「高校時代の貴重な時間」水は海に向かって流れる 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
高校時代の貴重な時間
クリックして本文を読む
不倫をした母をもつ女性と不倫をした父をもつ男子高生。10歳の歳の差はあるけれど、共同生活を始めたことから知り合って、距離を縮めていく話し。
いまちょうど自分が高校生の頃を思い出しては、あのときあんなことしていたなとかいろいろ思っている時期で、あのときのころとオーバーラップして感動が増した。
不倫関係にあった親子の子どもが共同生活を始めることってなかなかないけれど、男子高生の叔父が一人暮らしをせずに、ワケあって、一軒家をシェアすることから知り合うってことで現実的にはなくはない。
母が不倫をした挙句に家を出て行って会っていないことから、ここを閉ざしがちな女性。母が家を出て行った16歳の頃から時間が止まったままという”教授”の言葉が刺さる。恋愛にこころを向けない女性が、男子高生の想いによって次第に溶けていく。その感じがこころ揺さぶられました。
男子高生を好きになる女子高生もいて、自分の恋心にピュアでまた積極的で、高校時代は女子の方がコミュ力断然あって、恋愛は女子が結局リードしているんだなと思わされます。
それと男子高生の父。罪ほろぼしが自分のためでもあると自覚しつつも、そうせざるを得ない、実行してしまうところは、情けないようでいて、行動力もあるひとのようにも思えました。
前田哲監督、「そしてバトンを渡された」のときもそうでしたけど、映像とセリフの独特の間合いが感情のすき間をつくってくれるので、入り込みやすいです。この監督だったからというのもこの映画を観た理由のひとつでした。
コメントする