「CGはすごい」ゴジラ-1.0 山田Cさんの映画レビュー(感想・評価)
CGはすごい
ゴジラのCGはリアルで迫力がある。戦後や復興中の東京の街もそれっぽく、現実のように錯覚する。
細かいセリフは話半分で聞いて、あとはアクションだけ見るスタイルなら楽しめるかもしれない。
脚本はちょっとひどい。昭和の男が描いた、昭和の男のファンタジーか。彼女や子供があんなに言われて、耐えられる?耐えるしかないのか。見ててしんどすぎる。
主人公の戦う理由が、過去に逃げた自分が納得いかないだけで、誰かのために戦うわけではない。その上、いちいちこの国は〜とか戦争が〜とかゴジラが〜とか、巻き込まれた環境に対する不満を募らせてばかりでかっこ悪いし、台詞の端々から戦争とか以前の主人公のキャラクター生来の卑屈さのようなものも感じる。(序盤の東京へ帰ってからのシーンとか、元工兵の方の住所を調べるシーンなど。)そんなヘタレ主人公だけど最後ゴジラ倒したから認めてくれーママーのようなキモさがある。
主人公の彼女や子供への気持ちが台詞と行動で合ってなくムッツリしている。それがラストでは成長したという物語と受け取った。がしかし、成長の過程らしきものは仲間に叱られて終わるシーンくらいしかなく、彼女との別れシーン後でもまた自分の戦いに回帰してしまって、結局戦いの理由に彼女が入ってないのかと思わされラスト直前までずーっとモヤモヤさせられ、ラストでやっぱり実は入ってましたー、みたいなの、ズッコケるし、そういうの要らないし、鑑賞後のスッキリ感がない。ただ疲れた。
彼女や子供が大切になるまでの出来事や経緯がもう少し踏み込んで描写されてたら分かりやすかった。
主人公に魅力がないと感じたのは他にも、彼女となぜ結婚しなかった、と問われた時、結婚して(させて?)やりたかったと答えたが、それだと主人公の結婚の意思が弱かったことになる。えー。ガチョーン。自分からは動かず環境に巻き込まれては文句を言う体質がここまでとは。
彼女と再会した時、なぜ子供は主人公の顔を見て、黙ってたのか?ひどいこと言われすぎて常に主人公の顔色を窺うようになってしまった?
最後の作戦、かなり杜撰な計画ですね。しかもあんな身勝手な生き様をしてきた主人公に航空支援の操縦を頼るしかないとは、本当に人手不足ということ…?
最初から最後まで、筋書きありきのご都合主義の台本やセリフに現実感がなく寒かった。(CGやVFXは良かった。)
特に序盤の船に乗るまでは、どこかで聞いたようなセリフをただ組み合わせて作った会話が多用されているように感じた。キャラクターに一貫性が感じられず、キャラクターを考えずにセリフの切り貼りで作ったシーンのような印象を受けた。
色々述べたけどただの素人評価です。偶然読んだ関係者の方は気にせず頑張ってください。