劇場公開日 2024年2月9日

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「今、能登の人にこそ見て欲しい作品」レディ加賀 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5今、能登の人にこそ見て欲しい作品

2024年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

近年心境著しい小芝風花。俺的には特に昨年のTVドラマ“波よ聞いてくれ”は強烈なインパクトがあった。特別贔屓のる女優ではないけれど、彼女が出ていると気になる(笑)
公開前からチェックしていたが、開けてみたら思っていたより上映館が少ないし、初日から上映回数1回しかないというところが多かったので四艇に組み込むのが簡単ではなかったけど、たまたま出張先近くのシネコンで都合の良い上映が有ったのですかさず観賞。

【物語】
樋口由香(小芝風花)は上京してタップダンサーを目指すもプロとして胸を張れる地位に到達できる自信を徐々に失いつつあった。そんなある日母親(檀れい)が倒れたという知らせを受ける。母親は実家石川県・加賀温泉にある老舗旅館で女将を務めていた。

急遽実家に帰った由香だったが、母親は普通にしており「さっさ東京に帰れ」と言われる。しかし、タップダンスに限界を感じていた由香は家業を継ぐことを考え、地元で開催されていた女将セミナーに通い始める。しかし、半端な気持ちで参加した由香は劣等生で、そちらも苦戦する。一方地元の役場ではじり貧にある加賀温泉を盛り上げるためのイベント考えていたが、新米女将たちを集めてタップダンスショーを開くことに決める。

由香を中心にタップダンスの練習を始めるが・・・

【感想】
この週末は4本映画を観たが、これが一番楽しめた。
まず、冒頭の小芝風花のタップダンスが超カッコイイ!
“いいとこどり”の編集とか、タップ音を後から入れる等々様々な加工が施されているであろうこと差し引いても、相当練習したのであろうことが窺われる。十二分に様になっており、冒頭で忽ち引き込まれた。

その後、最後に再び小芝風花のタップの見せ場があり、絵的あるいはドラマ的演出も加わって、こちらはこちらで圧巻のクライマックスになっている。

作品全体としては思ったとおりのドタバタコメディーであり、ストーリー展開的にも目新しさや意外性は全くと言っていいほど無い。 俺的観賞歴で言えば“チアダン”を想起したし、その他数ある“ポンコツチームの成長”を描いたスポ根ドラマなど、使い古された “お話”のツギハギであり、“お約束”のベタな展開の連続、と言ってしまえばそれまで。 だが、それでも不思議と「もういい!」とはならずに最後まで楽しめた。細かい部分の脚本・演出がしっかり出来ていたということか、小芝風花の力か。

小芝だけでなく、(クライマックス前の)“団体演舞”シーンでは共演の皆さんも相当練習したことが窺われるなかなかのシーンが出来上がっていたこともこちらの気持ちを盛り上げた。

理由はともかく、クライマックスでは予期してなかった涙までこぼずはめに。

この作品がこのタイミングで公開されるというのは間の悪さを感じるが、逆に今だからこそ地震の被害に苦しむ石川県の人達に観てもらいたい。
作中で主人公に母親が由香に諭す言葉
「何があってもへこたれない、諦めない強い気持ちが一番大事」
が何より地震の被害に遭った方々に持ってもらいたい気持ちだし、その言葉を胸に奮闘する主人公に元気と勇気を貰える作品だから。

もう1つ胸に刺さった劇中の言葉は、
「我々の温泉は3つの苦難、能登地震(今回ではなく2007年の地震を指していると思われる)、東日本大震災、新型コロナを乗り越えて来た」
作品制作時は想定してなかったさらに大きい4回目の苦難に襲われてしまったわけだが、今回も不屈の精神で乗り越えて頂きたいと願うばかり。

この映画が全国的な話題になれば、能登の人のちょっと明るい話題にもなると思うので、全国の多くの方に見てもらえたらと思う。さらに公式HPによれば配給収入の一部が石川県に寄付されるとのことなのでなおさら。

泣き虫オヤジ