ティルのレビュー・感想・評価
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エメット・ティル反リンチ法が成立したのは事件の67年後というのに驚き
この映画で取り扱われている事件が起きたのは1955年。実話です。
事件を映画的な見せ方をしているとは思うものの、
事件の悲惨さは十二分に伝わってきましたし、
当時のミシシッピ州における人種差別の酷さも、まざまざと見せつけられました。
子を亡くした母である、本作の主人公を演じたダニエル・デッドワイラーの
熱演には胸が熱くなりましたし、その後の活動にも不屈の精神を感じ胸を打たれました。
それにしても、この事件が起きてから反リンチ法が成立するまでに67年を要していることが
人種差別問題の根深さを感じますし、
ここ数年で「多様性」が映画でもよく扱われるようになりましたが、
そうそう簡単に解決する問題ではないなと率直に思いました。
なぜ、解決しないのか、、、は、昨年公開の邦画『月』が核心をついていると思います。
人間の本音と建前の自問自答を迫られる作品ですが、
人間の先入観(育った環境や教育も大いに関係していると思います)は、
そう簡単に払拭されるものではないと、あらためて気づかされ、考えさせられました。
本作もそこに思い至った次第です。
胸が張り裂ける思い
話の概要は知った上で鑑賞したのですが、やはり母親役のダニエル・デッドワイラーの迫真の演技で苦しみが痛いほど伝わり涙が溢れました。
1950〜70年代頃のアメリカの音楽や文化にとても興味がありいろいろ勉強中ですが
この時代はこのようなことが(もっと酷いことも)日常的に起こっていたと知り胸が痛みます。
唯一の希望は息子の死を無駄にしまいと立ち上がる母の姿。
いつの時代も母は強し。。。
そして最後はなぜかファンタジー。。。
未(イマダ)だに(日本人?)私は白人と黒人の差別は浅はかだった…。
もしかしたら今更の事なのかもしれない…。
実は凄〜く&滅茶苦茶深刻な問題なのに、
日本人と言うか,私自身が未(イマダ)だに黒人と白人の差別問題の重大さを全く理解していない事に気付かされた。
この作品の事件は非常に有名な話のようで、改めて調べ直し,私自身の無知さを思い知らされた。
1955年アフリカ系アメリカ人の少年は親類を訪(タズ)ねた時に,夫と営んでいた食料品店の女性に口笛を吹いた事で、白人女性といちゃついてたと(勝手に真実とは裏腹に)され,その女性の夫と腹違いの兄の2人で暴行の上で殺害された。
その母親は、息子の酷(ヒド)い仕打ちを世間に棺(ヒツギ)の中で顔が見える状態で公表し,人種差別による“リンチ”された事を訴(ウッタ)えた真実の話で熱くなっちゃった!
映画が良い!とかでは無いと思う。
そう云(イ)う黒人と白人の差別に寄る現実問題を,ちゃんと理解しとかんといかん!なんて事を訴えた作品に思えた。
本来,(私は知らな過ぎた)この事は知ってて常識の範囲という事になるんだろうかなぁ〜?!
フラストレーションがたまりっぱなし
2023年劇場鑑賞307本目。
こう言っちゃだめなんでしょうけど、よくある黒人が白人に不当な扱いを受けるもの。大事な問題なのはわかるのですが、正直新しい発見はないかなぁ。
今作は特にはっきり犯人が分かっている中のあの展開で、エンドロール前のその後の情報も腹立つ事ばかりで嫌な気持ちになるだけの映画でした。主人公のお母さんもこういう映画にありがちな最初は躊躇うけど勇気を出して立ち向かう、とかいうことなく序盤からガンガン行動していくのでそれもあっさり感じてしまった原因でしょうか。
母の気持ちが痛いほど表現されていた。裕福な階層の子どもの事故のよう...
