「ラストで何もかもを台無しにした露悪的な映画。」名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) ガッキーさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストで何もかもを台無しにした露悪的な映画。
歴代のコナン映画は、全て鑑賞済みです。
前半は本当に最高だったのですが、ラストで台無しにされちゃったなぁという印象です。
前半はなんといっても、灰原が絶体絶命な窮地に陥ってしまう展開が最高でした。
「天国へのカウントダウン」でも近い展開がありましたが、あれの比ではないほどの絶望的な危機に陥ります。
コナンですら冷静さを失ってしまうほどです。
ところがこの映画、後半は不満が山ほどあります。
直美と灰原の絆を描いたストーリーは、確かに感動的ではあったのですが、だからこそ、
エンドロールでの後日談は完全に蛇足だったと思うのです。
だいたい、これだと、劇中で灰原、水無怜奈が大切な人を救えなかった事で苦悶するシーンの意味が無くなってしまうのではありませんか。
あとは、なぜか他の刑事は皆、登場しているのに高木刑事だけが全く出番が無いのもおかしいと思いました(正確には千葉刑事もいないのですが)。
また、今回で初登場した黒の組織メンバーのピンガのキャラは最高だったのですが、それだけにジンとの絡みをもっと見たかったですね。
ほとんど、周囲のキャラが、両者の関係を説明するばかりなのも味気なかったです。
そのピンガを、コナンがもろに挑発するシーンも、なんだかよく分からないシーンでしたね。
コナンといえば、これは、私が劇場版では恒例のコナンの「いっけえぇぇー‼︎」のシーンが嫌いなせいもあるのですが、本作のそれは、これまた蛇足だったと思います。
せっかく直前にド派手な大爆破のシーンがあっただけに、わざわざ無理矢理、超絶キックのシーンを挿しこんだのはアンバランスに思えました。
…で、最大の問題は、ラストの灰原です。
一応言っておきますが、私はいわゆる、キャラのカップリングのどうこうに関しては一切こだわりはありません。
そんなことよりもラストの灰原の、あのあざとい行動の方がよっぽど解せません。
灰原って、あんな事を平然とするキャラでしたっけ?もっと自身の想いを内に秘めるような人間じゃありませんでしたっけ。
こんな違和感だらけの灰原に、萌えた!、乙女心!、などと絶賛してる人の気持ちが理解不能です、
しかも、これをエンディングに持ってくるのもタチが悪く露悪的だと思いました。
どうしてこんな映画を、歴代最高傑作だ、などど言ってる人が多いのか私には理解に苦しみます。
興行収入も歴代最高記録だったようですが、これなら「ハロウィンの花嫁」や「ゼロの執行人」の方がずっと私は良いと思えました。