怪物のレビュー・感想・評価
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面白いけど理解難易度は高め
おすすめできる人
いつもの是枝監督の作品が好きな方には自信を持っておすすめ出来ます!
今作はある出来事を色々な視点から描いていくものとなっているので鑑賞中に先の展開を予想したり、終わった後で話を振り返って考察する方向けです
この映画について一緒に見た人と意見交換するのも面白いと思いますよ!
おすすめできない人
最後には全部分かってすっきりしないとダメな人にはおすすめできません
「怪物だーれだ」のキャッチフレーズの通り様々な怪物候補の人物が出てくるのですが、それを表すため怪物的な人間性を多様に描写しているところを難解に感じてしまうかもしれません
難しくて見終わってもモヤモヤする映画、雰囲気が暗い映画よりも爽快感のあるアクションが好き!という人には微妙です
「怪物だ~れだ」のフレーズがまったく異なる響きに聞こえる
いくつかの出来事が、母親・教師・子どもの視点で描かれます。
視点が変われば、知れる情報や見えるものが違い、出来事が異なるものに見えます。
鑑賞後には、トレーラームービーでは不穏にも感じられる「怪物だ~れだ」のフレーズが、まったく異なる響きに聞こえます。
怪物とは、得体のしれないもの、理解できないものを指すのではと思いました。
母親の視点では、子どもに「なぜ?」と問い詰めるとき、母親にとっても子ともが理解不能な怪物に見えたかもしれません。
教師の視点では、自分の言葉を誰も聞き入れてくれないとき、他人のすべてが得体のしれない怪物のように見えたかもしれません。
子どもの視点では、どうやら普通ではないらしい自分のことが、自分でもわからない・説明できない怪物のように感じられるのかもしれません。
子ども視点のシーンがとても印象的です。
ピュアでまっさらで、まだなにも名前を付けられていない感情たち。
子どもたちの眩しく美しい笑顔に切なくなります。
ここを切り取っただけでも素晴らしいジュブナイルストーリーになるでしょう。
ラストはハッピーエンドだと信じます。
最高の役者陣で人間の性を鋭くえぐりまわす圧巻の衝撃作!
安藤サクラさん、永山瑛太さん、田中裕子さん、そしてガラスの様な小学5年の少年達を痛々しくも力強く演じる黒川想矢さんと柊木陽太さん、終始 皆さんの素晴らしい演技に圧倒されるあっという間の2時間でした
特に柊木陽太さんの演技が圧倒的、とても可愛い時もあれば、物凄く不気味でゾクゾクさせられる時もあり、彼の演技にグイグイ引き込まれました
本作は珍しく是枝裕和監督自身の脚本ではなく、伝説の大ヒットドラマ「東京ラブストーリー」や最近では「大豆田とわ子と三人の元夫」の脚本で有名な坂元裕二さんの脚本、それが先日 第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞し世界中に報道され、同じ日本人の活躍をとても誇らしく思い、勇気をもらえました
是枝作品はあまり私には合わない様で、正直 過去作はあまり好きではありませんが、本作は素直に好きだなと思える作品でした
物事は視点を変えると全く違う世界が広がり、常に見えているものが全てではない
人は物事を上辺でしか見れない
人は物事を自分の尺度でしか解釈できない
人は人に言えない秘密を持っている
人は人に知られたくない秘密を持っている
人は自分の醜い所を知っている
人は自分の卑怯な所を知っている
人は自分の弱い所を知っている
人は常に拠り所を求めて生きている
人は・・・人に愛されたいと思って生きている
“怪物だーれだ“ゲームは外から見ている人が自分の本質に迫ると共に冷静な視点で語り、気づかせ、教えてくれるゲーム
孤独で辛い日々を送る少年2人がこのゲームを通じて相手の内面に寄り添い、共鳴し心通わせていくところがとても痛々しく切なくなりました
そういったそれぞれのキャラクターの性を時系列が行ったり来たりしながらの巧みなストーリー展開で描いていく、心揺さぶられる傑作が誕生しました
是枝監督こそが怪物
是枝監督はヒットメーカーと言っていいのだろう。「誰も知らない」のカンヌでの成功体験がその後の是枝チームの制作スタイルを形成し、子どもと家族をモチーフにした(これは彼のメインテーマなのだとは思うが)ヒット作を出し続ける中で海外を含めてトップクラスの役者やスタッフをふんだんに起用できる彼こそが「怪物」になってしまった。「ベイビー・ブロカー」までは許せるが今作はさすがにやり過ぎで中身のないデコレーション過剰な麻雀でいうところの多牌である。坂元裕二の脚本がやり過ぎなのだがこれに脚本賞を与えるカンヌはまともではない。「羅生門」的な登場人物ごとに視点を変える手法はややもすると技巧に溺れて今作のように「あざとさ」のオンパレードとなる。特に最初の母親視点での学校の対応はあきらかに過剰でこんな演出をするのなら安藤サクラの無駄遣いとさえいえる。唯一良かったのは、息子と病院から出てペットボトルを渡して歩きながら一気に学校での出来事を問い詰める長回しシーン。子ども二人の奥の鉄橋を貨物列車が走るシーンや二人が台風の中奥に行く手前で木が倒れるシーンもあざとくて興ざめる。もっとシンプルで切実な映画が観たい。
やはりカンヌの脚本賞は伊達じゃない。
さすがにカンヌの脚本賞を取るだけあって、濃密で見応えのある映画でした。
この映画をひと言でまとめるなら『物事は見る立場が違えば見方も変わる』そんなところです。
学校の内外で起きる様々な出来事に対し母親、学級担任、子供という3者の視点からそれぞれストーリーが描かれています。
この映画のタイトルである『怪物』とは関わると面倒で厄介な人、サイコパス的な人を意味しているわけですが、この映画にはそんな怪物と思わしき人物が次々に登場します。
観客は『こいつが怪物か』と見当を付けながら見進めていくわけですが、視点(立場)が変わると『あれ?この人、怪物だと思ってたけど実はまともだな』と何度も見方を覆されます。それがこの映画の肝です。
母親目線で見れば学校が怪物、学校目線で見れば母親や子供が怪物、子供目線で見れば怪物はいない(強いていうならクラスメイト)。
そんな具合に見る立場によって見方が180度変わってしまう。鑑賞後は『結局、怪物は誰だったのか?』と自問自答することになります。
この映画が教えてくれること。それは
『立場が変われば見方も正義も真実も違って見える。ひとつの側面だけを見てすべてを知った気になり、物事の善悪を判断したり、論じたりするのは危険なことだ。もっと多角的な視点で見て物事を判断して欲しい』そんなところでしょうか。
怪物?
