怪物のレビュー・感想・評価
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凄まじい完成度。問題を見過ごし続ける“現代”そのもの
これは傑作と言っていいと思う。
社会問題が山積で、解決できる時間も労力もない。そうして大切なことが蔑ろにされていく。
そんな現代へのあきらめと、
それでも希望を持ち続けたいという制作者の思いがひしひしと伝わってきた。
そんなメッセージを具現化させた脚本が素晴らしい。
そして、説明的なセリフがないかわりに、
映像と編集で伝える卓越した技術が素晴らしい。
本作はしばしば時系列が戻る。
(カメ止めや内田けんじ的に)
時系列が戻ったりすると、
途端に分かりにくくなるのだが、
様々なポイントで理解できるように構成され、
さらにそれがわかった上で物語が展開する。
途中で何度か登場人物の視点が変わるのだが、
それは視点によって人の印象がまるで違う、
という演出だろう。
そのすれ違い、勘違いこそが、問題の解決を遠ざけ、最も大事なことが置き去りにされるという現代の本質をついている。
諏訪湖という舞台設定も見事。
湖の美しさを感じるシーンもあれば、別のシーンでは鬱屈とした沼のような印象も受け、その表情がとても雄弁だった。
非常に複雑ではあるが、
それを理解できる形に昇華させた見事な傑作。
もう何度か見に行こうと思う。
手に入るもの
嘘って誰のために
何のためになんだろう。
自分守って
自分に嘘つくのはしんどい、そう追い込まれてしまう世の中(マジョリティ)の都合から身を守りながら
自分の心の動きを目を凝らして見続ける気持ちを持てるか持久力と耐久性が必要。
大事なことは言葉にできない
言葉になり得ないものを抱え込んでる人たちの話、なるべく言葉にせずに伝えようと思った(是枝監督)
言葉や表情身体で伝えても応えてくれる相手が自分にとって大事で、ほんの一握しかいない。
怪物探しをするばかりでは
言えない抱え込んでいるものに気づき受け取れる社会には道が遠い。
三者三様の三部構成。
ちょっと真偽不明のところもありますが
一回観るだけでは見落としてることがあるでしょう。
是枝監督がずっとテーマにしている社会の貧困。
貧困の根源は経済か愛情か…
イジメの場面がしんどい。
2人の少年、湊と依里が教室に居場所のない様子はその空気に感情が溺れてしまう。囃し立てる子たちの社会から心の貧困を映す場面がほとんどない尺に入らないのが残念。
周りはその他大勢とし役割として都合の良く切り取って消費してしまった、その辺りが物語を薄くしているのではないか。
同調圧力、何に怯えているのか、それぞれの中に怪物は宿る。
学校で形を変えて、この様な同調圧力が日常的にあるんだろうかと思うと気が重くなりました。
本当の自分の気持ちをそのまま言えない、そして自分の言葉が人に傷を負わせるのを快感とする社会はあまりにも思いやりがなく想像が貧しい。
思春期の自分の心に対する問いは人を好きになること、
そこから自分の形が見えてくる。
そして相手を大切に思いやる感情は親からの愛情が基礎になる。
そのままの自分をどう受け入れていくか
相手をどう受け入れていくか。
自分だけ特別に手に入るものより普通に手に入るものが幸せをもたらすのかな?
異形の心は怪物なのか?
「怪物だ〜れだ」が耳に残る。
#怪物
#是枝監督
#映画
いた?
