離ればなれになってものレビュー・感想・評価
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年老いることの素晴らしさ
最初、カメラ目線で観客に語る、普通の映画には滅多に無いシーンから。そういうの、知っている範囲では伊丹十三氏の「たんぽぽ」、宇宙戦艦ヤマト完結編とか、「ファニーゲーム」なんて非道い映画でもあったな。いや、これは悪くない使い方だと感じました。今から老いていくまで語るから聞いてくれって言う訳なのか。
若い4人組の人間くさい、泥臭いといってもいい人生、良いことも悪いこともある上手くいかない人生が描かれ、正直、なんだかやるせない気分で見てましたが、後半に入り、年老いた彼らの素晴らしい笑顔が本当に輝いて見えてきました。色んな事があったけど、それを通り越して笑顔で再会を抱き合う、様々な時代を超えて歳を経ることは素晴らしいことなのだと、物語る映画だったのかと感じます。
あのオペラ座で、現実には無かった螺旋階段の幻想的なシーンは、椅子に体が沈み込むかと思うほど素晴らしかった。息子とも和解し、互いの子供たちも集まって新年を祝うシーン、大晦日に見た甲斐がありました。スタッフロールが始まるかと思ったら、もうワンシーンあって気が抜けない。人生はやがて、子供たちに受け継がれて続いていく、カタルシスも高い素晴らしい映画だったと思います。
3人の謎を追って『誰も寝てはならぬ』?
プッチーニ『トゥーランドット』から『誰も寝てはならぬ』』
2時間で、40年は無理だろう!?
設定を理解する前に次の時代へ流れてしまう。それでいて、本人がいきなり狂言回しを演じる。山あり谷ありの人生のようだが、やっている事は一般的な予定調和。
イタリア版『渡る世間◯鬼ばかり』それを2時間でやってしまうのだから、たまったものでは無い。
僕は演出家のミスだと思う。4人じゃなくて3人にして、簡単な相関関係として、40年間をサイン・コサイン・タンジェントの三角関係で流してしまった方が良かったと思うけどね。
トゥーランドットは良かった。
しかし、この映画のストーリーは『トゥーランドット』の様な緊張感が全く無かった。
あれは『オペラ座』?
自慢になるが、ミラノのスカラ座で『フィレンツェの麦わら帽子』ニーノ・ロータ作を聴いた。物語は2回目の鑑賞だったので、よく分かり、僕自身の心が舞台と一緒に躍った。オペラじゃなくて、オペレッタなのだろうが、イタリアの思い出になった。
恋愛と家族愛に命を捧げるイタリア人の情熱とバイタリティ
1966年生まれのローマに住む男女同級生4人が経験する恋愛から結婚、そして紆余曲折を経る友情の変遷を、荒削りで小気味よいタッチで弛みなく綴った人生ドラマ。16歳から56歳までの40年間に起こった社会変動を時折差し込みながら、イタリア人の情熱的で直情的、自分に嘘が付けない正直さ故の軋轢をも受け入れるバイタリティある生き様を恥じらいなく大らかに披露している。本国で大ヒットしたのも、浮気や離婚の苦難を乗り越える主人公たちの常に前向きな姿勢が共感を持って受け入れられたからだろう。他の国なら陳腐な愛憎劇になりそうな人間模様をコメディとして泣き、笑い飛ばすイタリア人の強かさと人間味が面白い。原題の『最高の年』が日本語タイトルでは内容が分かり易い反面、作品の温かみが伝わらないのが勿体ない。英語タイトルの『The Most Beautiful Years』の方が合っていると思った。
しかし、映画も最初のタイトルバックから5分でその良し悪しが判ると思っている私は、この作品には期待できないと早々視聴を止めようとしたのも事実。特に学生と警官が衝突するシーンでリッカルドが撃たれるガブリエレ・ムッチーノの演出が良くない。お腹から大量の血が流れて瀕死の状態かと思わせて、次のカットでは不死身のあだ名の説明があるものの、このエピソードがこけおどしに見えて一気に詰まらなく感じてしまった。本当に必要なエピソードだったのか疑問も残り、後半の良さに比べて前半の特にこの冒頭部分は頂けない。期待感が生まれたのは、ジェンマとパオロの最初の別れのシーン。パオロが窓から彼女を見送ると飼っていたインコの小鳥も外に飛んでいくカットは実に映画的表現で、綺麗に撮れています。4人分の40年間の内容の濃さと映画の尺が釣り合わない為、映画の語りに演出美をそれ程多くは見せておらず、展開の速さに驚きつつ予測不可能なドラマに付き合う楽しさを優先する作品でした。