怪物のレビュー・感想・評価
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坂元裕二らしい心をえぐる様な物語
個人評価:4.2
音楽、演出、脚本ともに一流の技。
音楽も流れている事が気付かない様な、映像に溶け込けこんだ静かな音楽。
坂元脚本お馴染みの田中裕子が校長役とは、なんともシブい配役。
誰も知らないをはじめ、子供の演出が素晴らしく上手い是枝演出。サスペンス仕立てだが、今回もその演出は健在である。
怪物とは何か。それをこちら側に問い掛けれられ、自分自身の考え方と向き合う事となる。
坂元裕二らしい心をえぐる様な物語。
前半はエンタメとして引き込まれ、後半は社会は作品として見事にやられた
今作は3つの視点が話が描かれる羅生門スタイル。次第に違和感の謎が明らかになったり、視点によって印象が大きく変わるからエンタメとして面白い。
まず、シングルマザーの早織の視点で進む。息子の行動や傷を不審に思い学校に訴えるも、学校側の対応のそっけなさ、担任や校長の態度に怒りと不審感を募らせる。
母親の視点からだと学校側の対応は杜撰で怒りが湧くのは分かる。
次は担任保利の視点。
意外や意外、生徒思いの良い先生でまず驚く。
悪くはないのに、問題教師に祭り上げられていくのは観ていて辛い。
担任からは早織は過保護なモンスターペアレント。生徒からも裏切られ一番可哀想。
そして、最後は早織の息子湊の視点。
これまでの謎や違和感が一気に解消していく面白さもあるが、子役二人の演技力に驚く。
湊の思いに戸惑い自分自身を怪物と感じてしまう苦しみ、葛藤は見事。
母や担任は良い人なのだが、本当の理解者ではなかった。なんの気もなく言った言葉が誰かを否定したり傷つけているんだなと突き刺さる。
それゆえに依里のまっすぐさは湊にとっては救いであるんだなぁと思った。最後はどう捉えるかだけど、感動したが少し悲しさも残った。
是枝監督の作品はゆったりとしていて判断を観客に委ねることが多い気がして苦手意識あったが、今作は脚本が坂本裕二だからか、シーンの切り替わりも早くテンポよく感じて楽しめた。
視点によって善悪は変わって見え、怪物も異なる。いや〜面白かった!
結末の意味がわかる者は大人なのだろう
本当の「怪物」とは
シングルマザーの視点、担任教師の視点、校長の視点、主人公の視点・・・4人の視点から物語は繰り返されます。それぞれの立場で全く違う話に見えますが、芥川龍之介の「藪の中」とはまたちょっと違うのですが、簡単に言えばあんな感じの演出です。
結論を言いますと、私は「怪物」とは現在の日本社会のことだと思いました。
コロナ禍におけるマスクやワクチン接種の問題、未だにマスクを強いられる雰囲気のある同調強制の日本人。好き嫌いなどの基本的な意見が言えない日本人、いじめられている子をかばえずに、自分がいじめられるのを恐れるために同じようにいじめに加担する日本人、PTAや世間からの評価を恐れるために真相をさがそうとはせず、長いものには巻かれてしまう日本人。みんなと同じということで安心してしまう日本人。
令和5年現在の「日本」を表している映画でした。
誰が怪物なのか?
タイトルにもなってる「怪物」
結局、誰しも「怪物」の一面があるって言う事だったと解釈しました。
わかりやすいのはモンスターペアレントの安藤サクラや、父親から「怪物」呼ばわりされていた星川君とか。
内容は「嘘」「いじめ」「噂」「いじめ大事にしたくない学校」「親からのDV」「世間では許されてない恋」
目に見えない何かどろっとしたものが交差してる、そんな映画だったと思います。
回収して欲しかった内容は2つあって、
・猫を湊が殺したと嘘をついた女の子について。
→実は湊の事が好きでやってた?
・堀先生は作文の名前に気付いてなんで湊に謝ろうとしたのか。
→星川君と湊の関係に気付いた?
