「怪物だーれだ」怪物 hiwaさんの映画レビュー(感想・評価)
怪物だーれだ
母、教師、子供たち、とそれぞれの視点から出来事が描かれる。
冒頭は湊の母に感情移入して、学校側に憤り、徹底した事なかれ主義に気味の悪さを感じたが、時系列がいったりきたりする中で少しずつ出来事のパーツが明かされていき、事件に対しての印象が次々に塗り替えられ、関わる人物たちの葛藤が肉付けされていく。
怪物は、得体の知れなさゆえに嫌悪し畏れる対象のことなんだろう。
それぞれにとってそれぞれの怪物。
依里の境遇に対しては無力なまま、依里との時間を心の拠り所にすごす湊にとっては、コントロールできない自分自身が怪物?
いや、そう思わせる周りの価値観こそが怪物なのかもしれない。
校長は、そんな怪物と対峙しながらいつしか慣れ親しんでしまった人物なのかも。
シングルマザーだから。ガールズバーに教師がいくなんて。適当でいいんだよ。男だろ。普通に結婚するまでは。
あちこちに散りばめられた無自覚な既製の価値観のワードとと、この線から出たら地獄だよ、というなにげない言葉が印象に残る。
誰かじゃないと手に入らないものは幸せと呼ばない、という校長の言葉がその中で力強く救いだった。
フォローありがとうございます。
私、10年位前から、キネマ旬報、kinenote、Yahoo映画レビューなどに映画レビューを投稿しています。現在の目標は2回目のキネマ旬報掲載です。こちらのサイトには昨年2月に登録しました。
宜しくお願いします。
本作、終盤で小学生2人が行方不明になった時には、ハッピーエンドの結末は厳しいなと思っていました。しかし、ラストの二人の親密ぶりに性の多様化に対する作り手の暖かな眼差し、作り手からのエールを感じました。現実は厳しいは希望はあるという作り手の強い意志を感じました。
ラストは、ハッピーエンドと言うよりはグッドエンドでした。
ー以上ー
「誰かにしか手に入らないものは幸せって呼ばない。誰にでも手に入るものを幸せって言うの」
校長先生の言葉の意味が未だにわからず、意味を探している最中です。
ても、hiwaさんの上のコメントを読んで、なんかわかりかけてきたような気がしています。自分なりの解釈ができるまでもう少しのような気がします。
ありがとうございました。
Mさん
ありがとうございます。
校長先生の言葉、既成の価値観で良しとされているものや、「一般的」と呼ばれているものからはみ出たら幸せになれない、という思い込みによって苦しむ湊に対して、そうじゃないんだよ、と伝えているように思いました。
恐らくは、これまでの人生をその思い込みによって同じように苦しみ抜いてきた大人として。
いろんな捉え方ができる作品ですね。
一緒に見た人と「怪物は誰だったか」の話をするうちに、自分たちなりの結論は出ました。
でも私は、校長先生の言葉の意味は、最後までわかりませんでした。
意味を理解したくて、今、それぞれの人が受け取ったレビューを、読んでいるところです。
フォローや多作にも共感いただきありがとうございます。私もフォローするところでした😊
〝怪物に飼い慣らされた〟校長…同感です。立場に対して責任を持つほどにそうなっていっただろう彼女も、ある意味被害者なのでしょう。無になり、能面になり、楽器で吐くストレスを湊に教える姿には、哀しみがありました。強い意志ある言葉にはその流れを背負わなければならない立ち位置を自覚する姿がありました。湊へ響いたはずですね。