「美しいテーマに彩られた作品」ゴジラ-1.0 R41さんの映画レビュー(感想・評価)
美しいテーマに彩られた作品
ゴジラ-1.0 このタイトルに2つの意味を感じることができた。
始まって早々、時代背景は高度成長期に入った日本ではなく、その前に起きた大戦。
主人公敷島が抱える心の葛藤「生きていることはダメなことなのか?」
特攻出撃に機体故障を偽り、小さな島にある整備工場へ逃げ込む。
そこに突如出現したゴジラ。戦闘機の機銃操作もできないほど恐怖に襲われ、立花を除く整備員全員が死亡。
戦争が終わって実家の両親は空襲で死亡。隣の姉さんから生きて戻ってきた「恥さらし」となじられる。
当時の日本社会の常識。
赤ちゃんを託され死んだ母の代わりに身一つで走り回る典子。主人公との出会いと居候。
気の抜けた主人公は典子に出て行けと強くは言えないままで、隣の姉さんからヤジられるが気にかけてもらえる。
アメリカ軍の残した機雷掃除の仕事はいい稼ぎになる。
典子は敷島に「生きて」というが、敷島は食べるためにお金が必要だという。
やがてゴジラの存在をアメリカ軍がキャッチするが、ソ連との関係で日本での戦闘行為を拒否するという設定だ。
これによって日本は軍無しでゴジラと戦う必要になる。
秋津のセリフに監督の日本政府に対して言いたいことが語られる。「緘口令 この国は変わらない」
ゴジラの口に機雷を入れて爆発させてもゴジラは再生するという設定。
九死に一生を得たように高雄が現れるが、主砲を撃っても全く効果がなく、ゴジラの放つ熱光線の恐ろしい破壊力。負傷した敷島が気絶するが、こんな場合絶対気絶した者勝ちだと思った。どうせ死ぬなら気絶しているうちにやってくれ。
余りにもすさまじいゴジラ。二度逃げたという自己憐憫。「俺は本当は生きてちゃいけないんだ」
そんな敷島に典子は「どんなことがあっても死んではいけない」
そして東京に上陸したゴジラ。すさまじい破壊。熱光線は原爆そのものだ。
典子は敷島を庇いゴジラの犠牲になる。
典子は死んだ。大人の嘘。心の芯でわかる事実に、アキコが泣く。
さて、
ゴジラとはいったい何だろうか?
それは、災害と戦争のモチーフではないだろうか?
そしてそれは、「人の過ちの象徴」だ。 「理不尽に何もかもを奪う愚かさ」
野田の出したわだつみ作戦。心に火が付いた敷島。整備士の立花を説得し「震電」の整備を依頼した。
「俺の戦争は終わっていない」という特攻への覚悟。
そしてまた秋津が言う「この国は命を粗末にしてきた」「ゴジラとの決戦は死ぬための闘いじゃない。未来を守るためだ。若者たちの未来を」ここにまた監督の政治に対する思いが込められている。
敷島に抱きしめられたアキコはすべてをわかっている。だから泣くのだ。戦争の悲しみが伝わってくる。
大どんでん返しの伏線「電報」 さすがにわかりますが、そう簡単に理解させないところが面白い。
この作品のテーマは「それでも生きろ」というところでしょうか?
作戦もヤバくなってきたところに、水島らが加勢。ゴジラを引き上げます。しかしまたもや熱光線を準備するゴジラ。
そこに特攻隊敷島号。あの電報が無になってしまうのか?
見事特攻した敷島号は、ゴジラの頭を吹っ飛ばした。そしてまたどんでん返しのパラシュート。
「生きろ」立花が言った言葉に「新しい考え方」が込められている。
これからの時代の新しい選択だ。
ゴジラとは畏敬の神でもある。敬礼する男たち。
そして、
電報が敷島に渡される。
無事だった典子。
「生きている」という喜び。
くだらない古い概念を終わらせることが、この作品が伝えたかったことだろう。
しかしオチがある。
ゴジラの復活。
それはいまだ終わらない戦争。いまだ続く人の過ち。
ゴジラ-1.0のもう一つの意味、それは、
いまだに解消されない「戦争」というマイナス(負)の遺産。
最高に面白い作品だった。
R41さん、共感及びフォロー感謝です😁
マ王もストーリーの面白さに驚いた派です😳
まぁ歴史好きの方々には納得のいかないトコもあるかもですけど、素直に(だって怪獣相手の話だし)鑑賞して楽しめる作品だと感じてます✨
邦画嫌いのマ王が負けた気がした映画でしたし🌀
今後とも宜しくお願いします😆
コメント&フォロー、共感をありがとうございました!
全く同感です、当時のやるせない気持ちやどうにもならない立場が色濃く反映されていて見応えがあり、考えさせられました。
コメントありがとうございました。
映画ってホンッと面白いですよね。その時々の想いで感じ方も変わるように、新たに見直した時に発見がある。
ネットで呟かれる考察や、レビューによる自分とは違う考え方をもって、改めて見直した時に、また新たな発見がありました。
レビューにとても共感しました。日本はいまだにマイナス・1.0だと思います。それどころか、マイナス・2.0かも知れない。「先進国」ととりあえず言われる中で、日本ほど人権と人の命を軽んじる国はないと思います