「最初から最後まで胸が痛かった」ティル かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から最後まで胸が痛かった
悲劇になるのが分かっていたので、戦争未亡人のメイミーが息子を愛して慈しんでいる描写が続く冒頭からずっと胸が痛かった。息子を惨殺されてからはさらに、その心中が直球で伝わってきて、彼女と一緒に心で慟哭していました。
シカゴでは、デパートでメイミーに失礼な口を聞いた白人の店員に「白人にもそういうの?」と反論できるくらいなのに、南部のミシシッピでは、14歳の子供が店員の女性に「女優さんみたい」と言ってふざけて口笛を吹いただけで惨殺されてしまうような社会。
メイミーは、アメリカ空軍で唯一の黒人女性職員、きちんとした教育を受けた、優秀な人なのだろう。理性的、論理的で思慮深く、だからこそ、息子の死を嘆き悲しむだけでなく犯人たちに報いを受けさせるべく行動ができたし、さらにはアメリカ国家に対して、黒人全体の利益のために戦っていくことができたんだと思う。
北部には、このような黒人女性もいるような状況で、想像を絶する地域格差だ。
裁判が始終胸糞悪い。事件が起きたところを管轄する司法のもとで行われるので裁判官も陪審員も白人(男性)だけで、最初から不平等で理不尽なできレース。メイミーが、「私のボーイは二度殺された」という言葉が刺さる。
エンドロールで示された、発端となったキャロラインは何の罪にも問われず、惨殺の実行犯の夫ともう一人も、エメットを殺害したことを白状しながらも大金を手にしてゆうゆうと人生を送ったとか、後日談ももやもやする。
社会を変えるのは時間がかかる。
過程で犠牲を出し、その屍を乗り越えていくようなものだったりする。
メイミーの戦いはすぐには結果が出なかったが、社会を動かす大きな力になったことは間違いないので、若干の救いにはなった。それを示唆するように、裁判を諦めてミシシッピを出ていくメイミーたちに、街の黒人たちがそれぞれに敬意を表するところは胸熱だった。
主演のダニエル・デッドワイラーが圧巻の演技。
重い内容でしたが、それとは別に50年代のファッションが素敵。
ワンピースやスーツ、それに合わせたアクセサリー、手袋、など、コーディネートも素敵でした。
琥珀糖さん
ありがとうございます。
辛い内容なのが分かっていたのですが、観てしまいました。
世の中の、全母親の心に刺さる映画だったと思います
司法が公正でないのがものすごく腹が立ちました
本当に素晴らしいレビューですね。
メイミーが兄でしょうか?
銃があるのになぜ戦ってくれなかったの?
「息子たちが皆殺しにされてしまう」
正義のない世界があちらでもこちらでも続いてますね。
4000ドル貰って犯人たちがのうのうと暮らす・・・
悲しみと共に憤りを感じましたね。
映画館ならではの感動的なレビュー。
コメントありがとうございました😊