恐れる自分と認めたくない自分
子役2人の演技力が尋常じゃない。
日本映画界の狂犬4人(安藤サクラ・永山瑛太・田中裕子・中村獅童)が勢ぞろいしながらも、彼らを押しつぶすほどの演技力。正直、母親(安藤)パート、先生(瑛太)パートを忘れちゃうくらいすごい。黒川想矢と柊木陽太ね、覚えた。
今までの是枝裕和監督の作品だと、「さあ、あなたはどう思う?」的な投げかけ強めだったんだけど、本作は坂元裕二が脚本を書いていることもあって、テンポは早いながらも割と丁寧に、ふんわりとだがちゃんと着地している感じ。個人的にはこの手の方が後味がスッキリして好きかも。まぁ、前半パートの投げやり感は否めないが笑 だけど、胸糞悪い、どっしりと重いイメージの過去作からすると、若干物足りない。エピソードも、同じ場面を3つの視点から、といった作りであるため「万引き家族」のような見応えはあまりない。
しかしながら、カンヌで脚本賞を受賞したのに納得のいく秀逸なストーリーでした。自分の目で得る情報には限界があり、見たものは全体の一部でしかない。それを頭で考えて、どう補うか。これが人間にとって必要な力である。と、割とありがちなテーマではあるけれど、3つの視点という作りを見事に生かしながら訴えかけていました。それぞれの立場に立って目視する度に考えが変わる観客も、登場人物と全く一緒。結局は、自分の見た情報を信じてしまうから、そこから都合のいいように物語を作り上げてしまう。〈ガールズバー〉なんて特にそうだよ。
とまぁ、このことも言いたかったんだろうけど、実際はそうではなくて。「怪物」というタイトル、そして予告で散々流れていた「怪物だーれだ」というセリフから、誰が主悪の根源であるのかを探すストーリー、ある意味ミステリー要素のある映画だと少しばかり思っていたんだけど、違う。「怪物なのかもしれない」と"恐れる"自分と「怪物では無いはずだ」と"認めたくない"自分。そんな自分を守ろうとするあまりに、人を傷つけてしまう。ざわめく心に葛藤しながら生きる。どっしりと考えさせられるものがありました。
予告の魔王はやり過ぎかな。深いテーマではあるけど、ドロドロとした感じではなく、人間の成長物語のような、サスペンスよりもドラマな作品。学校側の対応の雑さは流石にどうかと思ったけど、ちょっと予告と本編がマッチしておらず、見て欲しい見方に持っていけてなかったような気がしました。特報の雰囲気がすごく良かったのにね。
面白い物語や考えさせられるテーマよりも、子役2人に目がいって仕方ない。何度も言うようで何だけど、本当にすごい役者だよな。是枝さんの見る目もやっぱりすごい。もっと長尺で子どもパートが欲しかった。逸材発見ですぞ。ぜひとも劇場でご確認を。
何が怪物なのか。
子供時代から悩まされるジェンダー。
ネット上のレビューを一切見ずに観に行ってほしい
だれの中にも“怪物”はいる
尊い・・
メロディ
犯人を探さないミステリとして鑑賞
かわいそうでキツイ感じの映画なんでしょう?いたいけな子供が出てるみたいだし
というのが鑑賞前の印象。(金払ってキツイ思いしたくねぇな)
カンヌで何か賞をとったみたいね、そうなんだ〜。
脚本賞もとったみたい、あれ坂元裕二が受賞したの?
坂元裕二脚本じゃんこれ〜、ということで公開の週末に急遽鑑賞。
大傑作じゃないですかコレ、映画の内容に反して脚本の巧みさに私の顔はニヤニヤしてたかもしれません。
坂元裕二脚本のドラマはカルテット、大豆田とわこ、初恋の悪魔あたりが好きなのですが、
今回も「全員嘘つき」(カルテット)な状況で「マーヤのベールを剥ぎ取れ」(初恋の悪魔)でしたね。
大豆田とわこ要素としては、東京03の角田さんが出ている辺りでしょうか(笑)、作中の登場人物かごめさんのことがふと頭をよぎったりはしました。
口からでた言葉には嘘であっても心の叫びが込められているので、ホントの有様は簡単にはわからんのよって脚本だと思います。
事前情報入れずに鑑賞できた人は幸運ですよ〜
やばい、過去一の映画かもしれない
大好きな是枝監督と大好きな坂元さんと坂本さん。
いい映画に決まってる。
公開前にカンヌの賞とか取ってしまうし。
期待値がかなり上がってみましたが、私にとってそれでも過去一の映画かもしれない。
予告から想像していたストーリーとは違って、じわじわくる話で、後半はうるうるしてしまった。終わり方も素晴らしく、答えを出さないというか、とる人によってハッピーエンドにもバットエンドにも取れるかも知れません。
私はどちらかというと、、、(T_T)
時系列がバラバラでちょっと分かりにくいところもあります。また、台詞の端々で意味が変わりそうなほど、とても繊細なストーリーでもあります。
見る角度によってここまで違う話になるのだと、本当によく出来た脚本と映画でした。
全員怪物、全員人間という感じです。
安藤さくらと瑛太はもちろんですが、主役は子供たちだと思います。本当に素晴らしい。
子供たちよキャラを考えると泣けます。大人でも理解しにくい心情を、どうやったらあんなに演じられるのか。演じさせるのか。
出来るだけネタバレ無しで観て欲しい。
カンヌの○○賞とか取ってしまうと、そういう話なのかとネタバレしてるけど。
凄く観たくて待ち遠しかった作品。でもあまり期待し過ぎないように極力...
