「ダールの奇想天外さはもちろん、演技の巧さと演出の確かさが光る」マチルダ・ザ・ミュージカル 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
ダールの奇想天外さはもちろん、演技の巧さと演出の確かさが光る
想像していた以上に楽しくて見応えのある作品だ。監督のマシュー・ウォーチャスといえばRSCの舞台作をはじめミュージカル舞台版「マチルダ」を手掛けたことでも知られ、さらに映画ではこれまた愉快で楽しくて人間の尊厳を称える『パレードへようこそ』で高い評価を受けた人。ロアルド・ダールの奇想天外なこの学園モノを映画化する上で彼以上の適任者は他にいないだろう。世の中や大人たちの意地悪や抑圧に決して屈することのないマチルダの存在感には、ありきたりな子役然とした可愛らしさとは一線を画したスパイスと妙味がある。横暴で身勝手な両親、心優しいミス・ハニー(いつもと違うラシャーナ・リンチの役どころが新鮮!)も素晴らしいが、やはり衝撃なのはエマ・トンプソン演じる校長役。この毒と破壊力あってこそ、マチルダが成し遂げるべき革命が気高く輝く。やや映像的な重厚感に欠ける印象もあるが、それさえ気にしなければ大満足の一作である。
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