「脚本×VFX◯=監督△」ゴジラ-1.0 ipxqiさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本×VFX◯=監督△
舞台が初代ゴジラ(1954)より前だから-1.0、かな?
エンドロールにゴジラルームみたいなクレジットがあってびっくり。ちゃんと専任スタッフがいるんだぁ。
うーん。。
山﨑貴のクレジットが監督・脚本・VFXなのが独特。
「いいぞ!」ってところと「あちゃー」ってところが比較的ごたまぜ、霜降り状に画面に出てくるのでなかなか没入しづらかった。
いいと思ったのは撮影。とくにドラマパート。作戦会議の場面とか、昔の東宝オールキャスト映画みたいで雰囲気出てるなーと思った。セリフ回しとかあまり当時の人っぽくはないけど。
海洋パートの比重が大きいのもよく決断したなーと思う。
神木隆之介×浜辺美波は…うーん、演技のディレクションが不充分なように思えた。ここは抑えた方がいいのになーみたいな場面がいくつか。安藤サクラの出番が少ないのが意外。もうちょっと明子ちゃんとのシーンがあってもよいのでは。
まあ何しろ明確にヤバいのは脚本です。全体の流れとか、そもそも終戦直後を舞台にするとかの根本的なアイデアはいいんだけど、細かいシーンの組み立てが拙くて驚愕しちゃった。
まだバリバリのトップシーンなのに主人公が海を見つめて黄昏れるとか…その後のフリとはいえアカンでしょー!
ゴジラの初登場シーンの俊敏さを見て正直、これは解釈違いだなと思ったのでそれ以上とくに言うことはない。
それよりは人間の造形が薄っぺらくてダサいのが目につく。でもところどころ、いいセリフもあったりなんかして、絶妙に惜しい。
ゴジラデザイン同様に、シナリオも監督+フォローできるプロを入れるという手はないものか。これはプロデュースの問題かな。
あとせっかく怪獣vs戦艦とかあるのに決着の流れが超あっさり。どうせやるなら、たっぷりタメを作ればいいのに。
肝心のVFXは、ゴジラの動きとかカメラワークの軽さを除けば特撮っぽさとリアルさのブレンドがいい塩梅だった。
キャスティング(吉岡秀隆の髪型は気になる)や美術など、全体に画面はそんなに悪くないんだけど、せっかくの情緒の流れがイマイチ。
つまり予算とかスケジュールじゃない部分の問題が目立つ。
でも、オスカー取っちゃった監督にそんな文句言える人いないだろうなー。
--------
後日、TV放映のタイミングで映画BLACKHOLE配信を見ていたところ、芯を食ったおたよりが紹介されていたので評価2.5→1.5に。
曰く、この作品は敗戦(ほぼ自滅)で意気消沈していた男たちが、(米軍ではなく)ゴジラというファンタジーな敵を見つけて倒すことで戦意を高揚し、再び勃ち上がる(しかも特攻で)という作品だと。
確かにそれ。それはどうあっても否定できないこの映画の本音の部分だと思う。
それはアカンしダサい…
