怪物のレビュー・感想・評価
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あの火事は対岸の火事ではなかった
湊かなえさんの「告白」を思い出しました。物語は全く違いますが、親、先生、生徒の視点によって見方がガラリと変わって反転する立場に、足場が崩れるような不安定な気持ち悪さを感じた。本当の事実は誰だったのかといえば、この物語でいえは主人公たる二人の少年になると思う。怪物って誰だろう?じゃなくて、そもそも怪物を探している側が「怪物」じゃないと何故言い切れるのだろうか?冒頭の火事は、対岸の火事ではなかったということ。
また、校長先生の言った「幸せとは~」に悲しさがあるけれど、ほんの少しのあたたかい視線も感じるのは、私のただの願望だろうか。最後の二人の少年の姿も同じく、そうであって欲しいと願わずにはいられない。
これもまたきっと、独りよがりなんだと思う。
それぞれの・・・
怪物は内に潜む
人は「自分の見たいモノしか見ない」現代的なテーマ
お話そのものは多くのメディアで紹介されているので
多くは触れませんが、色んな方の考察で語られているように
所謂「羅生門形式」
同じ一つの事実でも、それを見る者によって
全く違う印象になってしまう。
と言う作りの映画。
カンヌ映画祭でクィア・パルム賞を受賞したので
LGBTQに興味が有る無しで偏った味方をされなければ良いのですが〜
LGBTQの話はもちろん重要な要素ではあるけど
そこがメインではなくて、
この投稿のタイトルの様に
「人は自分の見たいモノしか見ない」
現在のネット社会の大きな問題であると同時に
人間の普遍的な部分なのでしょうね。
ネットの無かった時代にも
「人の口に戸は立てられない」とか
「人の噂も75日」とか言われるように
中途半端な情報と思い込みっていうのは
時に人の人生を狂わせることもある。
そう言う諸々の人間の愚かさこそが
「怪物」
なのかな〜〜と思ったりしました。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
考察のしがいのある映画でしたね。
ストレートではなく意味深な場面の多い映画であり
正直、そこはミスリードでしょ!と
突っ込みたくなる(苦笑)場面もあるのですが、
そこも含めてなかなかに楽しめました。
一回の鑑賞では消化しきれない映画なので
時間が合えばもう一度観たいです。
昨年の流行語だったか?
「〇〇らしいよ〜 知らんけど〜〜」
って言うのあったのですが
私、これ、全然笑えない!!
「知らんのなら言うな!!」ってなってしまう。
人間の間違った思い込みと
情報の垂れ流しの罪深さよね〜〜。
兎に角見応えがあります。
映画館で全集中でご覧下さい!!
想像で
補う「余白」が、たくさんある作品。
映像がヒントで、多くは語られず、
ピアノの音色に翻弄され、導かれ、癒される。
出来事の「結果」から
(良くないことばかり)考えてしまって
心拍数が上がる。
でもそれは「大人側」の
短絡的で断片的なもの。
「子ども達」は、大人に「気をつかい」、
嘘をつく。
事実を隠し、
自分を、大切なものを守ろうとするのは
大人も子どもも同じで、、
そうすると、
したたかで、嘘つきで
裏表のある人達ばかりが
生き残ってしまう、、
あの子は、家業を手伝うよい子、?
「優しさ」を見逃さず、守るには、、?
正直で、噓が下手な、不器用な人達を、、
「ナマケモノ」の特性を身に付けて
大人になったのが、保利先生なのでは、?
、罵倒に鈍感過ぎる、
「耐える」ことに慣れ過ぎてる?
彼は何故、キャリー、?
時々映る、川と湖、、?
「ポニョ」「スタンドバイミー」
「リバーズ・エッジ」も見え隠れ
「みんな、病んでる
必死で生きてる」
人も物事も、
多面的で複雑なことを
心して、
大人のフィルターが濁りがち
なことを、認めて、、
子ども達の「逞しさ」を信じたい、と思った。
誰もが手にするもの 誰かが手にするもの
ヒトは誰もが安心して暮らせる世界を目指した結果、誰もが生きづらい世界になりました。何故かな?。大人が生きづらい世界にいる子供たちには、どんな現実と未来が用意されたかな?。
こういう映画が創られたこと、こういう映画が評価されることに、戸惑いを禁じ得ません。つまり、誰もが手に入れるものより、誰かが手に入れるものに、ヒトは共感することになります。校長先生の謂うところの、どうでもいいものに、ヒトは惹かれるわけです。きっと私もね。そんな私が手に入れたものは、かなり怪しい物みたい。
何とかしようとする大人達が造る、何ともならない世界。無邪気に他者を破壊する、壊れた子供。そのまま大人になった、壊れた大人に気を遣いながら、壊れないようにもがく子供。その狭間で何とか足掻く親。皆様は、誰に共感できます?。
時系列の組み方が絶妙ですね。まず御見物に、?を想起させて、シャッフルした時間で御見物に、!を届ける。やはり脚本の勝利でしょう。「パルプ フィクション」を彷彿とさせます。ただ私としては、こと無かれ世界のラスボスとして、怪物級のオーラを放つ田中裕子に、何か賞あげたいなー。
私、是枝氏の映画を総て観たわけではないですが、ちょっと変わったかな?。これまで、どん詰まりの先にある、光のようなものを描く映画が多かった気がしますが、本作は、さらにその先まで突き抜けちゃった感が…。
未来を生きる子供たちに、私達は何を遺すの?。
皆様の歩む先に、出発の音が、聞こえますように…。
作品を鑑賞している観客の認識をジェットコースターのように揺さぶる構...
