怪物のレビュー・感想・評価
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怪物は私たち大人なのかな。
2人の少年が、ある嵐の日の朝、姿を消す。彼らの身に何が起きたのか。子供の親、担任教師、そして子供自身の三者三様の視点から描かれていきます。そして、それぞれの真実が明らかになり、「怪物」の真相に辿り着くっていうスートーリーです。
最初の1.2部の保護者や教師の映像からはなにが真実でなにが嘘なのか、ミステリー形式でゾワゾワします。モンスターペアレンツ、イジメや体罰、学校の事なかれ主義、高齢者の運転問題など巧みに是枝監督が得意とする社会問題を内包させながら、物語は進みます。子供自身の視点から描かれる最後の3部でさらにLGBTQ問題が加わり、3つが重なり合いながら、真実は明らかになります。
わたし大人は自分の視点でしかものをみることができないという大人達の哀しみを1.2部では描き、それを子供が健気に受け取め、苦しみ、最後は解放?されていく。1番最後はファンタジー(死の暗喩)を感じました。
校長先生役の田中裕子が楽器を2人で演奏しながら、湊に語った言葉がこの映画が言いたかったメッセージとわたしは受けとりました。
タイトルなし
役者陣素晴らしい
怪物街diary‼️❓
久しぶりに時間を忘れて観て、深く考えさせる、凄い作品でした。
いろいろ詰め込み過ぎて、分裂気味な展開でしたが強く引き込まれて。
いろんな怪物が出てきますが、極め付けは父親役の中村獅なんたらです、実生活でもこんなんなのでしょうか、子供を豚の脳扱いにして暴力も酷い。
それに校長、教頭などの陰湿な体質、孫を轢き殺しても平気なはずだよ。
シングルマザーが被害妄想気味なのはステレオタイプですが。
良いところでは少年二人の交友関係、監督は子供の演出が最高です。
根拠のない噂話が真面目な人を追い込んでいく、これが本物の怪物かもしれませんね。
それと、壮絶ないじめをする子供、家族に辛く当たる親、保身が全ての校長教頭、それらも怪物。
高畑充希もきれいでした。
映画代が値上げしましたが五倍くらい価値のある映画🎞🎟🎬🎦是非。
ださいニット
2回観た
主観と客観
見終わったあとはなんだかなと思った
瑛太や校長設定は映画の都合で一貫性がなく感じだし、子供達の友情或いはそれ以上の関係に瑛太だけ犠牲になってしまっただけのように思えた
ただ一晩経って改めて考えるとあの映画の登場人物はみんな一生懸命に生きてることに気づいた
主観的に悪いことをしているとわかっているけどそうせざるを得ない
それが客観的には怪物にうつる
獅童はオールドスタイルで子供に手をあげているような父親に映ったが本当にそうだったのだろうかと考えなおす
子供の体のあざも教室で喧嘩した時についたかもしれないし、いじめられた時についたかもしれない
獅童がただの暴力的な親父だったらあんなに中性的な服を買ってあげるだろうか
父子家庭の設定がきいていると感じた
星3くらいかなと思ったけど5に
怪物は
サイコサスペンスの傑作と思う
「怪物」の基本情報が他者からの伝聞に限られ、そしてシーンの切り取りかたや演出が実に巧妙で、鑑賞者の頭の中でそれぞれ個人的に「最も怖い怪物」を想起させるという手法が実に効果的でした。
私は最初に出現した分かり易い「怪物」が、ノッシノッシと学校という密閉型の世界で治外法権的に暴れ回る単純な話、立ち向かう科学特捜隊の肝っ玉母さん(笑)の奮闘ぶりくらいで終始すんのかな・・・と前半の盛り上がりを見て期待してたんですけど、そんなに単純なもんでもなく、実に複雑怪奇な拡がりを見せます。
被害者が多数現れ、状況はなんとなく把握しつつ、怪物の正体も二転三転し見えない怪物の恐怖が積み重なる展開です。いや、サスペンスとして、怪獣ものの新作として(笑)、本当に素晴らしい。
また、まあイジメ問題なんかを正しく扱っている点で言うまでもないですが、「子供の善性の否定」なんかをきっちり差し込んでるあたりはむしろ、人としての個性を認めている印象で大変興味深いです。
洋画では社会派作品でもありがちですが子供=純粋無垢、等しく天使、うそなんてつきません!・・・とかいうディ◯ニー的馬鹿な幻想がないだけ説得力があります。
誰しも理不尽に怪物の被害者となり得る、また怪物とみなされ集中砲火を受ける可能性がある、実際怪物にさえなる・・・ということを痛感させられる作品です。しかもところどころ実に耽美的でもあり、たぶん傑作の部類だと思います。
ぜひご鑑賞を!
