「ドラマパートで好みがわかれる」ゴジラ-1.0 西の海へさらりさんの映画レビュー(感想・評価)
ドラマパートで好みがわかれる
ゴジラ・寅さん、正月映画の定番だった。
1970年代生まれの僕には、定番映画で面白かったのはジャッキーチェンぐらいで。
テレビで流れていても、この面白さには気づかなかった。
だいぶ大人になってから、寅さんを観た。
面白い。山田洋二監督の人間描写がとても気持ちいい。
あぁ、映画を観ているという漠然としたものじゃなくて、人を観ているなと。
そんな、人物観察のような映画だと感じた。
ゴジラは結局のところ、何の話なのかいつもわからず
人間の味方?なのかな。その辺がピンとこず、なぜならなぜゴジラが
人間の味方をするのかがチンプンカンプンだからだ。
庵野監督のシン・ゴジラを観て、こういう解釈がおもしろいなぁと
思ったのだ。
で、当映画「ゴジラ-1.0」。
VFX的にはこれはどうやって撮影したのか?と思えるぐらいの
馴染みの良さ。完成度が高い。一方、痛さが伝わってこない。
災害はそういうものなのかと思えば、まぁそうだと思うけど、
なんとも、こざっぱりしている。
人間が災害で不幸に死ぬってのは、もっと重たい感じなのだが
あえてライトに演出しているのか。
神木隆之介と浜辺美波は息がぴったりというか、男女の間がいい。
終始めぞん一刻的な、男女モヤモヤ付き合っちゃえよ!的なエッセンスが
地底に走っている。だから、物語中盤で、「これなぁ~」と萎えたのも
事実。
ラストシーンは何かにつなげる布石のような感じがしたが
物語の継続性を維持するってことは、今回の物語が次回に
ほとんど影響させない「サザエさん」的なのだなぁと思う。
(※サザエさんはどんなキャラクターが登場しても、どんな事件が発生しても
最後にはモトサヤに戻って、何もなかったことになる。+教訓めいたことも
引き継がれない。ある意味、日本が誇るパラレルワールドアニメ)
全体的には満足できる面白さ。物語が直線的で、うがった見方もしないでいいし
こういう映画なら正月映画で父さんに連れられて観るのもありかな、と思ったが
中学生ぐらいまでならピンと来ないかなぁ。
佐々木蔵之介の演技がデカいから、全体的にバタ臭くなってるけど
あの目をかっぴらく感じがいいんじゃない。
ボソボソ話している映画って、伝えることを諦めてるとおもうんだよね。
ああいった演技をすることで、吉岡秀隆のワチャワチャとしたかわいいキャラクター感
もでてくるし。
いい映画です。観て損なんて一つもないと思います。