「かつてのゲーム体験を、人生体験としてカタルシスの種にするなんて!」ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー とびこがれさんの映画レビュー(感想・評価)
かつてのゲーム体験を、人生体験としてカタルシスの種にするなんて!
マリオはどれだけ自由自在に動き回っても、どの角度からも完璧にマリオでしたね。ゲーム界の超超大物IPを扱う上での徹底的なこだわりを感じました。一方ドンキーコングは時々ただの陽気な茶ゴリラになってました。好きですけど。
ディディーコング少し喋ったくらいで、ディクシーコングは隣で映りこんだだけで台詞なし。この登場の少なさ個人的にはよかったです。ディクシーについては、スーファミの傑作スーパードンキーコング2の時が最もよい解像度で、正直可愛いなと思って操作していました。放置すると風船ガム膨らましたりとか、平成初期金髪ギャル感あって、少年時代の私にちょっと、いや割と刺さってましたよ。けれどトロピカルフリーズとかで解像度が上がってまじまじ見ると、あれっ猿じゃん!ってなってしまったという…
Switchのスーパーマリオブラザーズも通してはプレイしましたが、やっぱりオンラインが楽しすぎるマリオカート8DXの方がプレイ時間は圧倒的です。レインボーロードとかカーブ時にピンクの火花がでるとか、ほんと観てて楽しい。「絶対逃がさない」とか言ってトゲゾー甲羅が飛んできたとこで大興奮ですよね。しかも青甲羅はキャラクターだけでなく道まで破壊しましたしね。これは青甲羅はゲームを破壊させるという暗喩、つまり製作陣にいるであろう青甲羅にこれでもかと煮え湯を飲まされているプレイヤーの怒りを感じましたね。自分が1位になったときに限ってミニマップに表れるんだから…
個人的には青甲羅はキノコ回避して欲しかった。なんならスーパーミニターボのあとはピョンピョン走法して欲しかったし、カート選択は全員パタテンテンとハナちゃんバギー選択して欲しかったし、主要キャラ以外モートンで埋め尽くされて欲しかったです。そこまで期待した、少し
もちろん全世界向けですからね。伝わらないネタは多すぎるとよくないです。
最後スーパースターをとって無敵になるとこは、不覚にも涙腺にくるようなカタルシスを感じてしまって、映画演出の粋にまんまとやられましたよ。圧倒的不利から大逆転する展開ってご都合主義だと冷めてしまうところですが、「スーパースターをとると無敵になる」という理屈が否応なしに常識として理解されている我々としては、極めて筋の通った曇りのないカタルシスとして、うおおおってなるんですよね。敵の多いゾーンをしゃがんだり、跳んだり、待ったり、ブロックの上に退避したりチマチマ進んでいたところを、無敵で駆け抜けるカタルシスがスクリーンで!
映画は自分の人生で体験してきた様々な感情が結びつけられて想起され、没入して深い感動をもたらすものです。人間ドラマとか社会派モノ、恋愛モノとかですね。それが、テレビの前で1人、難しい面を何度も何度も死にながらなんとかクリアした時の体験、様々生じた感情。そんな忘れ去られていた感情を狙い撃ちして感動させるなんて!ゲームも立派な人生体験だと証明したし、これはこの作品、とんでもない世界の扉を開いたのではないでしょうか。