それでもパオロが久し振りにジェンマに再会して、彼女の子供と一緒にオペラ鑑賞する場面がいい。パオロにしか見えない小鳥が現れて天井画まで舞い上がり、彼に向って飛び込んでくる。すると最初の別れのシーンに戻り、ジェンマが再びパオロのアパートの階段を駆け上がっていく。それを少女から中年になったジェンマの時代の変遷を階段ごとに変えて表現した映画的な見せ場の巧さ。プッチーニ作曲のオペラ『トスカ』のアリア(星は光りぬ)が何とも言えない情感を盛り上げます。流石オペラの国、使い方が見事でした。一瞬にして二人の感情を掻き立てる表現の美しさと素晴らしさ。そういえば少女のジェンマを演じたアルマ・ノースから大人役のミカエラ・ラマゾッティに成長するのを、ナポリで手紙を書くジェンマを一回りするカメラで捉えたカットも面白かった。美しい容貌から金髪の髪の毛のスタイルと身体つき含め、同一人物のようなキャスティングに不自然さはありません。
細かい演出では、成長した息子アルトゥーロに拒絶されたリッカルドが失意のまま電車から降りるシーンで、ホームの奥からジュリオが現れるのをアウト・フォーカスから手前でピントを合わせ偶然の再会を演出しているところが基本に忠実で意外だったが、その後の長いわだかまりを抱えた男2人が連絡先を確認する流れが自然でいい。これを契機に3人の男が酒場で人生を振り返る。16歳の時のように、お互いに言いたいことを言い合うおじさんたちの仲の良さと、そこからパオロの家に移って前妻ジェンマと再会するジュリオの複雑な感情。収まるところに収まって安堵する気持ちと、言葉にできない寂しさ。傷付きこころが痛む人生を経てきた独り身のリッカルドには、最後映画からのプレゼントがある。車で家に着く何でもないシーン。霧に包まれた暗闇の中で、玄関の明かりがほの温かく付いている。誰かが待っていてくれるのは、もしかして息子のアルトゥーロではないかと、観る者を優しくさせる演出の意図がある。その答えは、ラストの大団円で快くハッピーエンドを迎えて、映画は綺麗に終わります。
ラストシーンは、ジュリオの娘とジェンマの息子が仲良く手を繋いで歩いていく。まさかここにリッカルドの息子アルトゥーロが介入するのかと心配にさせるユーモアも感じて、恋愛と家族愛が命のイタリア映画の本質を窺わせます。
主演の男3人の、弁護士ジュリオのピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、高校教師パオロのキム・ロッシ・スチュアート、家業の農園を継ぐリッカルドのクラウディオ・サンタマリアが適材適所のキャスティング。知っていたのはキム・ロッシ・スチュアートのみで、2004年のジャンニ・アメリオの「家の鍵」の好演が印象に残っています。これは公開当時全く評判にならず、勿体ないと思ったイタリア映画の名作と言っていいと思います。これも父と子の愛情を描いたイタリア映画らしい作品でした。女優陣も素晴らしく、ミカエラ・ラマゾッティの演技は正しくイタリア女優の模範のように魅力的かつ情熱的。少女時代のアルマ・ノースとジュリオの娘ズヴェーヴァ役の女優も美しい。エンドタイトルに流れる音楽と詩も、人生をしみじみと振り返った素直な感情が溢れて、心地良く観終えることが出来ました。
心を熱くしてくれるものに🥂チンッ
1982年~2022年までの男女4人の話。
1982年ローマに暮らすジェンマ、いつも一緒にいる男3人、パオロ、ジュリオ、リカルド、恋に落ちたパオロとジェンマだけどジェンマの母親が病で亡くなるがきっかけで離ればなれになってしまうストーリー。
1989年に偶然再会し、また付き合い始めるジェンマとパオロ、パオロ(教師)という男がいながらも目移りなのか職で選んだかわからないけど弁護士になっていい生活を送ってるジュリオと浮気。
ジェンマとジュリオの「パオロに悪い事してる」からのジュリオからパオロにジェンマとの関係を話してしまうんだけど、そこから仲間達の関係に亀裂が...。
何か性的描写多いし思ってた作風とは違ったな~なんてちょっと思ったんだけど、長い年月が経ち色々あったけど、それぞれが大人で久々にあった際にはお互いフラットな状態に戻ってる関係、学生時代から使ってた合言葉「心を熱くしてくれるものに」で乾杯。
それぞれの子供も招いて一緒に年越しパーティー、40年という歳月に色々な事があったけど最後には仲間に戻れる四人の関係性が素敵でした!
