「何度かみないとわからないかも…。かなり難しい…。」野獣の血 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
何度かみないとわからないかも…。かなり難しい…。
今年31本目(合計684本目/今月(2023年1月度)31本目)。
この映画、どうもエンディングロールをみると、2016~18年ごろに作られたようですが、公開は特に遅れもなければいわゆる「リバイバル上映」でもなく、2023年の1月で正しいようです。
また、公式サイト等にあるとおり、原作小説をベースにしたものであるためそれと極端に違う展開にすることもできず(各種権利上の問題が生じる)、かつ一般的な韓国映画のアクションものといえば2時間ほどですが、登場人物が多岐にわたる上に、かつ最初にどばどばっと出るのではなく、開始1分~90分くらいまで少しずつ新しい人物が出てくるという展開のため、かなり理解に苦労します。
また、上述のように少し古い映画であるため字幕の配慮がなく、舞台は韓国第二の都市、プサンですが、そこを描くわりに看板などの字幕が何もなく(ただし、散髪屋など明確に文化的に推定できるものもある)、そこも結構きついです(日本語字幕もこなれていないので、ある程度韓国語のリスニングができるとか、何らかの条件が必要に思えます)。
アクションものと推理ものという二重の構造をとるため、誰が犯人だの動機がどうだのという話を書くと一気にネタバレなのでそのあたりは省略します。
採点および関連知識で気になったのは以下のところです。
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(減点0.3/一回の視聴ですべて理解するのはやはり難しい)
・ 字幕の配慮が足りないところや日本語がこなれていないところ、また、上述の通り、登場人物が多岐にわたる上に最初に出てこない人が突然出てきたり…と結構混乱させる要素は多いです。プサンの看板などの字幕不足も程度差があり、散髪屋などは日本のそれと同じなのでわかりますが、ほか(なぜかセブンイレブンまでこっそり映っているが…)わからないものもあるものの、そこが何屋でもあまり関係がないところ、ある程度の韓国文化や韓国語の理解を前提にしているように思えます(一般の韓国映画とはやや趣が異なる)。
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(減点なし/参考/日韓における不動産の物権変動)
・ 字幕内で「不動産はこっちのものなんだから何をどうしようが自由だろ」といっている部分ですが、日韓では若干解釈の違いがあります。
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(日本民法177条) 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 (←つまり、上記の発言では登記しているかどうかは不明)
(韓国民法186条) 不動産に関する法律行為による物権の得喪及び変更は、登記をしなければその効力が生じない。 (←つまり、上記の発言は登記をしていることを意味する)
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要は、登記が「効力要件」なのが韓国民法(登記しないと効果なし)、「第三者対抗要件」が日本民法(当事者間では有効だが、登記のありなしを第三者に主張するには登記が必要)という違いです。
日本はフランス民法を取り入れていますが、戦後(第二次世界大戦)後の韓国民法の制定において「支配された日本民法をそのまま取り入れるのは抵抗がある」という声があり、ドイツ民法を参考にしたのが韓国であるので、このような細かい違いが生じます。