母の気持ちが痛いほど表現されていた。裕福な階層の子どもの事故のような案件。冒頭は母の不安満開。胸騒ぎというもの。法廷のヘイトは胸をえぐられる。
終わっていない合衆国の南北問題は、終わらない。
心配性な母親メイミー・ティルの迫真の演技と、
陽気で無邪気な14歳の息子エメットの相関が問題点の落差を予感させながらこの事件の問題の深さを浮き出させている。
つまり南北戦争は、
1861年4月12日から1865年4月9日にかけて、
北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦であり、
奴隷制存続を主張するミシシッピ州やフロリダ州など南部11州が合衆国を脱退してアメリカ連合国を結成し、
合衆国にとどまったその他の北部23州との間で戦争となった。
そして「エメット・ティル反リンチ法」と名付けられた事件の結末は、
2022年、
バイデン米大統領は3月29日、人種差別によるリンチを連邦法で憎悪犯罪と定める法案に署名し、成立させた。
被害者の死亡や重傷に至る憎悪犯罪をリンチ罪で起訴することが可能になった。
バイデン氏は「人種的憎悪は過去の問題ではない。現在も続いている」と強調した。
それはそうだ、
合衆国が加担しているウクライナ戦争もイスラエル問題も同じ病巣なのだから。
(^◇^)
ティル
1950年代アメリカで、
アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなった
実在の事件「エメット・ティル殺害事件」を劇映画化。
1955年、イリノイ州シカゴ。
夫を戦争で亡くしたメイミー・ティルは、
空軍で唯一の黒人女性職員として働きながら、
14歳の息子エメットと平穏に暮らしていた。
ある日、エメットは初めて生まれ故郷を離れ、
ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れる。
しかし彼は飲食雑貨店で白人女性キャロリンに向けて口笛を吹いたことで白人の怒りを買い、
8月28日、白人集団に拉致されて凄惨なリンチの末に殺されてしまう。
息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世間に知らしめるべく、
ある大胆な行動を起こす。
「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野」のダニエル・デッドワイラーが主人公メイミーを熱演し、
ゴッサム・インディペンデント映画賞など数々の女優賞を受賞。
名優ウーピー・ゴールドバーグが共演し、製作にも名を連ねる。
( ◠‿◠ )
23-150
親の心、子知らず。
どんなに親が心を伝えようとしても、
思春期の子供の心には届かない。
悪い予感は当たる。
母の悲しみ、
母の怒り、
母の我が子を思う心は、
人々を、社会を動かす。
やはり母の力は偉大🤱
正義と自由とは…
1955年、黒人差別が特に酷いアメリカ南部地域にて、親戚宅に出かけた14歳の少年が理不尽に殺害されてしまい、苦難と逆境に立たされつつも闘う母親の物語。
14歳のティルは、南部地域での差別事情を解っておらず、白人女性に冷やかしの口笛を吹いてしまい…。
それにしても哀しい現実ですね。
只でさえ、一人息子が亡くなり哀しみの底にいるというのに…。
それでも、この現実を伝えるために立ち上がることを選んだ母親。にもかかわらず彼女に向けられる言葉や目線。絶望が二重にも三重にものしかかってくる展開は見ていて辛い。
被害者でありながら、正義を貫きに行くのにも危険がともなうなんて。おばあちゃんの気持ちもわかりますよね。
法定もまた…。思わずハァ?と声が出てしまいそうになるほど、加害者が守られる空気には怒りがこみ上げる。そしてこの猿芝居。あんたも人の親だろ…。
