「子役2人の演技力が怪物」怪物 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
子役2人の演技力が怪物
黒川想矢と柊木陽太のとんでもない演技力が、監督や脚本家の企みを破壊してしまっている。2人に気を取られるあまり、作品が問いかけようとしている命題が気にならなくなり、ラストに至っては、ホントにどうでもよくなった。
もう、2人の物語でよくない?
最初は、母親の視点で始まり、途中から幾人もの視点で、時系列を前後して物語が語られていく。進んでいくにつれて、解像度が上がっていき、真実の輪郭が見えてくる。
ようやくわかってきたところで、「ここから先は、見ているあなたが物語を完成させてください」と、突き放されてしまう。
人間が目にする情報だけでは、真実を捉えることはできない。それは、わかる。違った視点から起こった事象をトレースしていくと、別な真実が見えてくるが、それも一部でしかない。
シュレーディンガーの猫のように、見る行為で客体が決まる。そう考えた方がいいのかもしれない。
安藤さくらに田中裕子の演技力が過剰に発揮されるがあまり、ピースのハマり方が鮮やかすぎるあまり、嘘くさく感じてしまうきらいはある。
そんな気持ちを吹き飛ばしてしまうラストでございました。
子役2人、良かったですね。
柊木くんは初めて見たと思いますが、黒川くんはNHK時代劇「剣樹抄」で見たことあります。
その時に舘ひろしと共演し、舘プロに入れてもらったそうです。
演技は文句なしの上に、運動神経が良さそうなので、時代劇俳優になってくれないかと期待してます。
ちょんまげも似合いそうな気がします。
湊と依里だけのパートだけで、全部分かるから他は要らない気もしますが、母や先生の苦悩も描かないと身近に感じられないからかな。
ソレにしては、特に学校側が過剰な演出に見えました。
bion様
お邪魔します。
>安藤さくらに田中裕子の演技力が過剰に発揮されるがあまり、ピースのハマり方が鮮やかすぎるあまり、嘘くさく感じてしまうきらいはある。
そんな気持ちを吹き飛ばしてしまうラストでございました。
特に、ここのコメントに共感しました。私自身は「羅生門」が大好きなので、敢えてこういう演出にしているのだろうと受け止めましたが、でも、bionさんが書かれているようにも感じていました。ラスト、素晴らしかったですよね。いろいろな意味で味わい深い作品でした。
赤ヒゲでした。