アダプション ある母と娘の記録のレビュー・感想・評価
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いい映画だけど、静かで暗い(笑)
メーサーロシュ・マールタ監督は児童養護施設で育っていて、
それが監督の作品に大きく影響を与えたそうです。
この映画は思いっきり自身の体験を投影したものでしょう。
ベルリン国際映画祭でハンガリーの監督として史上初の金熊賞を取った作品です。
いい映画だけど、
シリアスすぎて、笑いもなく、ほとんど音楽も流れず、
静かで暗いです(笑)
席の近くで泣いてた方いたみたいですが、個人的には…
そして人生はつづく
単に物語の幸福な終着地点として「女同士の連帯」を設定しているような映画は信用ならない。連帯はすべてを都合よく解決するデウス・エクス・マキナではない。はじめに彼女たちを潰そうとする外圧があり、それに対抗する手立てとして連帯が生じる。そういう「急場凌ぎ」的な側面が少なからずあると思う。だから当然、寄り添い合った二人の関係性が無辜無謬のまま平坦に続いていくとも限らない。いや、別に続いたっていいのだけど(続くほうが望ましいのだから)、とにかく「連帯しましたハイ終わり」みたいな無責任なのはダメだ。人間はそんなに単純じゃない。バカでもないし利口でもない。常に揺れ動いている。
他方、本作は連帯「以降」を描いている。不倫相手の子供を望む寡婦カタと、無愛想な親元を離れ寄宿学校で暮らす少女アンナ。ふとしたことから出会った二人は、互いの孤独に触れるうちに連帯を育んでいく。アンナは寄宿学校を抜け出してたびたびカタの家にやってくる。カタはアンナにうちの娘にならないかと打診する。
しかしそううまくはいかない。アンナは親縁の呪縛を逃れるべくボーイフレンドとの早急な結婚を希望する。カタの自宅を早速ヤリ部屋に使いだすという強引ぶり。一方カタはといえば不倫相手との関係が次第に悪化し、その反動かますます子供を持ちたい欲求を募らせていく。
寄宿学校でのダンスパーティーから終幕までの一連のシーンは切ないくらいもどかしい。念願の結婚を果たしたアンナはボーイフレンドとしばしの舞踊に耽るが、やがて彼をはねつけ、壁にもたれかかったまま孤独に沈む。養子を貰うための手続きを済ませたカタは、病院で赤子を受け取る。黒髪で天然パーマという赤子の出で立ちはどことなくアンナを想起させる。カタとアンナは終ぞスクリーン上で再会を果たすことなく、赤子を抱えたカタが乗り合いバスを呼び止めるところで映画は裁断されたように唐突な幕切れを迎える。
そこには明白な希望もなければ絶望もない。カタとアンナは再び出会うかもしれないし、出会わないのかもしれない。それはあまり大きな問題じゃない。重要なのは、彼女たちの人生がなおも続いていくということ、彼女たちが今も生成変化の中にあるということ。人生は長いという素朴だが確かな事実。
映像的なことに関して言えば、とにかく顔、顔、顔で溢れた映画だった。接写というよりは中距離からカメラのズームを最大にした状態で撮られており、ゆえにカメラが対象を捉えるまでに少々時間がかかるし、ちょっとでも手元を動かせば画角がズレてしまう。安易な言い方にはなるが、まるで人間関係のようだ。
顔の表情が良い
メーサーロシュ・マールタ監督特集にて。ハンガリーにこんな女性監督がいたなんて!顔の表情の撮り方がとっても上手。社会主義時代の様子がよく描かれた、雰囲気の良い作品でした。東欧のファッションやインテリアが好きな人にもオススメです。
ストーリーにあまり古さが感じられないのは、女性の抱える問題は今も昔も変わらないという事でしょうか?ちょっと悲しいかも。。
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