東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦 : インタビュー
北村匠海の信頼、高杉真宙の覚悟 バディとして駆け抜けた「奇跡を毎日積み重ねていく現場」
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北村匠海、山田裕貴、吉沢亮ら若手トップクラスの俳優たちが集結した大ヒット作「東京リベンジャーズ」(通称「東リベ」)の続編が2部作で製作され、現在、前編の「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」が公開中。そしてファンが待ち望んだ完結編「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」が、6月30日から公開された。
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(C)和久井健/講談社 (C)2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
大切な人たちを守るため、ボロボロになりながらも戦い続ける男たちの姿が、多くのファンの共感を呼んだ「東リベ」シリーズだが、今回の続編2部作のキーパーソンとなる新キャストが、高杉真宙演じる千冬だ。高杉自身、「東リベ」出演を熱望していたということもあり、本作に賭ける思いは強く、その熱い思いをスクリーンにぶつけている。
劇中では、東京卍會の分裂を回避するために、北村扮する主人公タケミチと千冬はバディを組んで奮闘することになるが、演じたふたり自身も強い信頼関係で結ばれていたという。前作に引き続き、公私ともに強い絆を築いていた「東リベ」キャスト陣だが、そんな彼らの精神的支柱となっていた北村を、新キャストとして合流した高杉はどう見たのか。そしてそこから生まれた絆とはどんなものだったのか。ふたりに話を聞いた。(取材・文・写真/壬生智裕)
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――興行収入45億円、観客動員335万人を記録し、2021年の実写No.1作品となった前作に続き、2部作で製作された続編も前後編が公開となります。ここで「東リベ」もひと区切りというところだと思いますが、あらためてこれまでの歩みを振り返ってみて、いかがですか?
北村:やっぱり原作がすばらしかったですよね。この時代を象徴する作品だと思いますし、前作が2021年実写No.1となれたのも、原作の力は大きかったと思います。それに、いろいろなプレッシャーはみんなが抱えていたと思いますし、そういう作品で、ちゃんと結果を残せたのはうれしいことだなと思っています。
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――前作で「東リベ」チームの結束は強まったと思うんですが、初参加の高杉さんはどういう意気込みでチームに合流したのでしょうか?
高杉:緊張はしましたよね。やっぱり1が発表された時に「出たかった」という思いが強かったんで。だから続編が製作されるこの瞬間にめぐり会えたのは本当にタイミングが良かったと思うんです。このメンバーの中に入ることができて本当に良かったなと思っていたんで、気合は入りました。現場は本当に居心地が良かったんですよ。途中から入ったような気がしなかったというか。匠海くんをはじめ、皆さんが本当に受け入れてくださったという感じがありますね。
北村:そういう意味では、場地も千冬も一虎も、1に登場していなかったキャラクターは、たとえ画面には登場していなくても、そこに存在していたはずなんですよ。集会にも絶対にいたはずだし。そういう共通認識はありましたね。もう本当にそれだけというか。それこそ信頼を置いてる仲間だからこそ、僕らは風呂敷を広げて、ようこそという気持ちだけで。
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(C)和久井健/講談社 (C)2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
――千冬役は、普段の高杉さんとは違った雰囲気の役柄だと思ったのですが、そのあたりの切り替えはどうだったんでしょうか?
高杉:最初は僕も、どうやってやったらいいか分からないなという迷いはあったんですけど、でも(英勉)監督と話していくうちに、自分の中の共通点が少しずつ見えてきて。ここだ、というところを見つけたら、もう何かあとは走るだけという感じでしたね。
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――ここだというのはどういったポイントだったんですか?
