「ノルウェーから来た大怪獣(トロール)」トロール 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ノルウェーから来た大怪獣(トロール)
Netflixで『2』が配信スタート。そういや、見よう見ようと思って前作まだ見てなかった。なので、まず『1』を。
『ハリポタ』や『LOTR』にも登場。ドリームワークス・アニメでは歌と踊りとハグが好きなキュートなキャラに。ファンタジーでお馴染み。
元はノルウェーの伝説の妖精。
トロールと言うと神秘的でファンタジーなイメージだが、本作はノルウェー製作の2010年のモキュメンタリー映画と同じ類い。
これはもうれっきとした怪獣映画。私のような人間には堪らない!
化石発掘専門の古生物学者ノラは突然、政府機関に呼ばれる。そこには、首相や軍司令官などの要人が。
山岳地方のトンネル採掘現場で山崩れが起き、地中から何かが現れた。
現場で撮られた映像から、ノラは巨大生物と推測。
その何かは山を下り、民家を崩し、巨大な足跡を残して突然姿を消した。
何処へ消えたのか…?
正体を確認する為に、ノラは父と再会。
昔は仲良かった父娘だが、今は疎遠。
父はイカれた言動で失職し、山岳地方で一人住む世捨て人状態。その研究対象が、トロール。
学者として父の言う事に半信半疑だったノラだが、遂に“それ”と遭遇。
自然と擬態していたトロールがその巨体を現す…! この出現シーンがなかなかゾクゾク。
現れたトロールに対し、軍は攻撃。が、トロールは驚異の再生能力を持つ。
追うノラたち。堅実派の主人公、イカれた言動だが伝説を信じる年長者、コメディリリーフ担当や力になってくれる軍人。
おとぎ話と思われたトロールの伝説から対策案を講じる。
トロールは山岳地方から郊外、多くの人で賑わう田舎町の遊園地を経て、首都オスロへ。
軍は秘密裏の強力ミサイルを用意。トロール殲滅のみならず、甚大な被害や犠牲が…。
軍の攻撃で凶暴化したトロールの煽りで、父が死亡。父が残した研究とトロールの秘密機関の存在から、一か八かの作戦に出る…!
トロールの見せ方、脅威。ストーリー展開にキャラの配置まで。ドラマもキャラもそつなくそれなりに。
本当に、怪獣映画のあるあるを踏襲。“キングコング”や“ゴジラ”のワードも出てきたし。
エンタメ設定だけじゃなく、メッセージ性も。
トロール出現の原因は自然破壊。
軍の強行。人間の傲慢。
周りがトロールを殺す事に躍起になる中で、ノラはやっと父を理解する。
この世にたった一頭のトロール。悲しく、寂しい存在。
考えてみれば、トロールから一方的に人間に牙を剥いた事はない。攻撃され、身を守る為に反撃しただけ。
一瞬、呼び掛けた父と心を通わせたような…。カメの守護神のように子供を助けるシーンも。よくよく見ると、目が優しい。
攻撃を止めさせようとするノラ。しかしその時、トロールの弱点である太陽の光が…。
トロールの断末魔の叫びが胸に響く…。
ノルウェーから、王道も王道の怪獣映画。
こりゃ『2』も楽しみ。
トロールは一頭だけだったのか…?
『ゴジラ』の名台詞に倣って、
あのトロールが最後の一匹とは思えない。もし、自然破壊が続けて行われるとしたら、あのトロールの同類が、また世界の何処かに現れて来るかもしれない…。