日本近代映画の結晶だ
全人類見てくれ。是枝裕和✕坂元裕二✕近藤龍人✕坂本龍一 これが日本近代映画の結晶だ。
描くべき部分を丁寧に描き、語るべき部分は丁寧に語り、でもしっかり観客が能動的に補うしかない余韻がある。「自分の信じる真実が真実だと思いたいという加害性」を見事に魅せる傑作。
「学歴は?」「年収は?」「男らしくないよ」「結婚するまで…」「シングルマザーに育てられた子は…」「普通の家族が良いよ」「異性愛前提」など無自覚に容赦なく加害してくる大人。事実だけを見て、その背景を確かめることなく推測・決めつけをしてしまう大人。ラガーマンとは対称的な自分に悩む子ども。そんな子どもたちを受け止めるラストシーンは、現実の厳しさからの逃避か、あるいは決めつけからの開放・自由なのか。その解釈だけでも人それぞれの解釈がある。その解釈をすることすらも加害なのかもしれないが…。自分はユートピアと解釈した。坂本龍一の音楽が余韻をたなびかせる。「死んで来世にやり直そう」が罷り通ってたまるものか。
加害者と被害者が固定化されないのも良い。
子役の演技が本当に良い。揺らぎと芯の通った2人のカップリング。星川くんの麗らかな瞳。一番印象的だったのは隣の席の女の子。何のために嘘をついたのだろう…と思わせられるが、やっぱり瑛太演じる教師がいじめと決めつけたからそれに抗いたかったのかな…あと、机の上を常に消しゴムで消してる男の子は何のメタファーかわからなかった。校長先生も床の掃除してたし、真実を「消す」ことを示しているのか。
初めて電車に行ったシーンの「怪物だーれだ」で号泣スタート。彼は決してナマケモノでもないし、何にカテゴライズされることもなく自分は自分、彼は彼ということを示すシーンだったと思った。
そして校長先生とのシーン。己を怪物ではないか、取り返しのつかないことをしてしまったのではないかと思う彼に寄り添う最高のセリフ。
やさぐれた高畑充希も良いし、男性性丸出しの中村獅童も良いし、東京03の角ちゃんももう役者だし。
第三幕まで見てしまえば、伏線が伏線を張るために作られたものではなく、物語の中で必然に置かれたことがわかる。それぞれの視点で見え方が違うことを大いに示す。とはいえ前半(第一幕)のカット割りが「ね?不自然でしょ?覚えといてね?」という演出強めだったところだけ気になったかも。
とりあえず上映期間中にもう1回は観に行くし、定期的に見返すことになると思う。己の怪物性を顧み、それでも己を見つめ大切にするきっかけになる長い付き合いになるであろう1本。
坂元裕二らしい心をえぐる様な物語
前半はエンタメとして引き込まれ、後半は社会は作品として見事にやられた
今作は3つの視点が話が描かれる羅生門スタイル。次第に違和感の謎が明らかになったり、視点によって印象が大きく変わるからエンタメとして面白い。
まず、シングルマザーの早織の視点で進む。息子の行動や傷を不審に思い学校に訴えるも、学校側の対応のそっけなさ、担任や校長の態度に怒りと不審感を募らせる。
母親の視点からだと学校側の対応は杜撰で怒りが湧くのは分かる。
次は担任保利の視点。
意外や意外、生徒思いの良い先生でまず驚く。
悪くはないのに、問題教師に祭り上げられていくのは観ていて辛い。
担任からは早織は過保護なモンスターペアレント。生徒からも裏切られ一番可哀想。
そして、最後は早織の息子湊の視点。
これまでの謎や違和感が一気に解消していく面白さもあるが、子役二人の演技力に驚く。
湊の思いに戸惑い自分自身を怪物と感じてしまう苦しみ、葛藤は見事。
母や担任は良い人なのだが、本当の理解者ではなかった。なんの気もなく言った言葉が誰かを否定したり傷つけているんだなと突き刺さる。
それゆえに依里のまっすぐさは湊にとっては救いであるんだなぁと思った。最後はどう捉えるかだけど、感動したが少し悲しさも残った。
是枝監督の作品はゆったりとしていて判断を観客に委ねることが多い気がして苦手意識あったが、今作は脚本が坂本裕二だからか、シーンの切り替わりも早くテンポよく感じて楽しめた。
視点によって善悪は変わって見え、怪物も異なる。いや〜面白かった!
結末の意味がわかる者は大人なのだろう
本当の「怪物」とは
シングルマザーの視点、担任教師の視点、校長の視点、主人公の視点・・・4人の視点から物語は繰り返されます。それぞれの立場で全く違う話に見えますが、芥川龍之介の「藪の中」とはまたちょっと違うのですが、簡単に言えばあんな感じの演出です。
結論を言いますと、私は「怪物」とは現在の日本社会のことだと思いました。
コロナ禍におけるマスクやワクチン接種の問題、未だにマスクを強いられる雰囲気のある同調強制の日本人。好き嫌いなどの基本的な意見が言えない日本人、いじめられている子をかばえずに、自分がいじめられるのを恐れるために同じようにいじめに加担する日本人、PTAや世間からの評価を恐れるために真相をさがそうとはせず、長いものには巻かれてしまう日本人。みんなと同じということで安心してしまう日本人。
令和5年現在の「日本」を表している映画でした。
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