「別方向に向かったほうが尚良し」水は海に向かって流れる サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
別方向に向かったほうが尚良し
シェアハウスものにハズレ無し。
予告やポスターからチープな雰囲気が漂っていたから、そこまで期待していなかったんだけど、安っぽさは否めないものの、心が浄化され、心が温まるいい作品でした。リトルマーメイドとの水対決。勝者は如何に?
昔はあんまり好きな女優では無かったんだけど、つい最近までやってた「夕暮れに、手を繋ぐ」から一気に好きになった、広瀬すず。
これまでは同じような役柄ばっかりだったけど、ココ最近色んなキャラを演じるようになって、更にはコメディもばっちこいの女優だと判明。本作では、そんな広瀬すず無しには成立せず、とも言えるほど魅力を発揮していました。清楚な女子高生イメージから、色気のある大人な女性へと成長。いつも不機嫌で恋愛をしない女性、というのがすごくハマっており、またもや新たな一面を見せてくれました。「なに?」「よう知らんけど」「バッカじゃないの?」と突き放す言葉が、なぜだか似合っているんです。
同居人である、高良健吾、生瀬勝久なんかもすごくいい味出していて、中でも戸塚純貴はスピンオフで主演作作って欲しいくらいいい演技してる。
現在は「だが、情熱はある」でオードリー春日を演じていて、度々話題になる戸塚だが、今回も最高。芸人顔負けの間と表情で笑わせてくれるんだよね〜。
シェアハウスメンバーのセリフや、どんなシチュエーションだよ!と笑えるシーンが多くある本作。本筋はいいけど、ラスト辺りは特に悪い意味で日本映画らしい落とし込みをしているから、もっと同居人たちに焦点を当てて物語を展開した方が面白かっただろうな〜と。日常コメディに向かった方が尚良し。そのセンスは、結構あると思うよ。
自然と笑みが零れるような作品。
見たあとは幸せな気持ちでいっぱいになるし、ツッコミどころはあるものの、笑ってホッコリするから大満足できる。「人に聞かなきな分からない恋なら諦めろ」を筆頭に名台詞がたくさんあって、人間味のあるキャラクターも多く、時折イライラしてしまうけれど、自分もそういうところがあるよな〜と共感。
広瀬すずパワーが絶大であることは間違いないんだけど、脚本はどうであれ演出が素晴らしいのでグッときちゃう。猫のムーちゃんも含め、癒しの映画が本作なんです。極めつけには、スピッツの主題歌。そりゃ、いい映画に決まってるでしょ?曲の雰囲気がバッチリ合っていて、またもや心がホッコリしました。
公開日初回に見るなんて久々だったけど、金曜の朝に相応しい作品でした。好き嫌い分かれそうだけど、前田哲監督の映画は安心して見れるから好き。再来週にはまたもや監督作の「大名倒産」が公開され、勢いが止まらない前田監督。広瀬すずも監督も、今後とも目が離せませんね。