怪物のレビュー・感想・評価
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あまりに美しすぎる
「担任の先生からいじめを受けてるかもしれない」
この事件を、母、担任の先生、本人
3つの目線で構成される今作。
予告の時から「1番の怪物は誰なのか」を探す作品なんだと思ってた。
実際、本編中も、母と担任のパートでは、
誰が怪物なのか探しながら見ていた。
「うわー、担任が良くないよこれ」
「いやいや周りの児童も…」
「えー?もしかしてお母さんもなかなか?」
みたいな。
でも本人目線になってから、全く違う作品に変貌した。
本人たちは今回の事件の犯人探しだとか、謝罪だとか、そんなこととは全く違うところで、
とんでもなく大きな問題を抱えていて、
それを自力で解決するにはあまりにも子供だった。
思春期にもまだ満たない子供の
心の葛藤とか、揺れ動く様とか、
そういった部分がすごく美しく残酷に描かれていて
めちゃくちゃに!!!!!好き!!!!!!
すごい!!!!!!好き!!!!!!!
映画でければできないこと、今多くの人に見てもらう意味がある!
羅生門スタイルと言うなかれ
序盤面白かったですが、期待値ほどではない空気が劇場に漂う。。。
金曜レイトショー『怪物』
野球中止で急遽鑑賞〜レイトショー料金の値上に涙。。。
何年先までスケジュール埋まってるのか!?毎年公開される是枝作品
監督の名前だけで期待値上がり、毎年恒例のカンヌでは脚本賞受賞
キャスト的には、俳優陣も誰か受賞しそうな前兆あったので意外な感じがしての鑑賞
序盤、先日まで放送されてたドラマ『ブラッシュアップライフ』かよ!?って感じのシーンも笑えた^^;
異常な教師vsモンスターペアレント的な母親が繰り広げる展開
瑛太vs安藤さくらvs田中裕子は、母親目線→教師目線と目線がかわり見応えありましたが・・・
子供達の真実って描写から不穏な雰囲気に。。。。
子供達のLGBTの第一段階を遠回しに見せられてのあのラスト
どう解釈するのかは鑑賞者によって違うでしょね。
私的には期待値下回り・・・
配信で良かったかなって感じで、エンドロール始まると席立つ人多く釣られて席立ちました^^;
*坂本龍一さんのご冥福をお祈り致します*
話に引き込まれました
複雑に絡み合う子供たちの社会と大人の振る舞い
かわいそう
「坂元裕二さん脚本賞嬉しい」
久々に是枝が撮れた瞬間
見方が変われば世界も変わる
「僕は可哀想じゃないよ」
生まれ変わってもまたこの映画に出逢いたい、繰り返す意味がある。これは正義の話じゃない、世界の話。立場が違えば見えてくることがあって、だから何も知らずに決めつけは良くないし、やっぱり顔を突き合わせて一人の人間として話し合うことが大事。皆もっとちゃんと対話しようよって。違う人間なんだから意見が食い違うのも当然で、問題はそこからそのときどうするか。周囲の環境や当事者以外の雑音が加熱させる対立や、そうした部外者がいかに(往々にして良くない意味で)影響を与えるか。贅沢な組み合わせと要素の多さも必然。
豚の脳を移植された人間は、人間?それとも豚?怪物というタイトルから連想する言葉は、例えば"モンスターペアレント"。"母子家庭にはありがちっていうか"…穿った見方は誤った見方ってことじゃなくて物事を深く見るってこと。"普通"という枠組みから外れた、生きづらく、本当の意味ではまだ多様性なき世界で思春期の戸惑いというアイデンティティー・クライシスに陥って。髪型(髪の長さ)、強く握られたペットボトル、TVに映るタレント、クラスメイトの女子が読んでいる本、あるいは服装もかもしれない。
皆と同じである"普通"を強いる同調圧力と事なかれ主義の弊害・末路、その果てにそれでも僕らは自分らしく生きていけるのか。事件や政治もそうだけど、もっと日常的に落とし込んで、何事も決めつけは良くない。相手の事情を知ろうともせず最初から敵対姿勢が臨めば、どうなるか嫌というほど僕らは知っているはずだ。
きちんと生活者たちの息遣いや生活がここにはあって、それぞれが見れば見るほど丁寧に紡がれている印象を受けた。誰も断罪したり切り捨てたりしないで。始まってからしばらくは淡々(次々)と日常が流れていく印象があって、けどそれも作品を見進めていくほどに納得できる。息子思いの母親、生徒思いの先生、我関せずで常套句を並べる校長はじめ学校側…。教師による生徒への暴力・体罰、高齢ドライバー、そして偏向報道。真実はどこに?ただ、加熱するマスコミ報道などは本作の中では大きな比重は置かれおらず、世の中に蔓延する無関心や不寛容=嵐のあとに彼らが見た景色とは?
