「いい親、いい先生、いい子供」怪物 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
いい親、いい先生、いい子供
すべり込みで劇場鑑賞。
ドラマで見たかった気もするけどまあ無理なんだろうな。。
正直、ネタ的に坂元裕二のカマトト節に絆されるのをなんだかんだ待ってしまったとこはある。からの子供パートで、まんまとキター!と。。
いやわかってる。そんなことだろうと思ってた。それでもすでに何も学ぶ必要がないほど賢いし、そのままでいいよ教えたくて仕方ない。永遠に見ていたいと思う反面、美しいと感じることそのものが後ろめたい。
しかしモヤモヤする。映画的にオチてない気がする。
安藤サクラ演じるあの健全そのものの母にすら自分をごまかすための嘘はあり、そのために弱い人間に不要な圧をかけたりする。
「人は見かけによらないから、一面的に断罪するのはやめるべき」というなら、逆に一見どんなにひどい行為にも一定の留保をするべき、となる。
ならば、あの悪ガキたちにも、教員にも、中村獅童演じる父にも、高畑充希にも、しかるべきバックグラウンドがあったんだろうか?
モスト悪質なピープルに見えた田中裕子ですら見方によっては…てことは、答えは言わずもがなだよね?
そしてああいうラストだと結局、贖罪のために努力したり、赦しを請う必要もない、というメッセージにならないか…?それ以前に、下手すると知るための努力すら無意味な場合がある=知る必要もない、となりかねないこんな世の中じゃ。
最終的に2人は行き止まりにぶつかって、生まれ変わった後でその柵を乗り越えた先へたどり着く。彼らの見た景色は画面には映らない。
だけど私は彼らが互いを知った時点で救われたと思ったので、1人でも現実の時間に帰ってくるべきだったんじゃないかと思う。なにしろ彼らの彼らとしての人生は今がスタート地点だし、画面のこちら側にいるたった1人を応援したいんだ、というならなおさら。
こちとら「ムーンライト」とか見てるしさあ。やっぱり余韻の深さが違うじゃん。。
うーん…「万引き家族」の時とはまた状況が違うんだろうけど、やっぱりオチをつけないのがいいオチだ、とは思えないんだよな。