく様子は、感動的である。
ただし、憎しみや恨みを抱えたまま生きるよりは、「赦す」方が楽に生きられるというのは、その通りであろうが、そんなに簡単には赦すことができないのも人間の性だろう。
その点、劇中の「赦し」には、やや唐突感があり、予定調和のように思えてしまった。もう少し、説得力のある描き方ができれば良かったのだが・・・
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