小学5年生という絶妙の設定
物事は人によって見え方感じ方が異なってくる。だから同じ出来事について視点を変えることで真相を描いていく物語の手法が成り立つ。本作では安藤サクラ演じる母親の視点、永山瑛太演じる先生の視点、そして子どもたちの視点を順番に見せることで真相を描く。
怪物だーれだ?のフレーズが予告編で頻繁に使われていたから、ちょっとしたミステリーかと思わせておいて(ミステリー的な部分もあるが)、実は2人の少年の関係を描いた物語だった。予告編以上の情報を入れていなかったから少し驚いた。
やはり坂元裕二の脚本はすごい。あの出来事は実はこんなことだったんですってさり気なく見せる伏線回収。周りに理解されないままあの2人の少年が、関係性を深めていく展開がどうしようもなく切ない。もっとどうにかならなかったの?という思いと、何かを切り開くにはまだ幼いよなという思いが入り交じる。そして愛と友情が曖昧に混じり合った関係性。そういう意味で2人が小学5年生というのが絶妙の設定だった。あれが中学生になるともっと性的な匂いが強くなって別のテイストになっていたに違いない。
最後の2人の笑顔と咆哮のシーンが、問題は何も解決していないのに幸福感にあふれていて、切なくて美しかった。ラストシーンの別の解釈を聞いてなるほどと思ったが、明確な決定打はない。あくまで観ている側に委ねられた終わり方だ。本来あまり好きな手法ではないが、あの美しさにこのラストはこれでいいと納得してしまった。安藤サクラや永山瑛太、田中裕子たちの演技もよかったが、2人の少年の演技が特に素晴らしい。あの子たちのこれからを期待したい。
是枝裕和監督作品で一番好きだったのが「海街diary」だったが、本作はそれを更新することになった。どうやら個人的には誰かが作った話を監督した是枝作品の方が好きみたいだ。
素晴らしき美少年BL映画
鑑賞後の感想はレビュータイトルそのままです。
力のある作品なので飽きずに観ることが出来、
美少年2人のロマンスにときめき、最後は思わず涙してしまいました。
ただ劇中3部構成の
①比較的普通のお母さんが子どもの怪我や奇行を不安に思い、不信感しか持たない担任や、まともに対応してくれない学校への不満が募っていくサスペンスパート
②平凡な新任男性教師が反論の余地もないまま実態のない暴力教師に仕立て上げられ社会的に抹殺される転落劇パート
上記2部がラストのBLパートに果たして必要だったのかと思うと疑問。
特に②の教師パートは映画全体の中ではかなり薄っぺらい印象。①パートの母親や受け持っている学級の生徒とのシーンもあまりなく、1人の子どもの嘘で暴力教師に仕立て上げられていく過程に説得力が無い印象を受けました。
このパートやるなら同性愛傾向のある自分の息子を豚の脳を持っていると虐待する父親の心情を見たかったと思う。
また①パートの安藤さくらさんの演技が凄かっただけに、それがラストにあまりつながっていない印象を受けたのも残念。
タイトルの怪物については鑑賞者それぞれで考えてね、と言う終わり方です。
個人的には名監督が撮った美少年BLに感化されて、危ない性癖をもつ怪物にならないようにしなければ!と思いました笑笑
怪物に託されたタイトルの真意とは
理解できぬ他者は、皆々モンスター
『黒澤明』の〔羅生門(1950年)〕でお馴染み、
主要な三者の視点で一つの出来事を描く。
小学生の息子を持つ
シングルマザーの『麦野早織(安藤サクラ)』。
担任教師の『保利(永山瑛太)』。
そして『早織』の息子の『湊(黒川想矢)』。
夫々の順に語られ、同じ事象であるハズなのに、
度毎に異なる側面を見せ出すのはお約束の流れ。
『早織』にしてみれば息子は被害者で
『保利』は「モンスターティーチャー」。
『保利』にとって『麦野』親子は「モンスターペアレント」と「モンスターチルドレン」。
が、不思議なことに『湊』にとっては
必ずしも『保利』は忌避する存在ではない。
母親との関係も、思春期にありがちな断絶も見られない。
とは言え、母親からすれば、息子の些細な変化にも過敏に思いを巡らす。
傍から見れば、『早織』が贔屓の引き倒しで
不確かな噂や外見に過剰に反応した結果とも見える。
そしてまた、子供は嘘をつく。周囲に流されやすい特性もあり。
勿論、大人もそれは同様。
とりわけ学校を守ろうとする校長の『伏見(田中裕子)』の存在も事態を混乱に導く。
こうした物語りでは、最後は三者三様の混沌になるケースが多いのだが、
