「今後大化けしそうな才能だと感じた」Rodeo ロデオ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
今後大化けしそうな才能だと感じた
初長編作品にして、これほどアクロバティックに走行するバイクやカルチャーそのものをカメラに余すところなくおさめられる手腕は、端的に言って凄いと思う。きっと長期にわたり現場に足を運び、リサーチを重ね、企画を温め、演技未経験のライダーたちとも親交を温めながら、アクションやキャラを練り上げていったに違いない。とりわけ、マッチョな男性社会で才能を認められていくヒロインの存在感が素晴らしい。冒頭では荒れ狂って手のつけられない状態だったジュリアが、いざバイクに跨って走り出した時に浮かべる、まるで羽根を得た鳥のように活き活きしたあの表情。こうして解き放たれた彼女が、いつしか別の誰かを解き放とうとする心情にも納得がいく。これだけ豊かで躍動感に満ちた素材を擁しながら、ストーリーの織り成し方が少し荒っぽく感じられるのが惜しいところだが、でもこのタイプの才能はやはり稀有だ。これから大化けするのでは、と期待が募る。
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