この時代程でないにせよ、未だに問題は残っているし、自由や正義を声高に叫ぶ国ならば、本当の正義を国全体で貫き通して欲しい、そう願わずにいられない作品だった。
Black Lives Matter
観ている最中も、後味も悪い映画だったが、現在も、その事実からは目を背けられない。日本人だって、多かれ少なかれ、差別を受けている。いつになったら、差別の無い日がくるのだろう。
自分には少しドラマチック過ぎたかな
1955年、シカゴに住む黒人の少年が親戚のいるミシシッピに滞在することに。白人の女性にかけた何気ない言葉が事件につながった。
南部では白人による黒人のリンチ、殺害がまかり通っていた時代。起訴されることはまれで、たとえ裁判にこじつけても陪審員は全て白人だった。
実在の事件「エメット・ティル殺害事件」の映画化とのこと。
この作品にあるような惨殺は日常茶飯事だったろうが、期せずしてアフリカ系アメリカ人の公民権運動と呼応し、運動を大きく前進させるきっかけとなった。
母親を演じたダニエル・デッドワイラーの熱演が光る。ただし自分の好みからすると全体的にドラマチック過ぎたかな。
大好きでもあるけど大嫌いな1950年代。
アメリカングラフィティなどで描かれた、華やかな1950年代アメリカが大好きで、白人文化に影響を受けてきたけど、大嫌いな面もあるのです。それは白人による黒人の人権分離が合法だった最悪の時代だから。1964年公民権法制定までの間、とてつもない迫害を受けてきた黒人たちのことは、グリーンブックなどさまざまな映画でも描かれてきました。
1955年、白人女性に口笛を吹いただけで拉致され、リンチ殺人をうけた黒人少年。エメット・ティル殺害事件が映画化されたと聞いて、かなり観るのに躊躇ったけど、うん観て良かったです。
無惨な息子の姿をあえて葬儀で公開することで、世間の注目を集める母親。公民権運動への強い原動力になりました。差別主義者の保安官に、全員白人陪審員だった絶望感など、理不尽のオンパレード。実話の強さを改めて感じます。
「天使にラブソングを」の名優ウーピー・ゴールドバーグが、企画プロデューサー兼、ヒロインの母親役です。すっかり太ってしまったけど、確かな演技はさすが。母親のメイミーを演じるダニエル・デッドワイラーの熱演は、数々の映画賞で主演女優賞を受賞。しかし2022年のオスカーはノミネートすら無しで残念。
保守とリベラルの政権が交差するアメリカでは、未だに警察官のリンチ事件などが後をたたない。そんな中、昨年やっと白人から黒人へのリンチを厳罰にする「エメット・ティル・リンチ防止法」が成立したらしい。少年が亡くなってから実に67年後なんて、僕たちには理解できるわけもない根深さを感じます。この作品は、観ておかなければいけない一本だと思います🤔
全てにおいて憧れられる国に!
この様な差別、迫害的な実話作品は残念ながら多々ありますがこの事件から70年…
なのに今でも解消されない現状…
スポーツやエンタメの世界に憧れアメリカへ!
世界へ!と夢を抱く若人達にこそアメリカの
未来の為に過去から蔓延る陰や悪を学ぶ重要さを伝えるべき作品だと思います
この先、哀しき現状が起こらない
本当の意味で世界中の人たちから憧れられる国になる事を願います
殺された息子の母親役ダニエル・デッドワイラー…彼女の怒りと哀しみ、気高く社会と闘う姿リアル過ぎる圧巻の演技に更に胸が痛くなりました…
加害者の妻役のヘイリー・ベネット
憎らしさが止まらないほど不快にさせてくれる
ベイビー・フェイスなシレッとした演技も中々の物でした
孫を南部に行かせてしまった事を後悔する
祖母を演じたウーピー・ゴールドバーグ
制作にも携わった彼女の強い想いと意義を
知る為にも、何かと忙しないこの時期にこそ
劇場で向き合って観ていただきたい貴重な作品です!