本作ではそれを善しとしない。
起承転結の輪郭が次第に明確になり、
最後に鑑賞者は理解し安堵を得る。
久々にぐいぐいと引き込まれるような語り口に
固唾を飲んで観入ってしまった。
「カンヌ国際映画祭 脚本賞」は
伊達ではないとの納得感。
そして邦画には珍しく、子役の男児が二人とも演技が巧い。
『湊』の友達の『依里(柊木陽太)』も含めてのことだが
これは極めて珍しいこと。
もしかして私も怪物なのかも
新しい気付きを与えてくれた重い映画
この映画のような状況はどこにでもあるのではないかと思った。私のことが怪物に見える人もいるのかもしれない
いじめていた生徒や父親、先生の彼女、学校を守ろうとした先生だって、悪い人に見えてもこの映画で描かれたのはほんの一部でしか無く本人の視点になると違った一面があるのかもしれない
怪物だと思われた人はいるが、怪物はいないのだと思う
どの場面で恋心を抱いたのかなど一度観ただけではわからないこともあったので、解説があったら見てみたい
映画は3章だったが、登場人物全てを主役にして章立てて観てみたい
こうやって社会に疑問を投げかける作品を作れる方々を尊敬するし、自分もそうなりたいと思った
世界に自慢したい邦画
映画は3者の視点から描かれます。
序盤は、湊の母(安藤サクラ)の視点から始まります。湊の不可解な行動と、学校側の真実をひた隠しにしようとする様な対応に、観客側をイラつかせます。当然誉め言葉です。それにしても、安藤サクラさんって、未亡人役が本当にはまっていますね。夫死後も気丈に前向きに生きていこうとする姿、目の演技は見事です。
中盤、湊の担任(永山瑛太)視点では、前半は不審の対象でしかなかった人間が、本人目線で描かれています。瑛太も、「悪気はないけれど、ぱっと見はちょっと変な表情」を出すのがうまいですね。
最後、湊の視点。ここで前中盤に描かれていた、諸々の伏線が回収されていきます。
さすがの是枝監督×坂元脚本コンビ。映画は終始退屈することなく、人物表現に自然美と考えられた構成で秀逸な映画ですね。ラストシーンの故・坂本隆一の音楽との親和性も素晴らしいです。
「世界に自慢したい邦画」と感じました。
それぞれの怪物
怪物の餌は、対等な人間として扱われない孤独か。
どうして悲劇は起こってしまうのか。
対等な人間として扱われたい。
可哀想だと見下されたくない。
晒し者や笑い者にされたくない。
理解されずに見捨てられたくない。
不幸だなんて決めつけられたくない。
自分の大切なものを傷つけたくない。
人は守りたい何かのために嘘を吐く。
その嘘は自分も周りも苦しめる。
人は守りたい何かのために攻撃対象を探す。
その独善は自分も周りも追い詰める。
生きる術として身につけた生きづらさ。
対等な人間として向き合うことの難しさ。
大人が作り上げた世界に翻弄される子ども。
肩書き、トロフィー、誰かに決められた幸せ。
「そんなの、しょうもない。誰かにしか手に入らないものは幸せって言わない。しょうもない、しょうもない。誰でも手に入るものを幸せって言うの」
湊視点での校長の細やかな心理描写が苦しかった。
対等な人間として認めないと心は閉ざされる。
対等な人間として寄り添えたら心は開かれる。
受け入れてもらえる居場所は誰にも必要だ。
それが家庭にも学校にも無いのが彼らだった。
依里の死生感に触れた湊が「生まれ変わる」と言い出し「出発」に希望を見い出してから、彼らが壁も柵も無い夢のような新世界を楽しそうに駆け回るまで、切なくて涙が止まらなかった。
「太陽が眩しい。海の匂いを胸いっぱいに嗅ぐ。いつもと違う匂いがする。僕は生まれ変わったんだ。僕は誓う。絶対に西田ひかるさんと結婚します。五年二組保利道敏」
胸がいっぱいで思うような文章にならない。
私は二人をジョバンニとカンパネルラに重ねて見てしまっていた。宮沢賢治が書いた銀河鉄道の夜だ。もしや「出発」後に靴が脱げていた依里は既に亡くなっていて、そして湊は意識不明の後に目を覚ますのでは、…などと残酷な想像をしてしまった。その展開があるとしたら、母親と元担任の理解を得られて、家庭に居場所が出来るのかもしれない。「出発」してでも好きな人と手を取り合うこと、好きな人と離別して「生きる世界」に安全な居場所を得ること、私にとっては一体どちらが幸せなんだろうかと考えさせられた。
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