イタリア版の俺たちの旅
幼なじみ4人(男3人に女1人)が離れたり、くっついたりする1982-2020年の約40年。
中村雅俊、田中健、秋野太作、金澤碧のテレビドラマを思い出しました。
ジュリオは20歳で急に顔が濃くなる(笑)ピエルフランチェスコ・ファビーノ。自動車修理工場の息子から国選弁護士を経て、厚生族の大物政治家のお抱え弁護士、代議士の娘と結婚、製薬会社を譲り受け登りつめたんだから、この際、濃い老け顔もよしとしますかね。
その代議士と製薬会社は薬害AIDS事件絡み。日本でもありました。ミドリ十字事件。
パオロとジェンマが暮らし始めた家に男3人が集まるところで終わったほうがよかったなと思いました。
ジェンマは俺たちのマドンナ。
子供世代は若い役者さんたちの顔見せ的な感じを受けました。
イタリア映画にしては爽やか😃✨
エンディング曲は米米CLUB風。
すれ違いと成長の悲しみ
The best years
40年間と次世代の話。
親の愛は時代と環境に左右される。複雑でも、次世代は受け継いでいく。最後に描かれるのは、あくまで次世代の始まりだが、悲観的になることはない、と主人公の一人である教師が告げる。
(似非の)知性に比較される愛、ハウスオブグッチの最後にも、同様にすれ違う描写があった。大人であっても、成長の時期はそれぞれ違う。そして愛には最終的に、各々の自立も必要となっていく。
階段へ戻って駆け上がる(想像?)シーンよりも、歳を重ね電車の中で再会した時の、嘘のない表情が胸に残る。
幸せになりたい!
久々に自分好みの素敵な作品を観れた!こんな映画をずっと観たかった!。♂3人組+♀1人の親友の話で、それはそれで最高なんだけど‥ジェンマが最高に良い!!。薄幸のジェンマ、辛い運命に翻弄されて、やさぐれてアバズレても‥最後に最高の幸せを見つけた❤️。ジェンマのアバズレ感良いわー。アバズレた色気がダダ漏れ。たまらん!人生で他人を傷つけた事がいちども無いって言える人っているのかな?。傷つけ合ってそれっきりになる人、それでも関係が続く人。切っても切れない関係ってあるよね。腐れ縁かもしれないけど。ジェンマが見た目普通のおばさんになったの、ちょっと寂しかった。ジェンマが幸せを求めている普通の女性なのはわかるけど、見た目だけでも年取ってもアバズレジェンマでいて欲しかったって、何なんだろうこの感情⁉︎
Passion of life!🔥
仲の良い4人組の人生における出来事がメインになる話でした。
登場人物が若い頃は、みんなエネルギッシュで人生を生き急いでいる様子が楽しそうでした!
仕事・恋愛・友情のバランスが難しく、4人とも苦難に直面しながら歳を重ねていくのが、とても現実的でした😢
無理矢理ハッピーエンドに誘導した感じはありましたが、みんなの友情がなくなることはなく平和な終わり方が良かったです👏🏻✨
もう少しイタリアの自然を楽しんだり、観光スポットに行くシーンがあれば良いなと思いました!
