怪物のレビュー・感想・評価
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トロンボーンとホルンの音色は彼を救ったのか?
終わってみると色々と疑問が湧いて来て、答えが出るものも有り出ないものも有り。まあそういう風に作られている作品です。
トロンボーンの下りは特に色々な事を考えさせられました。
ともあれ観ている間はとにかく最初から最後まで面白く「最高の映画を観ている」という多幸感に包まれていました。
余白の有る映画が好きな人にはお勧めです。
子役2人の演技力が怪物
黒川想矢と柊木陽太のとんでもない演技力が、監督や脚本家の企みを破壊してしまっている。2人に気を取られるあまり、作品が問いかけようとしている命題が気にならなくなり、ラストに至っては、ホントにどうでもよくなった。
もう、2人の物語でよくない?
最初は、母親の視点で始まり、途中から幾人もの視点で、時系列を前後して物語が語られていく。進んでいくにつれて、解像度が上がっていき、真実の輪郭が見えてくる。
ようやくわかってきたところで、「ここから先は、見ているあなたが物語を完成させてください」と、突き放されてしまう。
人間が目にする情報だけでは、真実を捉えることはできない。それは、わかる。違った視点から起こった事象をトレースしていくと、別な真実が見えてくるが、それも一部でしかない。
シュレーディンガーの猫のように、見る行為で客体が決まる。そう考えた方がいいのかもしれない。
安藤さくらに田中裕子の演技力が過剰に発揮されるがあまり、ピースのハマり方が鮮やかすぎるあまり、嘘くさく感じてしまうきらいはある。
そんな気持ちを吹き飛ばしてしまうラストでございました。
怪物になれるくらいないとダメなのかも・・・
是枝×坂元+坂本
これは、なかなか見応えがありました。もう絶対にネタバレ厳禁だと思います。ネットニュースのタイトルだけでもネタバレしてたので、何も知らずに観られてとてもラッキーでした。誰もが「●●●」を想起すると思いますが、それとは別に「●●●●の●●●●」もふと思い出しました。カンヌで脚本賞受賞も納得でした。正直、冒頭からしばらくは「…」だったのですが、それが後に効いてくるんですよね。近頃は、ファスト映画とか早送りという映画の見方も珍しくないようですが、今作はワンカットさえ見逃せないですね。バラバラに見えた日々のシーンがパズルのピースのように散りばめてあって、終盤にピースがはまってくると「怪物」の正体が見えてくるという本当に見事な脚本であり、演出であり、演技であり、そして、坂本龍一さんのピアノがさりげなく鳴っているという極上の映画体験でした。あのラストシーン、心の奥の方に突き刺さり、爽やかな涙でいっぱいになりました。「ベイビー・ブローカー」(22)がマイベスト是枝作品でしたが、今作がさらに好きになりました。
無事でいてくれて良かった⁇
是枝裕和監督が、
脚本家・坂元裕二によるオリジナル脚本で描くヒューマンドラマ。
音楽は、
2023年3月に他界した作曲家・坂本龍一で、
彼は微かに響く法螺貝音で首尾一貫してこの話を紡いで完結させた。
脚本は、
脚本賞を受賞しただけに大きな期待をして鑑賞。
その世界は、
不条理で不実な社会に翻弄されて育つ児童が、未成熟で不調和で不安定な出来事を引き起こして行く姿を克明に紐解いて行く。
それは見事だ。
そして監督は、
困難な作品を纏めてあげてくれたが、
最後に無事でいてくれて良かったと思えるほど無邪気な明るさが足りないことが残念だったなぁ
^_^
でも、
もう一つの視点「先生と母の捜索」の結果なら…
今回は考えないで置こう…
大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子どもたちが平穏な日常を送っている。
そんなある日、学校でケンカが起きる。
それはよくある子ども同士のケンカのように見えたが、
当人たちの主張は食い違い、それが次第に社会やメディアをも巻き込んだ大事へと発展していく。
そしてある嵐の朝、
二人の少年がこつ然と姿を消してしまう。
登場人物それぞれの視線を通した「怪物」とは何か?
