「ちょっと卑怯かつ、珍しく真面目なレビュー。本当にシビれました!」ゴジラ-1.0 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと卑怯かつ、珍しく真面目なレビュー。本当にシビれました!
今回ちょっと卑怯なレビューの書き方になるんですよね。
公開初日に観に行く予定だったのですが、都合で三日遅れの鑑賞になってしまいました。
「一体、どーゆー作品なのかな?」と純粋な期待と興味がありまして。
皆さまの評価を先に伺いに行きました。それを踏まえてのレビューになります。
概ね高評価だったので、これは安心して観に行けるかなと、ひとまずは安堵しました。
とは言え、プラス1500円のIMAXで観るべきなのかは迷いました。
なので、まずはDolby Atmosでの鑑賞を選びました。
お客さんの入りは上々で、珍しく劇場のシート半分が埋まっていました。
結論。
「もう一回IMAXで観たい!てか、観に行くべき!」でした!シビれました!見事に胸に刺さりました!
間違いなく今年一番の秀作でした!
意地悪にVFXパートのアラを探しながら観ていたのですが、本当にリアルに違和感なく目に入って胸に刺さってきたんですよね。
正しく、効果的な特撮の使い方だと思いました。
初っ端の、主人公・敷島が駆るゼロ戦の帰投シーンから、特殊撮影への期待がるみる膨らみました。
白組いつもながらすげぇ!
観に行く前は、戦後間もなく解体された軍の兵員、兵器をどう扱って、どう立ち向かうのかな?とか、米軍がどう絡んでくるのかな?とか。トンチンカンなことを考えていました。
コテンパンにやられた軍が機能するはずもないのは自明の理。
ならば、大変悔しいのですが、米軍の介入は?となりまして。
そして、米軍が協力できない旨の設定も、何となくなく飲み込めました。
そこで民間のパンピー有志を募って戦うことを決めたくだりは、かの名作『インデペンデンスディ』以来に見た胸熱設定でしたので、非常に燃えたし、シビれたんですよね。
率いるは、純く…じゃなくて我らが吉岡秀隆演ずる・野田だったわけですよ。
吉岡さん、ファンなんですよ。佐々木蔵之介さんも。
豪華キャストの演技を見るだけでも、十分に価値のある作品だと思いました。
勿論、主役の神木龍之介のキャスティングはドンピシャだと思いました。死んでしまうことを純粋に怖いと思い、生に執着して死に損なった過去。そこからの死(ゴジラ)と向き合った苦悩を見事に演じきっていらっしゃると思いました。
浜辺美波は、まだあどけなさの残るヒロインとしてビジュアルが映えていると感じました。萌え~♪
安藤サクラも、一見意地悪そうなのに、人の好いおばさん役を好演でした。ちなみに安藤さん、今年だけで何本目?と思い、いつもながらwiki先生にぷち師事しました。
すると6月初っ端の『怪物』から約半年間、本作までの5作品連続でご出演じゃないですか。要するに1ヵ月ごとに1本の新作にご出演。レプリカントがいらしゃるのかな?と思うほど八面六臂の大活躍。『BAD LANDS』では主演を務められたのですよね。全てが未見です。←破蛇をつつきましたよっと。
(全く存じ上げなかったのですが、お父様があの奥田英二で、旦那様が柄本佑だったのですね。義父は柄本明だし。びっくりだ!)
ほんのワンカットのために橋爪功を起用でしたし。(ネット調べもしてみたのですが、合っていますよね?)勿体なっ!作戦に絡んでくる旧軍部の頭固いお偉いさんor老獪な財閥の長あたりのキャスティングでもよかったんじゃね?←また出ましたー…いつもの悪い癖の自分的if設定が(笑)
『シン・ゴジラ』での矢口のヤシオリ作戦の時以上に、野田のワダツミ作戦開始の演説がこれまたシビれたんですね。
あれを見るためにも、もう一度劇場に足を運ぶ価値があると思うほどの名シーンでした。
演説系(笑)シーンの中でも白眉と言っていいと思うほど感動しました。
茶…もとい!吉岡さん、しょぼくれた見た目と相反してかっちょよかったんですよ。
どーしても茶川さんを重ねてしまうのですが(笑)
作戦が絶対に失敗するとわかってても、見ごたえ十分の決戦シーンだったです。
その作戦自体が、今までのゴジラ作品の中でも、ひときわリアリティある考証だったので、そこにもシビれました。
あと、何にシビれたかというと、あまり詳しくないジャンルなので、語ると簡単に落ちると思うのですが、最後の切り札が“震電”だったところに「ヒャッホー!╰(*´︶`*)╯」しました。
先の大戦での不運な未完の名機だったわけですよね。ド素人ながらも、それくらいは知ってるもん!