【"心熱くしてくれるモノに・・。"今作は、イタリア人男性3人と1人の女性の40年に亘るジェットコースターの様な関係性の変遷を、肯定的な視点で描いた人生賛歌作品である。】
- いやあ、イタリアの人々って、皆、あんなに自分の気持ちに正直に生きているのかな。
友人の恋人でも、好きになったら一直線である。-
◆感想
・40年の関係性の変遷を、一気に描いているので、彼らの子供たちもアッと言う間に大きくなって行く。そして、ジェンマやジュリオ、リッカルドたちも、結婚したと思ったら離婚したり、正にジェットコースター人生である。
ー 最初、可哀想だったパオロも、念願かなってジェンマと結ばれるしね。-
・彼らは山有り谷有りの人生を送りながらも、一度会うと、気持ちはアッと言う間に若かりし10代に戻る。真の友人なんだよね。
・特に琴線に響くのは、五十代になった彼らが、過去の確執を忘れ、リストランテで夜中までワインを酌み交わすシーンや、新年を迎える時に、自分達の子供を紹介し合い、一緒に祝うシーンである。
<長く生きていれば、色んな事を経験するが、やはり40年もの間、友人だった彼らの関係性は、ちょっとやそっとでは崩れない。
今作品はそんな、不器用だが自分の気持ちに正直に生きる人々の姿を肯定的に描いた人生賛歌なのである。>
今年最後の映画館 引き当てました!
新年パーティで出会ったレオとズヴェーヴァ
付き合いだしそう、で思ってたら主題歌の後きっちりシーンで観せてくれました
いろんな映画のオマージュがあった
いくつかは認識できました
本作のように映画を観てきたファンへのお楽しみサービスがあったり、
当時を振り返る小道具の一つに流行りの楽曲がありますが、
これがすごくハマりました
こういうのすきな方にはぜひ観てほしい
音楽もよかった
人生を生きてきて、これからまだまだ生きる主人公たちを優しく包むような
スコアが邪魔にならず最後までストーリーを引き立たせます
ジェンマの女優さんはカラヴァッジョの作品から気に入ってる方でした
それで観たんですが、全然きれいで、さすがは女優さんです
思い出せませんが原作があるのか、再製なのか、似たようなの観た気がしますけど
とにかく幸せ、いい映画でしたー
人間模様が濃すぎてファンタジーに近い
離ればなれになってもお互いにずーっと忘れなくていつかまた結ばれるハッピーエンドかな?と思って鑑賞しましたが。。
確かに最後の最後の最後には結ばれます。
最初のカップル。
でも。。結ばれることは結ばれるんですがそこに至る過程が濃い。濃すぎる!いやいや人間関係そんな近場でだいたい済んでしまうのかい?
もう濃いドロドロの昼ドラやーーん!と思ったら、
昼ドラのドロドロ劇を越えた先にはお互いにもーーいっか!の境地?に達してしまうようで。。絶対に一生絶交モノだろうこれ〜と思いきや最後また4人で仲良くバルコニーに並べるんかい!!と、逆にツッコミたくなるほど。凄い。ここまで人間関係修復出来るんならホントに凄い。でもちょっと願望を含めたファンタジーかな〜最後の最後、結局みんな仲良しに戻るのは。
よくこんな脚本書けたな~と、脚本に驚きました。
あとジェンマの息子の父親が誰なのかはっきり描かれてなかったのが気になりましたが、まぁ途中で恋人出来てシングルマザーになったのかな?と思いました。もし別れる前に妊娠してたら最初の夫がフォローするだろうし。
最終的にだいたい幸せっぽいですが、弁護士の彼は新しい奥さんを探すのかどうするのか。。
最後にそれぞれの子ども達どうしでなんとなく恋人っぽい感じになっていたのが「またこうして人間模様が繰り広げられていくんだな~」と思いました。
概ね幸せっちゃ幸せになる。。。話ですが、そこまでに至る過程がエグい濃さの映画でした!
あとパオロは一途が過ぎる。途中はめっちゃジェンマに悪口言うほど怒ってたのに、あぁ、好きだからショック過ぎて怒ってしまうけど、
めちゃめちゃ怒るのはめちゃめちゃ好きっていう、愛情の裏返しだったか。。と思いました。
パオロ、よく我慢したね。というかよく完全には冷めきらなかったね。一途過ぎるパオロに脱帽。
ほぼ聖人君子(マジで敬礼)。
10話くらいのドラマにしたら毎回の展開に毎週毎週ヤキモキしそうで精神的にまいるので(笑)、1本の映画で結論まで描いてくれて良かったです(笑)
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