劇場公開日 2023年6月2日

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「カンヌ脚本賞おめでとうございます」怪物 フレンチクローラーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カンヌ脚本賞おめでとうございます

2024年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

楽しい

興奮

カンヌで脚本賞を取ったという事で、ハードルがあがりきった状態で視聴

本作は一つの時系列を三つの視点でリフレインさせ、隠された真実を浮かび上がらせる手法を取っています。視聴者の注目を煽るための展開や、視点による感じ方の違いを強調するためのギミック(先生の飴とかね)に少々あざとさを感じるものの、エンタメ作品としては許容可能範囲。終盤、真相のインパクトを強調よりも根底に流れていた秘密のドラマにフォーカスする作劇からは一流の非凡さを感じました。エンタメ寄りで文学的なエッセンスも少し足されている、くらいのバランス感覚は好みです

言ってしまえば映画「羅生門」のアプローチをベースに、「浦沢直樹作品」のクリフハンガー要素を加え、「少年時代」に着地する作品とでも言いましょうか(浦沢直樹作品のエッセンスは韓国映画に色濃く継承されているので、そちらを思い出す人のほうが多いかも)。竜頭蛇尾に終わりがちな浦沢直樹作品の欠陥を回避するにはこんなやり方もあったのかという驚きもあり。面白かったです

フレンチクローラー