「見逃してはもったいない「ライル」。」シング・フォー・ミー、ライル ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
見逃してはもったいない「ライル」。
こんなに楽しくてワクワクと胸躍る映画は久しぶりだ。なぜワニが歌っているのかという疑問は湧くが、そんな疑問を吹っ飛ばす圧倒的な存在感と面白さである。理屈ではなく、大きなクロコダイルが歌って踊るのを見るだけで楽しい。しかも冷酷な感じがある爬虫類のくせに情感たっぷりに歌い、ユーモラスな動きと表情で笑わせてくれる。この大きなギャップと小さな違和感が面白くないわけがない。楽曲がいいし、振り付けも楽しませてくれて、ミュージカル映画としては最高である。
ドラマも単純な内容ながらもとても共感できる。ライルを始め、ライルに関わる人たちは皆、孤独であったり個人的な問題を抱えている。それがライルと関わる中で、自身の問題を克服し幸せになっていくように見える。特にジョシュとライルの友情(?)は、心に残るインパクトがある。最後にライルが捕まって動物園に囚われてしまうのも物語上とても効果的だ。荒唐無稽なファンタジーで終わりそうなところを現実に引き戻してくれる。クロコダイルは本当はこんなに危険な生き物でいっしょには暮らせないと思い出す。しかしこれに対しても見事な解決策を用意して満足感のあるエンディングになった。
グレーテストショーマンやラ・ラ・ランドに引けを取らない見るべき作品である。
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