差別について
主人公メイミーの装いが非常にセンスが良く上質で、空軍ってこの時代の黒人女性でもそんなに給料が高いのか?と気になった。
公民権運動の前の時代の実際の黒人差別事件を真正面から描いていて、日本に住む日本人にはそれ以上のものはあまり感じられないと思うのだが、差別については考えた。
今の日本に差別は少ないというのは表面的な見方で実際には差別と戦ったり苦しんだりしている人は多いのだと思うが、それでも昔よりは減ってきている。女性差別なんかは分かりやすく、昔はある程度は許容されていたことが、今は許されなくなっている。教育というのが如何に大事か、どうすれば上手く行くのか、と考えさせられた。
思ったことをつらつらと
同じ黒人映画のグリーンブックが牧歌的に思えるぐらい当時の黒人差別の酷さ、命の軽さを見た。
事前学習ゼロで見に行ったらフィクションだった。。
「些細な理由で殺される」ことの理不尽さや抗うと全てを敵にまわすことになる
コミュニティで生きることの生きにくさ。
誰かを守るということは自分や自分の家族にも危害が及ぶ。
しかも危害を及ぼす相手が当事者ではなく社会の全てとなれば差別があることを
受け入れてそれでいていかに摩擦を起こさないように穏やかに暮らす(暮らそう)
って間違っている。
戦死するときはアメリカ国民なのにアメリカ国内じゃ黒人なんだよなっていうのは
やっぱり間違っている。
公判も公判内容以前に入廷するとこからすでに差別的であるけど
人は信じたいものを真実であると信じる
あるいは偽りであるとわかっていても信じている(誘導する)
いけしゃあしゃあとよくも嘘とつけるものだと。
50年代の内装や建物や車や服装など生活様式がクラシカルだけどかっこいい
論評など、できない。
人間には皆、自己防衛本能の裏返しとして、他者への憎悪の種があるのだと、改めて思わされた。それをコントロールできる人とできない人がいる。もちろん自分にもその種はある。
どんなに文明が進化しても争いや戦争はなくなっていない。それでも1ミリずつ融和に向かってゆこうとするのが人の歴史なのでは。
2時間以上、一瞬、誰とも集中が解けない濃密な作品でした
他の黒人差別や法廷問題についての作品との違い
本作では、当時の南部の黒人たちが北部とは酷い待遇格差の下に置かれていたことを伝えてくれるものでもある。そうした黒人待遇の南北格差を描いた作品としては、『それでも夜は明ける』『グリーンブック』が思い浮かぶ。
法廷を白人が圧倒的に支配している条件のなかで、弁護士が黒人の名誉のために奮闘した過程を描いた作品としては、『アラバマ物語』『黒い司法』がある。
そのような小さな成功に留まらず、人種差別に基づくリンチを憎悪犯罪とするための連邦法が成立するまでに長い年月を要し、典型的な犠牲となった67年前の少年の名前を冠していることを記念して、その事件をわかり易く伝えてくれる作品だということはできるであろう。
85点ぐらい。観るべき。
事実に基づく映画です。
白人女性に口笛を吹いただけで、黒人少年の身に何が起きたのか…
この映画の基になった出来事を知らない方は、
そのまま、調べないまま、あらすじ読まずに観ても、いいかもですね…
見応えタップリ、引き込まれて観ました。
観やすかったです。
痛ましい話で不謹慎だけど、
舞台が1955年のアメリカ南部で、車、ファッション、街並み、など、超オシャレ。
アメリカの50年代てホントにイカしてる。
この50年代に、黒人のブルースと白人のカントリーが合わさって生まれたのがロックなのにね…
こんな事、赦される事じゃない。
観るべき。
過酷な時代背景
事前にエメットティル事件の概要をwikiで見てから鑑賞。差別問題は今でも世界中で起こっているが当時のアメリカ南部における黒人差別は歴史的な背景も影響して過酷な状況であったと推測されます。日本でも古来から差別問題は存在しており、出自、外見、学歴、性的嗜好等々、多くの差別が今でも潜在的に存在していると思います。本作に関しては映画より事実の方が残酷であったようです。このような作品を通じて差別的な風潮の馬鹿らしさが無くなると良いですね。
食品雑貨店店主、ロイ・ブライアントの妻キャロライン・ブライアント(21歳)に口笛を吹いたと、ロイと兄弟J. W. ミランから因縁をつけられた。二人は、後日ティルの大叔父の家からティルを無理やり連れ出し、納屋に連れ込んでリンチを加え、目玉を一個えぐりだした。その後銃で頭を撃ち抜き、有刺鉄線で70-ポンド (32 kg)の回転式綿搾り機を首に縛りつけて重りにし、死体をタラハシー川に捨てた。ティルの死体は3日後に川から発見され、引き揚げられた。
母は強し
悲しい結末が想像されるなかでの前半の展開は観ていて辛かったですね。
でも最後には、本当の強さは、腕の力でもなく筆の力でもなく、何かを変えようとする勇気なんだと気付かせてもらいました。
その後、事件発生時になすすべをなくしていた牧師を母親が責められる機会がもてていた場面があったのは、観ていて救いのように感じました。
アメリカだけでなく、いまだ悲しいニュースを聞くことがありますが、子どもに対して「小さくなってなさい」なんて教育しないといけない環境が変わるため、努力を続けないといけないということかと考えさせられました。
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