「戦争を生き抜いた人々の想い。」ゴジラ-1.0 deepbaseさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争を生き抜いた人々の想い。
田舎の映画館なので週末でも普段はほぼ貸切状態なのが、今回は客席が半分ぐらい埋まりました。
これだけで人気の高さが伺い知れます。
そしてエンドロールに入っても誰も席を立とうとしない。これも僕が地元の映画館では初めて見た光景です。
評価に関してのコメントは敢えて控えますが、僕は船長(佐々木蔵之介さん)が決戦時の出航前に放った「みんな次こそ役に立てるかも知れないと思っている」という一言に痺れました。
感涙ポイントが他の人とだいぶ違うかもですが笑
命懸けの戦争を経て、生き残ってしまったという思いが皆少なからずあったのだろうと。戦地に赴いた人間なら尚更のこと。
その、生かされた命をどう使うか?
集結時、ゴジラとの戦いを選ばずに抜けていった人たちの選択もそれはそれで納得。あくまで強制ではなく民間人としての闘いなのだから。
ゴジラに関しては、その原点である純粋な破壊神たる存在に戻ったという印象。
シンゴジラの様に形態進化も然程無く(再登場時には大型化してたかも?)、熱線放射直前に尾ヒレがボコボコ突出し蒼く光る辺りは前作のオマージュともとれるが、存在自体は至ってシンプル。
その出自や体内構造など追求することもないのでゴジラ自身への思い入れや感情移入もなし笑
水爆実験により再び呼び起こされたような描写もありましたが、第1作のように人間の過ちから生み出された怪物という感じもありません。
つまりは本当に純粋で巨大かつ凶悪な人類の敵。
一方、その時の日本はと言えば敗戦を経てようやく復興の音が聞こえ始め、人々もまた生きる希望を持ち始めた矢先のこと。
そんな時にこんなのが襲ってくるんだもの。そりゃ絶望感半端無いわ。
CG、VFXに関して。
海での闘いはリアルが過ぎます。
海中をぬらりと航行するゴジラの質感も見事。
逆に、陸に上がって以降の動き方、歩き方はややぎこちなさも見える気がしました。
が、そこがまた不気味だという意見も笑
終戦直後が舞台だからこそ、キャッチコピーの通り「生きて、抗え」という人々の思いがより強く感じられます。
小難しい描写一切無し。単純明快なゴジラ映画としては勿論のこと、戦争を生き抜いた人々の想いが窺える作品だと思います。