それを民間側の最終兵器として見せ場を盛り上げてくれたのは、大変よかったです。震電飛び交うVFXやっぱり凄かったし。
いずれも特殊な物を何一つ使っていなかったんですよね。現状ある物使って、あとは知恵と勇気だけが武器ってかっちょいいじゃないですか。燃える展開じゃないですか。
実は最後の最後で敷島が脱出したくだりは、なんとなく読めていたんですよね。
橘が整備中の震電のシート後方に赤い“横文字”のマーキングがあったんですよ。
あれ、きっと米軍からパクったか、模倣した脱出装備に違いないと思ったんですよ。横文字だったし。
珍しく細かいところまで見ていたです。はい。
「戦時中、戦闘機に脱出装置すら装備させなかった」云々の語りがあったじゃないですか。
そのことへのアンチテーゼ&ハッピーエンドへの布石だと思って。
本作のゴジラ、明らかに人間を目標にして襲ってきてたんですよね。殺る気満々だったじゃないですか。
あれは本当に怖かったです。
ゴジラの描写で斬新だったのは、尻尾から背中にかけて、うにょん!うにょん!と青く光る鰭が生えてくるシーン。あれ、とても綺麗でしたし「一体何が起るねんな!」と、怖かったです。傷ついた部分の再生シーンも、とても不気味でした。
そして音楽の使われ方が非常に秀逸だと感じました。ゴジラのテーマが、とてもドンピシャと効果的に使われていたと思って。ゴジラの登場と相まって、絶望感に満ちて本当に怖かったです。
メインテーマとして、エンドロールで使う資格は十分以上にあった作品でした。
そうそう、本作はわけわからんテーマソングは無かったんですよ。
あれ、殆どの作品でそう思うけれど。いらんのよね。邪魔。
作品の世界観に全くそぐわない時は、マジ勘弁って思いますもん。余韻台無しですわ。
エンドロールと言えば、本作、監督名が画面中央でストップしたんですよね。
アレって、どうしようもない“駄作あるある”じゃないですか(笑)
本作は違いましたね。山崎監督、本当に素晴らしく凄かったです。心の中で思い切り“サイレントオベーション”しましたからね。スタンディングはちょっと恥ずかしかったの。ごめんなさい。
本作を語る上でどうしても触れなければならないのは『シン・ゴジラ』との比較なんですよね。
庵野さんには大変申し訳ないのですが、本作を観た後でのシンは、“ヲタク”向けゴジラと思えるようになりました。
あくまでも、コアなマニアに向けて発信されたみたいな。
どうも広く一般に受け入れられないように思えてきて。観た当時は大変素晴らしい名作だと思ったのですが。←貶めてるわけじゃないですよ!
対して本作です。こちらはヒューマンドラマパートが、幾層にも丁寧に描かれていたので、ゴジラ抜きにしても、見ごたえがありました。
別にゴジラが主役じゃなくてもいいんじゃね?と乱暴に断じていいほどに。その分、間口が広いと思い。
大人が観ても子供に観せても楽しめる、そんな作品に思えました。
敷島と典子・明子、さらには、近所のおばさんの関係の距離感が絶妙だったんですよね。『三丁目の夕日、時々ゴジラ』みたいな。
お互いに全く赤の他人の四人を軸に織りなされた愛情ドラマとして、かなり泣かせに来ていましたから。そこへ蔵之介さん、吉岡さん、山田さんたちが食卓を囲むシーンなんて、本当に胸ほっこりしました。「えっ?これってゴジラ映画ですよね?」ってオツムの中で再確認しましたもん。
そういう意味では、本作、ハッピーエンドでいいんですよね?
最後のカットでゴジラの復活を匂わせるような描写がありましたけれど、あれって「次作は後進にバトン渡しますよ」って解釈でいいんですよね?
とりあえず本作はハッピーエンドで完結してるって認識でいいんですよね?うん。
ただね、「ちょっとなぁ…」と思ったことも少々あって。
もう一方の主役のゴジラの造形問題。これ、他のレビュワーさんもご指摘のように、最後まで違和感が拭えなかったです。
腕長すぎじゃね?胸板の筋肉も厚すぎじゃね?ササミの喰い過ぎじゃね?
あとね、せっかくの浜辺美波が演ずる典子が一旦途中退場しちゃうじゃないですか。もう少しお話に花を添えてあげてもよかったように思いました。白状すると、美波さんをもっと見たかったんです。
(///ω///)
まぁ、あそこは敷島が死を賭してでも、国の危機、そして典子から託された明子を救いたいと思うようになったプロットとして、重要な位置づけだったんだろうけれど。
ちなみに、珍しく映画観る前に購入したパンフレットが1100円。やや高価でしたが、それに見合う価値が十分にあって、大変読み応えがありました。
そして、グッズ売り場がマジ大変なことになっていたんですよね。定番のポストカードやクリアフォルダから始まって、Tシャツ、パーカーまで50種類以上ほどもあります。その上過去作品の書籍まで置かれていたので、マジお腹いっぱい。グッズ眺めているだけでも楽しかったです。マニアさん、財布の事情が破綻しそう。
私が欲しいと思ったのは1980円のメガネケースでした。財布の事情で買えなかったのですが。続けてIMAXでの鑑賞をソッコーで決めたもので。