「時代設定の勝利」ゴジラ-1.0 naichinさんの映画レビュー(感想・評価)
時代設定の勝利
僕は「シン・ゴジラ」が大好きで、これに続くゴジラが作れるの?と思っていました。そして、僕の中で是と否が大きい山崎監督の元で作られるとなって、非常に微妙な思いでした。
しかし、結果、それを凌いだ作品が生まれていました。思えば山崎監督、元々CGクリエイターなんだから、映像的には、超えれる確信があってのスタートだったんでしょうね。
そして、設定を聞いた時、やられた!と思いました。そんな手があったなんて。「シン・ゴジラ」では震災をメタファーとして、国民皆が共通して感じる事が出来る恐怖の象徴としてのゴジラだったから、これを超える設定なんて、取り敢えず現代には無いと思っていた。しかし、それへのカウンターとして、1作目の昭和29年よりも以前のゴジラを描くというトリッキー!これが上手!
ゴジラ映画は、vsモノで無い限り、設定で半分成功が決まる。この時点で、もう、ほぼ成功なんだ!もう、僕の中での興味が尽きない!
そして、成功が決まったもう一つの条件。ゴジラとどう戦うか?今回、どうやって戦後すぐの日本が戦うのか?楽しみにしてた。勿論、「オキシジェン・デストロイヤー」や「スーパーX」、ましてや「メカゴジラ」なんて超科学はいまさら使えない。何もない時代に切磋琢磨して得られた唯一の作戦。それに賭けるしかない人々。
期待を優に超えてくる出来だった!
ツッコミ所もあるにはあるけど、まぁ、そんな事は気にはならない。
劇場鑑賞するしか無い作品に仕上がってました!
しかし、ここで問題なのは、やはり、ゴジラという存在。「シン・ゴジラ」では震災をメタファーとして、1作目の「ゴジラ」では戦争をメタファーとしていたゴジラ。だからこそ時代の恐怖(リアル)を得られた。しかし今回はなんのメタファーにもなっていない、破壊の化身としてのゴジラ。勿論、それがプラスに働いている面もある事をわかりながらも、マイナスにもなっていると言わざるを得ない部分です。ゴジラの存在自体は、ホラーに近い「不条理な暴力」になっていたとも言える。存在としては、貞子や伽椰子に近く感じた。
それにしても、またゴジラ映画のハードルが上がったなぁ。
そして、今回、海外受けするんだろうなぁ。
はじめまして
みかずきです
私も、シンゴジラを越える作品は出ないだろうと思っていましたが、
本作で出でしまいました。
仰る様に、時代設定を終焉直後にしたことが、勝因だと思います。
戦争に敗れて疲弊している人々の前に新たなる脅威ゴジラが出現する。
二重苦と言える状況で、使用する武器もほとんどないなくても、それでもなお、日本の未來を切り拓くためにゴジラに挑んでいく人々の姿は感動的で、生きる勇気を貰えました。
続編がありそうなラストでしたが、続編は本作を越えられるのか楽しみです。
ー以上ー