「生き残ることへの強烈なメッセージ」ゴジラ-1.0 ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
生き残ることへの強烈なメッセージ
全然心に刺さらなかった、『シン・コジラ』との決定的な違いはなんだろう。
ゴジラ退治の主導が、政府の安保組織と民間の草の根組織の違いか。
現代の超デジタルの世界と終戦間もない超アナログの世界の違いか。
庵野監督と山崎監督の感性の違いか。
一番は、生き残ることへの強烈なメッセージではないだろうか。
ゴジラ作品では初めての死に対する絶対否定と生への飽くなき肯定。
ゴジラを倒す思いが、鬼気迫るゼロ戦飛行士(神木隆之介)と彼の周囲の人間の、誰一人死なせないという執念に乗り移る。
ゼロ戦に脱出装置がなぜなかったのかという問いが、反戦への思いへとかきたてられる。
それは、『永遠のゼロ』から脈々と続く、山崎監督の思いなのかもしれない。
VFXの極致ともいえる瓦礫の東京風景は、同監督の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の郷愁を彷彿とさせぐっとくる。
死に損なって生き恥をさらすのではない。死んだ人の無念を晴らすために生き残るのだ。
システマチックな『シン・コジラ』ではついぞ感じられなかった、人間の根源に潜む魂の大きなうねり。
そのうねりが、エンドロールのゴジラのテーマで響きに変貌し、心の中で振動してやまない。
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