「原作と雰囲気は違いますが「広瀬すず版」としては納得の作品」水は海に向かって流れる スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
原作と雰囲気は違いますが「広瀬すず版」としては納得の作品
田島列島の漫画原作の実写映画です。原作はアンニュイなラブコメなのですが、映画の方はもう少しストレートな話になっています。
映画的な感想から。やっぱ一番は広瀬すずですね〜。今回は無表情キャラだったのですが、それでも表情演技が抜群にうまいです。お盆事件の翌日、シェアハウスの玄関での直達とのやりとりとか、横顔と目線の動きだけで伝えていますね。
楓役の當真あみも良いですね〜。「かがみの孤城」でも散々ですし、演技はコレからですが、この透明感は画面の癒しになります。
原作のコミカルな部分の表現も良かったです。田島さんのギャグって、真剣さのなかにある笑い、ってパターンが多く、そこがよく表現できていたと思います。凄く真面目に演技しているのに、ココは笑うとこだよ〜、って雰囲気ですね。
原作を含めた作品的な感想。
映画は「広瀬すず」中心。原作の榊さんには似ても似つかないビジュアルですが、コレはこれで良かったと思いました。
広瀬すずが強いので、直達がだいぶ弱かった。ただ、そうして観ると、この作品自体、榊さんの物語、と捉えて良いのかな、と思いました。榊さんにとって、直達は16歳の頃の自分で、「このまま無かったことにしようかな〜」と流されてた26歳の自分と、直達を通して再会した16歳の自分の物語、って解釈も成り立ちます。
だから、原作では榊さんと直達は明示的にも付き合う感じで終わるのですが、映画では榊さんの自立のシーンで終わるのでしょう。いや、漫画の終わり方もサイコーでしたがね〜。
なんで広瀬すず?って思いますが、この原作の雰囲気、特にシェアハウスの古い日本家屋の雰囲気なんか、彼女の初期の代表作の「海街diary」を思い出すので、凄くストライクなキャスティングでした。