「ウィッシュも良いがこちらも見て欲しい一作。」ティル yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
ウィッシュも良いがこちらも見て欲しい一作。
今年421本目(合計1,071本目/今月(2023年12月度)22本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
さて、今週(12月3週)は極端にウィッシュ一強(ついでラジャー?)という状況ですが、本作もぜひ見て欲しいという作品です。
日本とは異なるアメリカで実際にあったいわゆる人種差別に始まるトラブルにおいて、裁判過程においても権利を保障されなかった実話が描かれます。この点、南北戦争が終結した当時(映画の当時)においても、黒人に寛容的だった北側と偏見が残っていた南側がまだあったことは周知の事実で、映画自体も史実を参照にしているため、あることないこと描くことはできずかなり淡々と進む部分はあります。
ひるがえって日本を見ると、戦中戦後の混乱期等を除けば「適正な裁判を受ける権利」が害されたケースは、「差別問題」という観方では数えるほどしかありませんが(代表的なものとして、ハンセン病元患者さんの事案がよく知られます)、日本においても少数ながらそういった事案が存在したのはこれもまた事実です。
映画としても無難にまとまっており、時間として適正であるのが良かったです。
あえていえば当時の公民権運動等に対する知識があればよいのかもしれませんが、それは一般常識の範囲でしょうし、映画でも詳しく示されますので、あまりこう「あれこれ心配せずに見に行ける映画」という観点では教養を高めるという観点からもおすすめです。
採点上特に気になった点としては以下がありますが、0.2以下なので切り上げフルスコアにしています。
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(減点0.2/却下と棄却の違い)
英語で話されているのは rejection で、これ自体は「棄却」「却下」のいずれにもとれ、字幕では「却下」になっていますが、日本の法制度に照らしてみればここは「棄却」になるものが正しいものです(ただ、この点は民訴法や行政事件訴訟法等を知らないとわからない論点だし、原告適格等が問題になっているのではない映画なので、その誤訳によって理解が妨げられることはないので、この程度)。
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