「こういうのでいいんだよ!」名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン) おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
こういうのでいいんだよ!
期待の劇場版最新作で、公開初日に鑑賞してきました。行きつけの劇場は、6スクリーンをフル回転で毎日36回上映という力の入れようで、大賑わいでした。そんな期待に見事に応えてくれる素敵な仕上がりで、劇場版コナンは数本しか観たことがないですが、中ではピカイチに感じました。
ストーリーは、世界中の防犯カメラの映像を入手できる海洋施設「パシフィック・ブイ」が建設され、そこに世界各国から集められたエンジニアが、対象人物の過去も未来の顔も予測する画期的な「老若認証システム」の本格稼働をめざす中、そのシステムを狙う黒づくめの組織の陰謀の阻止と、システムによって組織の裏切り者・シェリーと特定されて拉致された灰原哀の奪還に挑む、コナンの活躍を描くというもの。
序盤こそ、本作の主な舞台となるパシフィック・ブイと、そこで本格稼働する老若認証システムの説明のために、ややスローテンポで展開します。しかし、組織が灰原に目をつけて動き出してからは、一気に加速し、その後もとにかくテンポがいいです。加えて緊迫感のある展開で目が離せません。映像も劇場版ならではのクオリティで申し分なし。
今回は事件を解明するミステリー要素は控えめですが、黒の組織との一進一退の攻防が熱いです。「こういうのでいいんだよ!」と言いたくなるほど、観たいものを観せてもらえたという満足感が得られます。そこへシェリーと直美の友情をうまく取り込み、なおかつコナンと灰原とのキュン要素も加えて絶妙な塩梅です。なんなら、この二つの要素だけでチョットうるっとしちゃいました。蘭ちゃん推しには悪いですが、このカップルでいいんじゃない?と思えます。いやー、堪能しました。
あえて二言だけ言わせてもらえば、冒頭の老婦人はわかりやすすぎました。ただ、彼女の行動の意味は謎なので、他の方の考察を読んでみたいと思います。もう一つは、ジンが老若認証システムに見切りをつけるのが早すぎると感じました。疑り深いジンが、システムの誤認証の原因を探らなかったり、灰原への疑惑を簡単に捨てたりしたのは、ちょっと違和感を覚えました。まあ、そうしないと今後の展開が苦しいのは理解できますが…。
キャストは、高山みなみさん、林原めぐみさん、山崎和佳奈さん、小山力也さん、古谷徹さん、池田秀一さんら、お馴染みの面々です。今回はゲスト声優に沢村一樹さんを迎えていますが,その必要性はあまり感じませんでした。