高杉:実は本読みの段階では、僕の中ではかみ合っていなかったというか。僕がすごく浮いているなという印象があって。それから本読みも2回やったんですけど、何か違うなと思っていて。だから初日までに何か見つけないとなと思っていたんですけど。本番がはじまって3日か4日くらい経った頃に監督から「気合が足りていないな」と言われて。「そうか、気合か」と。
もちろんそれ以前も、気合は入れていたんですけど、千冬を演じる上での、気合のボルテージはもっと上だったんですよね。だから「気合が足りていない」と言われた時も最初は「足りてないか俺? こんなに気合あるのに」と不思議に思ってたんですけど、でもそういうことじゃなかった。だからバッチリはまったのは、そこだった気がします。
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(C)和久井健/講談社 (C)2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
北村:本読みの時も、真宙くんが悩んでいるのは感じていました。僕もそうなんですけど、髪の毛を金髪に染めないで、メイクや衣装もつけずに、素のままの姿でタケミチを演じるのは難しいんです。
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――バラエティ番組でいきなり「ここでタケミチの決めぜりふを」みたいにふられるのは。
北村:難しいですね(笑)。
高杉:確かにそれは無理ですね。
北村:だから、役者として真宙くんの気持ちがめちゃくちゃわかるというか。まだ千冬の全部を見ていない段階で、千冬になって本読みをやらなきゃいけないわけだから。逆に僕は、前に一度タケミチをやったことがあるので。もちろんすべてやり切れるわけではないけど、少なくとも本読みの段階では、僕が迷うことがないようにしようと思っていました。だから監督が気合だと言っていたのって、たぶん、場地さんとのシーンのことだよね。
高杉:そうだね。
北村:きっとそこで変わったんだよね。次に現場入った時にはもう完璧な千冬で。この間に何かがあったんだろうな、何かを見つけたんだろうなと思いました。
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(C)和久井健/講談社 (C)2023映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」製作委員会
――やはり「東リベ」に大切なのは気合だと。
北村:でもそれを言ったらタケミチも気合ですからね。
高杉:そうだね。
北村:特に我々ふたりはバカ正直にまっすぐ演じればいいだけだから。
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――今までおふたりは共演経験があったわけですが、本作であらためて共演が決まってどう思いました?
北村:よくぞ来てくれましたという感じはありましたね。
高杉:やっぱり座長が匠海くんだという安心感が元々あったので。それは現場に入ってからもそう。やっぱりこれだけのそうそうたるメンバーですからね。キャストは同年代ですけど、年齢的にはけっこうバラバラで。その中で匠海くんがみんなを引っ張っていった姿というのは、本当に頼もしいし、ついていきたいなって思わせてくれる瞬間がいっぱいあった。だから安心して現場に挑みましたね。
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――英勉監督と組んでみてどうでした?
高杉:僕は何度かご一緒させていただいたんですけど、それぞれの作品で色が違っていて。僕が言うのもあれですけど、監督と話していて頭がめちゃくちゃいいなと思う瞬間がすごくたくさんあるんですよ。そういうのが映画のいろんなところにちりばめられていて。撮影も、きっと監督の頭の中である程度、組み立ててやっていらっしゃるんだろうなというのをすごく感じるんで。だから僕は監督を信頼して、監督の言うことに、まっすぐついていきたいなと、いつも思っていますね。キャストやスタッフ、そして作品のことも信頼して、尊敬して、好きでいてくれる監督だなと思っています。
北村:英監督は役者を信じる力がある方だなと思っていて。僕らの声に耳を傾けてくれる監督さんですね。
もちろん自分のビジョンはあるんですけど、そのビジョンを押し付けすぎずに、現場で巻き起こることがすごく好きな方。それぞれの役者の個性を信じているからこそ、OKが出せる。OKを出す勇気がある監督さんだなとすごく思います。
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――そうやって役者を信じてくれるからこそ、自分のポテンシャル以上のものが出るというところもあるのでは?
北村:それは常に目指しているというか、自分が想像しうる芝居よりも、何かよっぽどいいものが現場で生まれるべきだと思いますし、英組はそういう現場だと思います。なんかそういう奇跡みたいなことを毎日積み重ねていくような現場だと思いました。