一見、見たまま単純に見えても、起きた事実は1つでも真実は人の数だけある物事の複雑さ。何事も多角的に見る必要があって、それぞれの言い分や正義がある。作り手にとって正義の話でなく、一部から物事は判断できない。そして、それは思春期に芽生え始める恋心の対象もそう。なぜ決めつけられる?だから、息苦しく行き場のなくなった子供の嘘は、無垢なものでなく葛藤の末。助けを求めながら自分でも分からなくて混乱して、どうすればいいか分からなくて。僕は病気?君は病気なんかじゃない。
「怪物だーれだ」
是枝裕和✕坂元裕二✕坂本龍一=日本が誇る各界のマスタークラスな巨人たちが、互いにその才に惚れ込んでは認め合い、ぶつけ合いながらも切磋琢磨して作り上げたこの作品には、レジェンドたちの本気と今の世の中に伝え遺したい真意が感じられて、骨の髄まで沁み入るような映画体験。こんな誰もがその名を耳にしたことあるような人たちに対して使う言葉じゃないだろうけど"俺得"と思っていて、実際見てもその高い期待は裏切られなかったし、なんならちゃんと超えてくれた感も。
ネタバラシパート的入れ子構造な作りも必然、むしろそこにこそ本作の意味がある。是枝節はそのままに、僕らが愛してやまないザ・坂元裕二ワールドなセリフ回しや、『ゲームの規則』など複数人が他人にとっては不都合に動く、素晴らしい脚本も(もちろん普段のドラマにおけるそれほど声を上げて笑えるようなパンチの効いた形ではないが)。だから題材としても納得だけど、ある意味ではカンヌを獲る前から坂元裕二さんは一貫して変わらず同じことをしている、とも言える。
大好きな名優・安藤サクラさん✕永山瑛太✕田中裕子=素晴らしき役者陣。瑛太の『友罪』などで見せたサイコパス演技が良い意味でミスリードになっていて効いていた。そして、茶髪ヘアで現代人らしいスタンスの高畑充希。東京03角田や中村獅童は安定。それらを捉える撮影に、是枝監督による編集など本当にすべてがすごいな、と。
『万引き家族』のときも書いたが、本当に演出の意図が伝わる。是枝監督と子ども。カメラを意識させないように、ごくごく自然体な空気を引き出す卓越した子供への演出力。『万引き家族』が喜怒哀楽の"怒"だとしたら、本作も作品中盤くらいまでは"怒"を感じた。"ひと夏の魔法"と形容したら些か聞こえが綺麗すぎる気もするが、語弊があるだろうか?火事に始まり、台風で終わる。虹はかからないかもしれないけど、最後には微かな希望もあって少し救われた。
決して音楽が前面に出ているわけではなく、的確に必要な時に必要な音が鳴るようでいて、けどそれが坂本さんらしい形と深度で作品に寄り添うさまは、シーンや、引いては作品全体をやはりより一層印象的なものにしていることは間違いない。ご冥福をお祈りします。そして、本当にありがとうございます。
勝手に関連作品『きみはいい子』『彼女が好きなものは』『禁じられた遊び』『スタンド・バイ・ミー』『イントゥ・ザ・ワイルド』『つぐない』『羅生門』『ある少年の告白』『海よりもまだ深く』
P.S. 作中、台風が直撃する本作の公開日が台風で雨だった偶然。
「救い」は有るか。
額のカードは自分には見えない
何度も予告を観て気になっていた本作。公開日はあいにくの悪天候で、大雨・洪水警報の中での鑑賞となりましたが、おかげで観客3人という恵まれた環境で落ち着いて鑑賞することができました。