これについて誰が分かる人いないかな。
うーん、
湊と星川君は土を被って生まれ変わって、幸せになりたかったのかなぁ。
是枝監督作り方がうまい。
微妙に違う三枚の絵
是枝監督作品と言えば、やはり役者、それも「子役」の凄さ。
本作も、純粋で可愛く、残酷で切なく、まっすぐで歪んだ子供たちの心の動きが、観客である我々大人の「○○だろう」を次々と裏切っていく。
物語は、母親視点の1部と先生視点の2部、そして主人公視点の3部で、それぞれ同じ時間を振り返る構成。
様々な記憶の破片が、観客の「あ!それあの時の!」を何度も何度も呼び覚まし、同じ時間を描いたこの三枚の絵を重ねようとする。
でも、何か違う。
微妙にほんの少しずつ違っている。
大人たちの主観や思い込みは、現実さえ変えてしまうのか。
そしてラスト。
私自身、まったくそんな予感も無かったのに、最後のシーンで急に切なさが込み上げてきて、涙がこぼれた。
「僕たち、『可哀想』じゃないよ」
そうだよね。
むしろ「良かったね」なのかな。
子供たちは、大人の模造品でも試作品でもない。ましてや所有物では決してない。
それでも大人は自分の「こうあるべき」を押し付けてしまう。
「怪物」を「理解の及ばないモノ・得体の知れないモノ」とすれば、目の前の「あなた」も、もしかすると「私」自身も『怪物』なのかも。
脚本も素晴らしい。
坂本龍一の音楽も素晴らしい。
そして、やはり役者の皆さん。
もう、さすがとしか言い様がない。
本当に名演でした。
物語自体はシンプルとは言えないし、私が全て咀嚼できているワケではないけど、それでも是枝作品の中では圧倒的に好きな一本になりました。
内容がはっきりしてないつまらない
脚本賞受賞は納得
心に嵐が吹き荒れる
嵐の日に嵐の映画を見た。
理解出来ない人間の恐ろしさに心がゾワゾワしっぱなし。
噂と憶測が混ざり合い、湿度を帯びた重い空気が身体中にまとわりついて息がしづらい感覚に。…観客も嵐に巻き込まれていきます。
行動の裏には理由がある。嘘の裏には守りたい何かがある。
それぞれの立場から描かれる真実。点と点が繋がる奇跡に心が震えました。
田中裕子さんのセリフが深く胸に残ります。
今じゃないいつか。ここじゃないどこかへ。早まらないで。
嵐の後の澄んだ空気が、真新しく生まれ変わった世界を見せてくれるはず。
聴きたくなった曲:キリンジ『台風一過』
観たくなった映画:黒澤明『羅生門』
近藤龍人さんの真正面から役者を見据える長回しが大好きなのですが、斜めからのアップにも同じ興奮を感じました。
「私はこのシーンの為にこの映画を観たのだな。」と思えます。
瑛太さんの笑顔もすごい。
怪物は自分の中にもあると知ること。
子供の純粋さと大人の一方的な思い込みが生んだのが「怪物」なのか…
自分の中にも怪物(思い込み)はいると知っている事が大事かもしれない。
みんな幸せになりたいだけなのに。
問題なく日常を過ごしていければいいだけなのに。理想の自分にはなれないジレンマ。問題を解決しようとすればするほど深みにはまってしまう状態。わかります。
学校は子供にとって戦場で、やらなければやられる思惑の混沌。男だから強くあれと言われる日常。母親には心配をかけたくない子供。でも大人の事情を実は知ってる子供。
隠れて本当の自分を2人で育むだけが自分達の心の安全地帯で、せつない。
どうかラストの場面はその時代を乗り越えた2人の姿でありますように。
つらさを癒やす・・・
色々な視点
怪物は私たち大人なのかな。
2人の少年が、ある嵐の日の朝、姿を消す。彼らの身に何が起きたのか。子供の親、担任教師、そして子供自身の三者三様の視点から描かれていきます。そして、それぞれの真実が明らかになり、「怪物」の真相に辿り着くっていうスートーリーです。
最初の1.2部の保護者や教師の映像からはなにが真実でなにが嘘なのか、ミステリー形式でゾワゾワします。モンスターペアレンツ、イジメや体罰、学校の事なかれ主義、高齢者の運転問題など巧みに是枝監督が得意とする社会問題を内包させながら、物語は進みます。子供自身の視点から描かれる最後の3部でさらにLGBTQ問題が加わり、3つが重なり合いながら、真実は明らかになります。
わたし大人は自分の視点でしかものをみることができないという大人達の哀しみを1.2部では描き、それを子供が健気に受け取め、苦しみ、最後は解放?されていく。1番最後はファンタジー(死の暗喩)を感じました。
校長先生役の田中裕子が楽器を2人で演奏しながら、湊に語った言葉がこの映画が言いたかったメッセージとわたしは受けとりました。
タイトルなし
役者陣素晴らしい
怪物街diary‼️❓
久しぶりに時間を忘れて観て、深く考えさせる、凄い作品でした。
いろいろ詰め込み過ぎて、分裂気味な展開でしたが強く引き込まれて。
いろんな怪物が出てきますが、極め付けは父親役の中村獅なんたらです、実生活でもこんなんなのでしょうか、子供を豚の脳扱いにして暴力も酷い。
それに校長、教頭などの陰湿な体質、孫を轢き殺しても平気なはずだよ。
シングルマザーが被害妄想気味なのはステレオタイプですが。
良いところでは少年二人の交友関係、監督は子供の演出が最高です。
根拠のない噂話が真面目な人を追い込んでいく、これが本物の怪物かもしれませんね。
それと、壮絶ないじめをする子供、家族に辛く当たる親、保身が全ての校長教頭、それらも怪物。
高畑充希もきれいでした。
映画代が値上げしましたが五倍くらい価値のある映画🎞🎟🎬🎦是非。
ださいニット
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