「3人の少年たちの一夜の冒険譚」Sin Clock Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
3人の少年たちの一夜の冒険譚
◉サスペンスに紛れ込んだファンタジー?
全編はクライムサスペンスであったのに、高木(窪塚洋介)と番場(坂口涼太郎)と坂口(葵揚)の3人の周りに一瞬、ファンタジーの風が吹いたようだった。坂口が犯罪に高木と番場を誘い込むシーン。不貞腐れた日常に押し潰された男たちが、3月3日生まれの俺たち3人が組んだら無敵だと言う、少年たちのノリで、絵画強奪計画へと突き進む。この3の連なる、軽い冒険譚の感覚は嫌いじゃなかった。
ギャンブル狂いで凶悪感がこぼれる葵揚が、誰か殺すか、殺されるかと思ったのだが、生き残った。正体は愛すべき餓鬼大将だったのか? 犯罪者仲間でさえ扱いづらそうな役柄を、見事に演じていたと思った。
想定外の先輩ドライバーの悪だくみで、大金は手に入らなかったが、飛行機事故は免れたし、結果めでたしの部類では?
ただ、ワンカットが短いシーンの繰り返しだったせいもあり、ヤクザの根城にどう言うつてで辿り着いたのかとか、3人組の仕掛けの細かい中味が先輩にどうしてバレたのかなどが、はっきりとは分からなかったです。私が気づかなかっただけか。
筋書きのサスペンスと言うより、演者たちを見るサスペンスみたいな感じで観ていました。
◉ヤクザと半グレは滅んでいった
結構凄絶な殺し合いは続いたが、政治家、闇ブローカー、愛人、そしてタクシードライバーたちはほぼ無傷。ヤクザと半グレが玉を喰らって死んでいった。般若もJin Doggもノワール感が溢れ出て、叶うならば例えば前日譚とかで、スピンオフもお願いしたい。あの酷薄な笑い顔がまた見たいです。
最後は、命を長らえて戻ったところで、変わらないダルい日が続くだけなのさと言う、ドライバーたちのうそぶく声が聞こえるよう。
それで、そんな時でも窪塚洋介は、生真面目なちょっと愛すべき表情を見せてしまうのでしょう。
こんにちは
コメント、ありがとうございます。
私は、この作品公開時には上映館が少なくて観れなかったのですが、 ジャパニーズ・ノワールとして面白かったですね。
窪塚洋介さんは、流石だなあとも思いました。では。