ミステリー版すれ違いコントな感じ
誰が怪物なのか?凄い映画です。92点
怪物はあなたの隣にもいる
物事はあらゆる可能性がある
1人のウソが全ての立場、環境を変えてしまう。
私たちの生きる社会は脆く、ちょっとした綻びから一瞬で崩れる。ある一部分だけを見て判断を下すと現実の問題とは全く正反対の判断をしてしまう可能性もあるのだ。
親は自分の子供を信じたいし、子供の話すことを真実だと思って行動する。でも、子供の自分は親にちゃんと真実ばかりを話してきたか…と考えると、いやそうでもない。話したくないこともあるし、悪い事は話さないし、まして自分が不利益な事は話したくない。
親はきっと子供の理想像を勝手に頭で描いている。そして、安藤サクラ演じたお母さんも夫を亡くし、自分がしっかり育て上げないとという責任感を持っていて、知らず知らずのうちに子供にその理想像を押し付けてしまっている。そこに子供は葛藤が生まれていることに気づけていないのだ。
そして、幼い時からの言葉による擦り込みは彼らの思考に歪みをもたらす。親が全てなのだから。病気と言われれば自分は病気と思い込むし、自分がダメだから叱られるんだと虐待も当たり前になってしまう。それにより、自己肯定感の低い、自信がない性格になっていく。それが普通でないんだと誰かが気付いてほしいし、自分も気づける社会になってほしい。逆にマイノリティの問題は自分は普通じゃないと思ってしまう。人間は多様性のある生き物だということも小学生の頃から、教えていく必要があるだろう。人を育てるということは本当に難しい。
でも、親は子供が困っているならなんとかしてあげたいと思う。その必死さは学校側からみるとモンスターペアレンツ認定となるし、境界線が非常に難しいと思う。
そうなると、人間なんてみんな怪物みたいなもんで、何を考えてるとか嘘をついてるとか、わからないことばかりで、中でも突出して怪物要素が高い人もいるだろうけど、結局、人間同士コミュニケーションを取りながら、試行錯誤して、長い時間をかけてその人を知り、信頼関係を築くってことが家族でも会社でもそれぞれのコミュニティで必要なんだろうなと思ってしまいました。
是枝監督✖️坂元脚本なかなかの難しいテーマでしたが、坂元さんは恋愛物から社会派なものまで、ジャンル問わずなんですね。やっぱりすばらしいなって思います。
永山瑛太さんの隠された狂気の部分が時折垣間見えてしまう演技大好きです。
そして、子役の子達の嵐が過ぎ去った晴れた草むらを走り抜けるあの飾らない爽快な笑顔、素敵でした。子供達にはそんな笑顔ができる時間がたくさんあることを祈っています。
あと言うの忘れてましたが、遺作となってしまった坂本龍一さんの楽曲、この作品に寄り添って、温かく包んでくれるような感じがとても良かったです。
坂元と是枝の化学変化
😭
怪物は誰だろう
「誰も知らない」のオマージュへのリプライ?
現場のリアリティーや作り手の意見表明はあえてぼかす作品が好きだ。重いテーマだとしてもファンタジーめいた雰囲気や闇からみえる淡い光のような映像が是枝作品の妙だと思う。
ちょうど先日「藪の中」を読み返したあとということもあり、構成についても明確な狙いは感じた。
また、多様な推測を呼ぶエンディングは「フロリダプロジェクト」のラストから涌き出たものではないかと邪推する。「誰も知らない」と比較される作品だが、これも、子どもたちの無邪気さから深い解釈を誘う秀作だった。そしてそのラストもまた、まぁ謎である。
グッドにせよバッドにせよ、オチで評価が分かれるのが世間の常であるからこそ、明確に安心させたり重苦しい気分にさせたりせずに、それぞれに想像する余韻を残すことこそが作り手の矜持なんじゃないかなと、内容とは離れたところで感じた。
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