「スクエニは新たな道を見出した!?」ゴジラ-1.0 tkさんの映画レビュー(感想・評価)
スクエニは新たな道を見出した!?
良かった
楽しめた
日本のゴジラはシン・ゴジラと本作しか観ていません。
(もしかしたら幼少の時に何かしらの日本ゴジラ作品を観ているかもですが記憶にないので割愛)
ハリウッド版はマグロ好きなやつも含め一通り観ています。
ゴジラそのものに特別な思い入れはなく、またゴジラへの原理主義的な思考や想いはないです。それを持つほどゴジラ作品を観ていません。
これを前提にしていることご容赦ください・・・。
・良かった点
多くの方が挙げていますがVFXやCGは素晴らしかったです。
もちろんハリウッドに比較したらまだまだですが日本映画の中では断トツのクオリティです。
日本映画業界の映像技術は1993年(つまり30年前・・・!)公開のジュラシック・パークにさえまだ追いついていないという認識だったのですが、この私の中の認識を改めました。
そのジュラシック・パークやT2などの映像技術革新と共に映画ファンになったこともあり、ついに日本映画でもこのクオリティの映像が作れるようになったのか・・・と変な感慨と共にエンドロールを眺めていたところその中にスクウェア・エニックスの名前が。
帰宅後、ネットで調べてもそれらしい情報は出てこないのであくまで憶測に過ぎないのですが、スクエニがゲーム業界で蓄積してきた映像技術の部分で協力したのではないかと。
例えば巨大なものをより巨大に見せるテクニック、モーションキャプチャー、水・爆発などのエフェクトなどなど。こういったところでファイナルファンタジーという超有名ファンタジー作品をゲーム業界で作り上げてきたスクエニは多くの知見を蓄積していると想像。
本作の監督さんは過去にもスクエニと協力して映画を作り興行・評価共に散々な結果になっていたものの今作では面目躍如といったところでは。
またジュラシック・パークの話になってしまうが、それ以前の技術はストップモーションが一般でその世界の第一人者であったフィル・ティペットは、ジュラシック・パークの製作時にフルCGのテストフィルムを観て「これで我々は絶滅だ。」と漏らしたとか。
しかしそれでスピルバーグやフィル・ティペットはストップモーションの技術を綺麗さっぱり捨て去ったというわけではなくフルCGにおける恐竜の動き方などにこれまで蓄積してきたストップモーションのナレッジを最大限活かしたという話。
その結果、同年ストップモーションの最先端技術で作られたティム・バートンのナイトメアー・ビフォア・クリスマスを抑えジュラシック・パークがアカデミー賞で視覚効果賞の受賞に至った。
新しいものへのチャレンジ、温故知新、技術の枠を超えた協力、こういったものが伺えるエピソードです。
今作ではスクウェア・エニックスというゲーム業界での映像技術の先駆者が、映像技術で後塵を拝している日本映画業界に協力。と想像。笑
スクウェア・エニックス(正確にはスクウェア)は映画製作で過去に史上稀にみる大失敗もしていてこれさえも良いナレッジにして活かした。と想像。笑
想像通りであるなら、日本においても業界や技術ジェネレーションの枠を超えた協業・協力がこのような良い形で結果に繋がっていることが何より嬉しい。
もう少し具体的なところを。
トレーラーにも含まれているのでネタバレにはならないと思うが戦艦が空を舞ってビルに衝突するシーンには良い意味で( ゚д゚)であった。
あり得ないものがあり得ない事になっている状況に映画内登場人物たちと一緒に( ゚д゚)ポカーンであった。
こちらもトレーラーにわずかに含まれているが巨大なゴジラが泳いで船を追ってくるシーンは「どうあがいても敵わない、範馬勇次郎だって敵わない(いや敵うのか!?)、とてつもない巨大な生物に追いかけられる恐怖」を恐らく怪獣映画の中で最も感じることができた。
たかが映像、されど映像。
ストーリー、演技、音楽と同じように映像も映画を構成する大切なパーツ。
今作はゴジラをより迫力あり、より現実味あり、そしてより外連味たっぷりに描くことに映像技術的に成功していて、なのでこれまでの日本の怪獣映画を大きく超えた作品になっています。
・より良いものを期待したくなった点
市井の人々が一致団結しあるシチュエーション・状況を達成する際のカタルシス。
ここをもう少し期待したかったです。
ここの描き方は庵野秀明監督にやはり軍配が上がります・・・!
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序のヤシマ作戦、シン・ゴジラのヤシオリ作戦。
その作戦に携わる末端から上まで細かなオペレーション・作業・進行の細々を丁寧にスピーディーにかつ端的に見せ、この作戦に携わる人々のすべてに重要性や価値の大小はなく一人でも欠けたら一人でも手を抜いたらその作戦の成功はあり得ない、つまりは終わりが待っている。
だからこそそのシーンの緊張感は高まりそしてその作戦の成功でカタルシスが大爆発する。
今作でも類似の作戦が登場します。
脳裏でヤシマ作戦の音楽が流れてましたからね笑
あー、庵野秀明監督だったらこうやって盛り上げていただろうなぁ!と脳内補完しながら観ていましたからね笑
でもそれをやってしまったら庵野秀明監督の作品になってしまうのでしょうね。
きっとこれは望みすぎだし期待値の方向が適切ではないのかもしれません。
それでも今作で市井の人々が一致団結しあるシチュエーション・状況を達成する際のカタルシスがより効果的に描かれていたら大傑作になっていたのでは・・・という思いを持たずにいられません。
総合して怪獣映画・パニック映画として十分に楽しめた作品でした。