あまり情報を入れずに鑑賞。
タイトルが「怪物」だし嫌な雰囲気漂う予告だったし、根の深い話なのかなと想像してたけど、色々な視点からの時系列を見たらみんな普通のように思えた。気持ちや行動が少しずつ噛み合わず、よくない方向へずれてしまった。その辺はよくできてるなと思った。
客観的視点
相手の立場に立って、ってよく言われるし、私もよく使うけど、無理だな。どんなに頑張っても自分の視点でしか見えない。だからこそ、相手の気持ちを考える。
多様性なんてまとめないで、色んな人がいて、色んな考え方がある。それを否定してはいけない。って言った方が分かりやすい。
是枝監督は弱い子供たちを題材にした映画が多いな。子役の2人が良かった。もちろん取り巻く大人の俳優さんたちも。
ストーリーとは関係ないんだけど、普段の生活でクリーニング屋さんで働いてる人と知り合う機会少ないのに、ドラマや映画にはクリーニング屋さんで働いてる人多くない?最高の離婚も坂元裕二脚本だったよね。
表現が難しいモヤモヤ
映画館にて鑑賞しました。
かなり正直に言うと、CMで見た情報からなんとなく想像していた「こんな話なのかな?」感は超えなかったように思えました。
登場する大人達(湊の母親や、担任の保利先生などなど)の性格や行動原理は「たしかにこの人ならこんなことするかもな」と、ある程度納得はできました。
ただ、人物描写がリアルなだけに、学校側の描写や、事態を解決に向かわせようとする人物が登場しないこと(というより事実関係を確認しようとする人物が母親以外にいないこと)に、ストーリー展開にはリアルさを感じられず、人物描写とストーリー展開のリアルさの差異を感じてしまい、違和感を覚えました。しかし、そもそもとしてストーリー自体が、母親・保利先生・湊の視点で描かれていくので、あくまでそれぞれのキャラクターが受け取った真実だと仮に考えると、認知のズレがある可能性もあるため、なにがどこまで事実なのかは正直分かりません。そう考えると、自分が感じた違和感や劇内での本当の事実は映画で描きたかったことにはあまり関係がないのかもしれません。
湊と依里の関係性や掛け合いはとても良かったです。依里の若干の距離感の近さは、依里の人物像をとても表現できていたと思います。
怪物は誰の中にも
坂本裕二脚本、是枝裕和監督って面白くない訳がない、ワクワクして鑑賞した。ストーリー展開、目線を変えて同じ日時を立場毎に描く手法、徐々に明らかになる隠れていた部分、それらが上手く紡がれて、予想もしなかった展開へ。隠れていた事が少しずつ見えて来て、でも何故?という疑問が徐々に解けていく過程、そして戸惑いと迷い悲しみが複雑に絡み合ったその情景に唖然とする。怪物の影はきっと誰の中にもあって、そしてお互いを受け入れることで、その見えないものが見えてくる。
とてもせつない気持ちを受け取った作品だった。坂本龍一のピアノが静かに心の機微を表現しているようで、とても自然にシーンにマッチしていて泣きそうになった。
怪物はいない
是枝監督の作品はいつもラストがいいので好きです。本作もラストはハッピーでもバッドでもすっきりでももやもやでもない、あえてこの良さを言葉にするのなら「美しい」ラストシーンでした。しかもちょっと考察してしまいそうな。(二人はもしかしてもう…)
タイトルに引っ張られると怪物探しをしてしまいそうですが、登場人物それぞれを多面的に深く見せることで「怪物なんていない」という逆のメッセージがあったように思えます。噓、暴力、犯罪…残酷な世界では、普通に生きようとしても見方によって人間ではない「怪物」に誰しもがなってしまう。そういうことではないのかと。
真実という名の怪物
あの美しい湖も、おだやかな湖面の下は、深く深く、藻が絡み、水流が渦を巻いているかもしれない。外から見てるだけでは何も分からない。
そして人は、あのカードゲームのように、自分が何物なのか実はまったく見えていない。
そして私たちは、母親の視点、担任教師の視点、
子ども二人の視点から真実を分かったつもりになっている。でも、校長の視点、教頭の視点、一年生の時の担任教師の視点、猫の死骸を見つけた女の子の視点を加えれば、真実は別の様相を呈してくるかも。
真実という名の巨大な怪物はいつも私たちの前に立ちはだかる。
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