「複数の色の糸が絡み合って、七色の美しい紐になる」ゴジラ-1.0 こーへーくんさんの映画レビュー(感想・評価)
複数の色の糸が絡み合って、七色の美しい紐になる
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驚くほど面白かった。戦後という時代背景設定が、たくさんの人の生き様を際立て、それぞれの視点が美しく描かれて、それらが最終的に一つになる。複数の色の糸が絡み合って、最終的に七色の美しい紐になるかの様だった。
最後のシーンで涙を堪えるのは難しかった。冒頭で主人公が抱え込んだ問いに対して答えが出る。泣くのを堪える一方で、「良かったね」と無意識に私の思いが言葉にでてしまうくらいだった。私はニューヨークの映画館で見たのだが、横に居たネイティブも涙を拭っているのをみて、より涙が出た。
私は決してゴジラファンではない。なので、テーマ曲を聴いたところでなんとも思わないし、思い入れもないので、古臭い曲は無しで!と思っていた。が、間違いだった。映画の後半で初めてあのテーマが流れた時、グッと緊張感が高まって、胸が熱くなった。
そもそもゴジラなんて言葉も通じないし、正義とかの概念すらない怪獣を題材に今更どんなお話を作るのよって感じで、懐疑的だった。ここは庵野さんのシン・ゴジが開拓してくれた(もしかしてオリジナルから?)流れなのかもしれないが、天災を通して日本がより強くなるというメッセージがすごく感じられた。特に今回は政府の力を借りずに民間で戦うという、ある種今の日本国民へのメッセージなのかとも思えた。
2023年の中で間違いなくトップ映画でした。
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