是枝裕和×坂元裕二×坂本龍一という日本を代表するクリエイターのコラボレーションで描く。
^^
たしかに、怪物。。だな。
パズルのような巧みな脚本だけど是枝作品
巨匠の凡作
前作のいかにも巨匠な自らのシマで取ったような退屈さはないけれど、かといって圧倒されるほどでもない映画。君は良い子のような圧倒的な演技と全く思わない。
タルコフスキーのストーカーが好きなのはよくわかった。先週観たtarでもオマージュしていた。いじめられっ子と裏でつるんで、助けないような子供は大人になってもそんな人になるんだろうな。子供の同性愛とかより、そこが気になってしまう。助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがないと思うがどうだろう。
後半40分ぐらいの答え合わせがつまらない。依里君がいわゆるフェミニンなセンスであることから、トランスジェンダーという認識で合っているのか。私の小学生時代からフェミニンなファッションはメンズに充分浸透していたので、恐らく親のセンスとしてフェミニンな服を着ている子はいたので、判断が難しい。このように判断をすること自体が差別的だと思う人もいるだろうが、映画の表現力のなさを観客が慮る必要はない。息子のクィア性に気付かない安藤サクラより、はっきりとその事を知り、動揺して恐らく虐待をしている中村獅童の視点の方を導入したほうが、子供の性をどう観ればいいのかという、更に踏み込んだ論点に進めるのにしないで、聖なるLGBTとしてふんわりと置きっぱなしにする。この映画の男子同士のキャッキャに同性愛を感じられなかった。これぐらい誰でもありそうなのに。だからこそ、予告でLGBTを描いた映画というのは伏せて置いたのかな。
好き嫌いは置いといて、tarやエゴイストは同性愛者の権力性や商品としての性に踏み込んで、聖なるLGBT像を打ち壊そうとしているが、この映画では子供というのを足して、聖なる子供・LGBTにしてしまっている。天国としてのラストにも二人とも天国に行けるような人間だったかと疑問が残る。安藤サクラの息子は地獄に落ちるべきである。最初の段落に戻るが、自分はいじめっ子グループとつるんで、自分が可愛くて表向きには助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがない。体操着袋に当たるんじゃなくて、いじめっ子に殴りかかりましょう。
自分には、青春映画でした
本日、東京雨。
原作小説は未読。
「怪物」というタイトルから、
「見る位置によって誰でも『怪物』たりえる」
という勝手な解釈をしていたのだが
それを飛び越しての「青春映画」という一言に尽きてしまった。
東野圭吾さんの「レイクサイド」的な展開になるのかと思いきや…
相変わらず、子役のキャスティングは完璧。
鑑賞後、外はまだ雨だったが、ラストシーンの彼らとなんかリンクした気持ちだった。
子供は怪物!
席立ちたくなるよね⁈
子供たちよりも教師が気の毒に思えてしまう
1つの出来事を、異なる主観から何度も描き直すという手法は、決して目新しいものではないものの、同じ場面の繰り返しがほとんどないため、そこから生じるテンポの良さに引き込まれる。
その一方で、3つの時系列を頭の中で1つに再構成しようとすると、時間が一致しているところを認識しにくいために苦労する。
結局、それぞれの見方を変えると、母親が教師を見る目も、教師が子供たちを見る目も間違っていたということなのだろうが、それでも「怪物」の意味は、最後まではっきりとは分からなかった。
「怪物」とは、誤解や思い込みから、それぞれが頭の中で勝手に作り出すものということなのだろうか?
それにしても、学校側の対応の描写は、あまりにもお粗末さを誇張し過ぎていて興醒めしてしまう。穏便に収めたいという姿勢や、隠蔽とか保身とかの体質を強調したいのは分かるが、その分、リアリティが失われてしまったのは残念としか言いようがない。
子供たちが、本当のいじめっ子を告発しないのも腑に落ちない。自分たちの恋愛?感情を隠したい気持ちは理解できるが、そのことと「いじめ」とは別問題なのではないか?
すべての発端となった子供たちの「嘘」は、先生ではなく、いじめっ子にこそ向けられるべきではなかったのかと思えてしまうのである。
何も解決していないのに、無理やり美しく終わらせようとしているかのようなラストにも違和感が残った。
人間の心のなかに潜む怪物! すれ違う感情とやり場のない気持ち!
を是枝裕和監督の少年時代の思い出をモチーフに描かれたストーリーでした。
自然豊かな湖に近い街。
多感な時期を迎えた少年、湊と依里が互いに
思いやりながら、未熟さゆえに言葉に出せない、もどかしさや歯がゆい気持ちを感じました。シングルマザーの早織が息子の湊の言動に変化が見られて小学校に乗り込んでいく様子、母親の学校側の一方的な謝罪に違うと 感じ、取り乱す状況、湊の担任である教師
保利が子どもに対して暴力があったのではないかとの疑惑。
マスコミや新聞に取り沙汰される学校の記事。少年時代に誰しも経験したような好奇心や冒険が、草木の茂みにある廃れた車両の中にありました。
音楽が坂本龍一さんで2人の少年の行末は
見る方によっても変わる多角的な視点を
イメージする作品でした。
校長先生を演じた田中裕子さんが折り紙を
折る場面は、失った大事なものが戻って来ない侘しい気持ちが表現されていました。
人の心は誰にも分からないということ。
この映画を観終わった後、涙が勝手に頬を伝っていました。
なんでだろう、
本当に、理由のわからない涙。
三視点から見る、三者三様の物語。
母の感じる心。
先生の感じる心。
子供たちが感じる心。
全てが間違いではない、
でも、見えるものだけが正解でも無い。
悪に見えていたものが、本当は善であったり、
本当のような、嘘で溢れていたり。
私たち人間は、複雑で、"本当"なんて、誰にも分からない。
誰かを理解したいと思っても、
本当の心を知るなんて誰にできるんだろうか、とちょっと絶望に近い感情すら芽生えてしまう。
その心をちゃんと見つけてくれる、瑛太さんのような人がもっと溢れた世界になるといいな。
フィクションだとしても、
お母さん、
先生たち、
そして、子供たち。
この世界の人たちが、幸せになる世界でありますように。と願いたくなる、
そんな、とてつもなく苦しくて、
胸にグサグサと刺さる素晴らしい映画でした。
散りばめられた違和感が、
一つずつ一致していく度に、心臓がぎゅっとしてしまいました。
是枝監督の作品は、いつもとんでもないものを訴えかけてくる。
坂元裕二さんの世界観から目が離せなくなる。
そして、心に当たり前のように浸透していく、
坂本龍一さんの音楽、本当に素晴らしかった。
心より、ご冥福をお祈り致します。
こんなに素晴らしい映画を、ありがとうございました。
おそるべき子供たち
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