「ミュージカルコメディに、掘り下げの無い成長譚はテンポが悪い。これがこの映画の全て」シング・フォー・ミー、ライル かずくんさんの映画レビュー(感想・評価)
ミュージカルコメディに、掘り下げの無い成長譚はテンポが悪い。これがこの映画の全て
タイトル通り。
いやほんとにそうとしかいえない。
面白そうな映画なのに評価は低め。
さて何故だろう…、と言うわけで観てきた!
…いやね?ミュージカル映画の大前提「音楽がいいね!」というのはクリアしなければならない。
そこはいい。日本語にした途端、急にダサくなる洋楽あるあるはもうすっ飛ばしても面白かった。
が、この映画の予告を観た人が目にする「一人の少年を変える」というフレーズ。この要素が足を引っ張りまくり。
人前で歌えないライルとマジシャンの導入から、「ライルの成長を通して、少年も勇気をもらうんだろうな」という予想を立てた。当たらずも遠からずその予想は合っているんだが…、何故その要素を入れたのか。
これが「ミュージカルコメディ」全振りの展開なら普通にそれでもいいと思う。
だがこの映画は、「少年の成長を描きたい」欲望が丸出しになっていることで「純粋なミュージカルを楽しみたい気持ちと、少年がどのように変化するかのプロセスを掘り下げられているか」という思考でぐちゃぐちゃになる。
まともな成長も無く、単に歌って踊るだけの展開。
そこから急に家族が変わっていく時点で察した。
「こりゃ評価低いわ」と。
この映画のストーリーを評価すれば、まともな成長も無いのに「僕はライルのおかげで変われたんだ!」とか舐めているのかぁ!となる。
「お前等踊って歌っただけだろ?」としか言えん。
例えば、引っ込み思案の少年がもっとライルと交流していく描写を増やし、学校や家庭で見間違える程大人びた姿を見せる展開。
マジシャンの彼がライルのことを思いながらも金の為に保身に走る、何故か最低男なのに憎めないキャラがもっと際立つように、裏舞台で何をしていたのか。
そういった基礎的な面から欠落しているから、終盤の展開に深みが全く無い。
うん…ほんとに深みが無い。
ミュージカル映画だからと言って、安易な音楽踊りゴリ押しで通用すると思うなよ?
ちゃんとした映画の展開とミュージカルを混ぜるなら、せめて6:4ぐらいで描いてみない?
少年が辛いときにライルの歌が救ってくれるとかさ…もっとこうあったほうがいいと思うんですよ。
9割ストーリー無視しているのに、無理矢理本作のテーマを回顧させてくるから如何にも手に負えない。
やっぱ余計なテーマを突っ込むべきではないよ…こういうのはもっと別の形で描いたらいいと思う。
…とは言っても音楽がいいのはそりゃそうか、SONYさんだし
返信有難う御座います。
個人的に、「ワニのライルが来たぞ!歌って踊れる凄いやつだ!みんなで楽しもう!」的な要素だけでよかったと思っています。
落ち込み描写があったとしても、陽気なワニのライルにみんなハッピー…的なぐらいで収めてくれればよかったかなと