「オムニバス形式に期待感は膨らんだのではあるが…」健康でさえあれば osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
オムニバス形式に期待感は膨らんだのではあるが…
短編『絶好調』と同時上映。
オムニバス形式というのは、エテックス本人の資質に凄くあっていたと思うし、あの頃60年代に良く流行ってた複数の監督によるオムニバス映画のオマージュというかパロディ的な構成を勝手に期待してたのだが、あんな華やかで贅沢な気分には程遠く…
コントネタが、どれもこれも往年のテレビ番組のベタなレベルで「ドリフか⁈」とツッコミを入れつつ殆ど新鮮味が無かった。
まあベタなコント集でも前作までの行き届いた洗練された演出が発揮されていれば良かったのだが…
ちょっとどころか、かなり物足りなかった。
オムニバス形式も最初から意欲的なコンセプトとして構想されていた訳でもなく…
前作の『Yoyo』の興行成績がイマイチだった為、当時テレビの影響で流行っていたコント集をプロデューサーから依頼され、ある種クライアント・ワーク的に作ってしまったようで…
そんなワケで、どうやら本人としては、あまりノってなかったらしく…
結果、興行的にも批評的にも残念ながら失敗作となってしまい…
そのレベンジの意味合いとして、70年代前半にオムニバス映画に再編集して、改訂版としたのが本作ということらしい。
4つの短編で構成されていて、第1チャプターの『不眠症』は元々『Yoyo』の前に作られていた短編で、短編の映画祭でグランプリも受賞していた作品。第4チャプターの『もう森へなんか行かない』は非公開となっていた作品。
そして間の2つのチャプターが、最初の公開時のヴァージョンで作られていたコント集だったらしい。
ちなみに、その最初のヴァージョンでは、後に独立した短編となる『絶好調』も含まれていた。
とまあ、なんとも複雑&ビミョーな経緯の作品なのであった。
しかし結局、なんだかんだで、最後まで観れてしまうのは、やはりエテックス本人による魅力が「大」といったところか。