ストーリーは、一人息子・湊の異変から担任・保利の体罰や暴言を疑った母・早織が、何度も学校に出向いて激しく詰め寄ったことで、学校もそれを事実と認め、大勢の保護者の前で担任が謝罪し、マスコミも取り上げるほどの問題となったが、実は担任や学校だけが知る事実があり、さらには大人たちの認識とは全く異なる、当事者の子どもたちだけが知る真実が存在し、しだいにそれが明らかになっていくというもの。
全体を母親パート、担任教師パート、子どもパートで描き、同じ出来事でも立場や考え方の違いから、それが全く異なる見え方をすることを描いています。珍しい手法ではありませんが、三つめの立場があり、それが子どもであり、そこにこそ真実があったのだという描き方がおもしろいです。
まずは母親パート。シングルマザーとして人一倍息子を愛していたからこそ、息子の口から出た言葉に大きな衝撃と深い悲しみを覚えたことは容易に想像できます。それが、学校の不誠実な対応によって不信と怒りに変わり、攻撃へと転じていくのも無理からぬことだと思います。ただ、学校の描き方には悪意しか感じませんでした。あんなでくの坊のような校長はいません。学校の内情を少なからず知る身としては、まだこんなステレオタイプな描き方しかできないのかとうんざりします。しかし、これはあくまで母目線でのこと。親の目には、今でも学校はこう映っているのかもしれません。
続いて担任教師パート。ここでまったく別の真実が顔をのぞかせます。先のパートの裏側が見え、とても優しく熱心な保利先生の姿が浮かび上がります。とはいえ、別人レベルの描き方なのは気になりました。こんな先生が、校長室で保護者対応中に飴を食べたりしません!しかも、先輩教師たちの動きは変わらず、トカゲの尻尾切りによる学校の保身。ここでも、熱心な教師が学校という組織につぷされるような描き方に強烈な違和感を覚えてげんなりしました。学校が守りたいのは学校ではなく、子どものはずです。そのために、全てを詳らかにしないというなら、まだ説得力があります。
そして、最後の子どもパート。ここでやっと本作の真価が発揮されたように思います。大人たちは、自分たちの見たものが真実であり、それが全てであるかのように誤解し、怒りや憎しみを抱き、次々と負の連鎖を生みだします。また、子どもの気持ちをわかった気になり、型にはめ、自分の理想や希望を押し付けます。でも、子どもにも自我があり、彼らだけの社会があり、その中で折り合いをつけて生きているのです。大人が大切にすべきは、そこに寄り添うことではないでしょうか。
タイトルの「怪物」は、我が子かわいさで暴走する母親、子どもに寄り添えない担任、保身に走る学校、事件をおもしろおかしく書き立てるマスコミなど、そのどれもを指しているように感じます。また、当事者の子どもたちも、自分たちの行動や嘘がどれほど多くの大人を巻き込み、人生を狂わせたのか、知らなかったではすまされないでしょう。そういう意味では、無自覚に大人を振り回す子どもたちもまた怪物と言えるかもしれません。
人は誰しも怪物になり得るし、なったということを自覚できないのかもしれません。それは、額に掲げたカードを自分自身では見られないのと同じです。他者の目に映る自分の姿を教えてもらい、自らを振り返る必要があるように思います。
キャストは、安藤サクラさん、永山瑛太さん、田中裕子さん、中村獅童さんらで、ベテラン俳優陣が安定の演技で魅せます。それを前に、子役の黒川想矢くん、柊木陽太くんが、中心となる二人の少年役を堂々と演じきります。
子供たちの活躍が救いです
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