「パワハラではない、あるのはプライド」カンフースタントマン 龍虎武師 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
パワハラではない、あるのはプライド
香港の功夫(カンフー)映画の歴史を、スタントマンという概念から考察していく、まさにファンなら必聴必見のドキュメンタリー。アーカイブとして使われている映画の大半は観ているが、今改めて観るとホントに危険なスタントだったんだなと再確認。
ブルース・リーの存在が想像以上に大きかったとか、スタントチームにも色々あってそれぞれ対抗意識を燃やしていたとか、有名なあの映画のスタントは実はこの人だった…的な初耳なトリビアも満載でビックリする事だらけ。それでいて、香港資本と中国資本の製作体制の違いが浮き彫りになったり、スタントマンの活躍の場が減ってきているという危機的状況を何とか打破しようという取り組みなど、シビアな実情も知る事ができた。
それにしても歴代のスタントマン達の証言がいちいち勾玉もの。「成功確率が50%でも、いや30%でもやった」、「ハリウッドに勝つには肉体アクションしかない」、「スタントマンは決してNoとは言わない」…そこにはパワハラなんて言葉は存在しない。彼らは自分の仕事にプライドを持っているのだ。どことなくプロレスの世界にも通じるのは気のせいではない。
観ていて「ああ、あの俳優だ」とたくさん気付けた自分を褒めてやりたい。余談だがTシャツが買えなかったのは残念至極。
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